No.79 結城杏@世界忍者国様からのご依頼品



真っ白な猫がいた。
名をスキピオという。
スラっとしたしなやかな身体。少し長いその毛並みは尻尾の先まで美しく調っている。

この猫、先日見合いをした。
相手は人間の女の子だ。
いや、スキピオには見合いとはなんたるか、も知るはずもない。
スキピオの目の前にやってきたその女の子、名前を結城杏という。
杏は世界忍者国で農業を営んでいた。


お見合いが済み、スキピオは杏と共に行くことを決める。
撫でてきた手が優しかったから。常に自分の目線でいてくれたから。
なにより杏の元でごろにゃん出来るといいな、と思ったからだった。

 /※/

杏の元で、悠々自適な生活を送っていた、そんなある日。
「スキピオぉ~あのね、みんなで海に遊びに行こう!オイラの作ったトウモロコシとかも、たぁーくさん持って行って、バーベキューもするんだ!ね?楽しそうでしょ?」
にこにこ笑顔で語る杏。
そんな杏を見て、スキピオは「ニャーン」と一声鳴くと、おでこをごっちんしてきた。
「えへへ、さぁ、みんなと計画詰めて準備だよ!」
ウキウキとてとてと歩く杏の足元をスキピオは尻尾をピィーンと立ててついてきた。


それからの杏は、スキピオから見ても楽しそうだった。
スキピオがごろにゃん、とお腹を見せれば、そのお腹を撫でながら準備状態を語った。

海へ行く当日。
収穫したてのトウモロコシを籠たくさんに詰め、最終準備をしていた。
「えへ、スキピオのミルクもばっちしだよ。みんなでいっぱい食べよーね!」
「ニャウー」
グルグルと喉を鳴らし、杏の腕に収まるスキピオ。

いざ、出発!だった。

 /※/

~以下、スキピオの日記より~
※わんわんの方にも読めるように、訳しました。

○月×日(はれ)

杏と海にいったにゃ。
暑い砂と水(海のこと)が嫌いで逃げたら、杏が追い掛けてきて、日蔭でのんびりしたにゃ。

たくさんの人がいたにゃ。
杏のお友達が、泣いてるみたいな悲しそうな顔をしていたから、お電話を覗き込んでみたにゃ。
何かわかるかと思ったからにゃ。

ばーべきゅーの時間には、杏から大好きなアスパラをふーふーしてもらったにゃ。
杏のお友達からももらったにゃ。
ミルクとアスパラでお腹いっぱいになったにゃ。
幸せにゃ。

でも、何より、ずぅーっと杏と一緒にいれたのが嬉しかったにゃ。
杏と一緒に走ったり、パラソルの日蔭でゴロゴロしたり、岩にも登ったりして、楽しかったにゃ。
杏の頭の上は、居心地良くて、見晴らしもよかったにゃ。
落ちないように杏が支えてくれたんだにゃ。
また登りたいにゃ。


今度は杏と二匹(人)きりで、色んなところに行きたいにゃ。