ペルソナ3ネタバレED考察スレまとめ

インタビュー

ページ名またはURL資料集、各種ゲーム雑誌のインタビューまとめ


11/30発売 ペルソナ3 公式設定資料集 製作者ロングインタビューより抜粋


―――いきなりですが、勝利を否定された最後の戦いの意味は?
橋野:「ラストバトルでの勝利はどのような意味を持つのか?」ですか。
絶対に勝てないニュクスすなわち死との戦いというのは、プレイヤーが契約をもとに入れられた『ペルソナ3』という装置の中で、絶対に逃れられない死に挑戦してみる、ということです。
誤解を恐れずに言うと、バンジージャンプなんです。
ゲームの冒頭で足を縛られて、跳んでみる。
ゲームでは、この主人公が死んだことをはっきりとは言っていないのだけれど彼の物語は完全に終わってしまっている。
でも、プレイヤーは死んでいない。
つまり、ゲームを装置として、いつかは死んでしまうことを体験してみてください、ということなんです。
そうした、死の疑似体験を経て、現実の中で死について、生について考えて見て欲しい。
俺たちも、家族を失ったこともあるし、そういうことを体験したこともあるけれど、まだ30歳を過ぎたくらいですし、死とか生とかについて説教なんてできない、と思っています。


電撃マ王インタビューより抜粋

主人公の死

―――後日談では、主人公が本編のエンディング後にどうなったのかをはっきりさせたい、という狙いがあったそうですが?
田中:じつは、主人公の生死については、直言する言葉を出さなかった以外は、ぼかさず表現したつもりでしたがいろいろと想定外でした(笑)
ただ、ハッピーエンドという位置付けで描いたことだけは間違いありません。
―――バッドエンドを迎えたわけではない?
田中:極端な話をすると、エンディングで生き残ってもいつかは絶対死ぬので単に「生き永らえた幸福感」だけ描いて終わったら、この作品としては尻切れというか、テーマに触れない結末になってしまうと思いました。
死が絶対的な不幸なら、全ての人は最後は不幸ということになってしまう。
でもそうじゃないと自分は思いますし、この作品で伝えたかった重要な点でもあります。
だから、万人がいつか必ず体験する結末のデフォルメとして「最高の充実の中で事切れる」というハッピーエンドを描きました。
ゲームは娯楽という大前提に立てば、ハードルが高いことはわかっていましたが(笑)
そこはスタッフ一丸となってチャレンジ精神で臨みました。
欲を言えば、「主人公の生は終わったけど、その体験をした自分はまだ生きているから自分は今度どう生きよう?」みたいに考えてもらえたらうれしいです。

『フェス』制作のきっかけ

―――『フェス』で後日談を書くことになったきっかけはなんだったのでしょうか?
田中:1つの理由で入れたわけではありませんが、『フェス』は第一にファンコンテンツです。
新規の物語が追加されるという要素は、ファンが最も望んでいるものの1つだろうと考えましたから。
加えて、『ペルソナ3』では、仲間たちが寮にいるままで物語が終わりますが、あの寮はシャドウ討伐という使命のために存在するもので、あそこにいる間は、宿命から完全に脱したとはいえない状態です。
比ゆ的な表現ですが、あの寮を出て、そのドアに鍵を閉めて完結させるという過程が、絶対に必要だと感じていました。
ただ、ファンの声に耳を傾けると、後に続く物語を望む声ばかりというわけではありませんでしたので、新規のキャラクターの登場と同時に、既存のキャラクターの背景や過去も掘り下げていく、今回のような後日談となりました。
―――後日談のテーマというのは、本編の「死」というテーマとは違うものなのでしょうか?
田中:基本は同じです。本編の「生者が死を見つめる」に対し「命無き者が生を見つめる」と逆の視点になりましたが、つながった物語なので、テーマが大きく変わったりはしていませんね。
―――後日談をもって『ペルソナ3』の物語は完結しますか?
田中:本編だけで完結させたつもりですが、真の終幕というか、エピローグ的なものと理解していただくといいかもしれません。

新たな主人公アイギス

: ―――後日談の主人公をアイギスにした理由はユーザーの人気が理由なんでしょうか?
田中:もちろん、キャラとしての人気も要因の一つではあります。
ただ、『3』でのアイギスというのは「死」を知らない機械という、ほかとは異質な存在です。これは本作のテーマを描くには欠かせない要素なので、そこから後日談を牽引するにふさわしいと決まった、という経緯もあります。
―――本編の主人公は、自分で選択肢を選んで性格付けが出来る「玉虫色に変化するキャラ」ですよね。対してアイギスは、本編をプレイした人には既に性格や行動が浸透しているキャラです。その辺の違いや難しさはありましたか?
田中:もちろん大きく違います。『3』ではそれぞれのキャラの個性が順調で、 性格や肌合いなどはもう確立しています。
そういうパーソナリティを持ったキャラを主人公に据えた物語は、自分自身でも描くのは初めてです。
一応スタッフの意見を聞く限りでは、主人公が自分自身ではなくアイギスであることに、特別な違和感は無いということでした(笑)
―――田中さんご自身はセリフのある主人公というのに戸惑いはありませんでしたか?
田中:本編というのは、あくまで主人公=プレイヤー自身のたどった旅路であるのに対して、後日談というのはアイギスがたどる旅路です。そこでもアイギスがしゃべらない、没個性なキャラになるのはおかしいですからね。
―――後日談の最初に挿入されるムービーも、気になります。このムービーの状況はどういうことなんだろう?というのが、プレイしてまず気になるところかと思います。
田中:中盤にあたるものを、いきなり見せるというヤツで、RPGでも映画的な演出に凝ったものなんかでは見られますよね。
後日談の前半部は 過去を振り返る話に終始するので、それ自体を回想にしてしまおうと、意図して行いました。
この段階にいたるまでの物語と、そこから先とで、流れは大きく変わります。
―――そのなかで、主人公であるアイギスがどう行動するかを追う流れですね。
田中:アイギスは機械なので、戦いが終わっても1人だけ日常がありません。
ですから、アイギスにとっては帰るべき日常の場所を見つけられないと物語は終わらないんです。「生きる」とはそういうことですから。
―――アイギスが日常を見つけるというのが1つのテーマになりますね。
田中:そうですね。そういう意味でも、アイギスにスポットが当たりました。

仲間たちの心境

―――プレイしていると、最初に風花と電話するシーンなどで見られる、ゆかりの仲間に対する素っ気なさがとても気になりました。
田中:あれは意図して入れました。
ゆかりは、主人公を失ったことや、過去の戦いを全て丸呑みにして、とにかく未来へ前進しようとしてます。
一緒に戦った仲間でさえ、当初の彼女には過去を連想させる対象だったのかもしれません。
なのに現実では、同じ1日が続き、昔のような探索までする羽目に。すべてが逆へ向かい、いらだちを募らせます。でも最終的に、主人公の喪失に対して、一番未練がましいことを言うのもゆかりです。
ゆかりがそこまで強硬に前進を求めるのは、未来をくれた主人公に対する執着の強さの裏返しです。
―――そういう意味だと真田たちはきちんと事実を受け止めているように感じられます。
田中:大切な人を失ったときの対処法は、人それぞれと思います。
そのなかで、じつは一番感情的で、手に負えなくなっているのがゆかりなんです。その点で真田などは、確かに主人公を失ったことで大きな悲しみを抱えていますが、対象喪失というものに対する向き合い方はわかっているんです。
天田や順平、美鶴も落ち込んではいるんだけど、何を我慢すべきで、何を我慢しなくていいかがわかっていて、感情がむやみに爆発するところまでいかないんです。
ゆかりについては、ちょうどチドリの件で、順平に起きた感情の混濁と近いものが、さらに重みを増して起きている、と考えていただけると近いと思います。
―――本編では順平がしゃべらない主人公(プレイヤー)の代弁者でしたが、後日談ではゆかりがその役目を負っているのでしょうか?
田中:主人公が違いますし、代弁者というわけではありませんが、つらさに対する対処の過程がもっとも等身大なのかもしれませんね。

共通の過去

―――後日談では。ダンジョンの最下層で仲間の過去が明かされますよね。
田中:本編は「未来」を見つめる話ですし、カレンダーに沿う形で時間の流れがものすごくハッキリしていますから、いろいろな意味で過去主体の見せ方にはなりませんでした。
―――ゲームシステム的な制約もあり、本編では描けなかった過去の話を、『フェス』の後日談で見せることになったのでしょうか?
田中:本来、日常とタルタロスの探索はゲーム的に一体のもので、相互にモチベーションを保ち合っていました。
しかし後日談では日常に当たるものがシステム上はなくダンジョンの探索と、NPC会話だけを交互に繰り返す形となっています。
そうなると、やはり仲間との会話の内容や、間に挿入されるイベントがいかにおもしろいかがカギです。多くのファンが興味をひかれるものは何かと考えたとき、「仲間たちの知られざる過去」という題材に行き着きました。
―――各キャラの回想には、「ペルソナが目覚めたとき」という共通点がありますよね。
田中:イベントを薦めていくと、その辺はわかります(笑)。
例えば「シャドウとペルソナがじつは同じである」とか「心象を実体化させるという行為はじつはペルソナ召喚だけでなく、誰でも日常からやっている」とか、後日談ではペルソナの設定面にスポットを当てたいという意図がありました。
でも、いきなり解説じみた話では当然ひかれないので、それぞれの過去を思い出していくことからはじめています。さらに言えば、平和になった現在よりも、戦いに臨んでいた過去のほうが充実していた、と感じていることを、仲間たちが気づくきっかけを作りたかったという狙いもありますね。


メティスについて
  • 本編の製作中、一番最初の段階からアイギスには姉妹機がいる設定だった。
  • 今回、絵的にアイギスに似たものを出そうとディレクターの要望もあり、メティスの登場となった。
  • アイギスとメティスは全てを反対にしてある。
  • プレイしてくうちに段々正反対の存在であることが分かってくる。


インタビューラスト

―――最後になりましたが、読者に向けて一言お願いします。
田中:『フェス』はファンコンテンツなので、みなさんに楽しんでもらえるのが第一です。
そしてゲームを終えたとき、何かしらプレイヤー自身の生き方に対する考えに、プラスのものが残れば、最高に嬉しく思います。



ファミ痛PS+インタビュー

――いまだから言える、『ペルソナ3』で描きたかったことはなんですか?
田中:“終わりは必ず、すべてに訪れる”ということをテーマに入れたかったんです。つまりは人生にも訪れる生にも訪れるわけで、全ての人に最後は死が待つと。
もっとも日常的に死を思いっ放しじゃ憂鬱になってしまいますけど、目を逸らしたままじゃ充実した生き方はできないと思います。
昔の映画に『エニイ・ギブン・サンデー』というのがあって、(中略)その映画のキャッチフレーズが“ムダに生きるな、熱く死ね!”なんですよ。
橋野はこの言葉をすごく押してました(笑)。

: ――おお、カッコいいですね(笑)。
田中:ですよね(笑)。
そのキャッチフレーズをよく考えてみると、「なるほどな」と思って。80年ただ生きているだけの人生を送るより、短くても自分の人生を自分で選んでいったほうが、生きているという充実感を得られると思うんです。
だから、それを『ペルソナ3』では描きたかった。

――会話をして相手のことを知るうちに、だんだんゲームのキャラクターではなくて、すごく近い存在のように感じてしまうんですよね(笑)。
田中:描きかただけじゃなくて、セリフにも気を遣っています。
いまのRPGは情報量がすごいし設定も濃い。だからゲーム内では描ききれなくて、設定資料集みたいな本でようやく補完、というパターンも多いと思うんです。『ペルソナ3』もファンタジックな世界で、いろいろ説明しないとわからない設定はありますけど、その補完を会話に詰め込むのはイヤだな、と。
ディレクターの橋野から散々言われていたんですが、現実の対人関係で、順序立ててわかりやすく、普通のスピードで話せる人なんて実際にはいませんよね(笑)。
美鶴みたいなタイプだったら、ある程度説明的なセリフを言わせても大丈夫だと思うんです。でも、『ペルソナ3』では“生きている”キャラクターにしたかったから、ゆかりや順平なんかは事態に直面したときに真っ先に感情が出てしまう。あとで状況を理解していくんです。
それと、言葉遣いをいま風にしたことも人間っぽくなった要因かなと思います。
――同じ『ペルソナ』シリーズでも、『2』までと『ペルソナ3』はテイストがまったく違いますよね。
田中:たしかに、けっこう変わっていますね。
けど、前作から8年も経って時代は変わりました。『1』と『2』が出た当時は、インナースペースに向けた作品が好まれていたんですよね。
だけど、いまはファンの好みも変わっていますから。僕と橋野で一度試してみたいと思っていたことがあって……。
――『ペルソナ3』で、ですか?
田中:そうです。いま、邦画が人気を集めていますよね。
外国映画と違って、邦画は斜に構えたようなカメラワークで撮っているものが多いんです。
しかも、シリアスなストーリーなのに、カメラが主人公から一歩引いた位置にあるから、決まりきらなくてコメディーに思えるものもたくさんあるんですよね。その手法をゲームに取り入れてみたかったんです。
「映画であれだけ多用しているのに、何でゲームであの手法を使っている作品がないんだろう?」って。きっと「何か突き当たる壁があるんじゃないか?」と思ってずいぶん検討したんですけど、じつはなさそうだな、と思えてきたり(笑)。
そういうテイストを、プレイして感じていただけたら、うれしいですね。
(“アイギス編”を作った理由について)
田中:アペンド版みたいなファン向けのコンテンツを作ろうと思ったときに、ファンの皆さんがいちばん見たいのは、やっぱり“後日談”なんじゃないかと思ったんです。
『ペルソナ3』の中では、学生寮というのがじつは特別な存在で……特別な目的を果たすために、特別な能力を持つ人たちが集められた場所なわけですよね。だから、学生寮の中にいるあいだは、まだその宿命の中にいると考えられる。そこから出て、鍵を閉めて外へ出て行く……つまり、「寮はもう必要ない、宿命が終わりました」という結末の物語が書けるんじゃないか、と思ったんですよ。
メインにアイギスを持ってきたのは、もともとアイギス以外は戦いに“巻き込まれた”形ですよね。でも、アイギスは対シャドウ用兵器として作られたわけで、戦いが終わってしまうと日常がなくなってしまう。その彼女に、帰るべき日常を見つけてあげたかったというのがいちばんですね。
――アイギス編の魅力とは?
田中:アイギス編では、各キャラクターの過去にあたる話と、キャラクターがその後どうしているのかといった話を描いています。
「これからさき、どういう風に生きていったらいいのだろう」って考えて決めたはずの人たちだったのに、いきなり最初に過去が描かれる。じつは、自分たちにはまだ戦いがあって、その時期を過ごしていたころは不幸だと感じていた自分のほうが、「平和になってしまったいまよりも充実していたんじゃないか」ということを思い返すこともあるんです。
それから、ジュブナイルものとしては王道中の王道ですが、仲間だったキャラクターと戦う話が入っているんですよ。
僕としては、そういう展開はしんどく感じてしまうタイプですけど、リサーチの結果「燃える!」という方も多くいらっしゃるみたいで(笑)。演出としては外せないところだ、と。
やっぱり、基本は軽いストーリーではないですね。ああいう結果を迎えたあとですから。
――まずは本編をやって、“アイギス編”をやって、もう一度本編をやってみたいですね(笑)。
田中:“アイギス編”だけプレイしても30時間ぐらいですから、かなりのボリュームですよ(笑)。

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最終更新:2022年12月05日 22:13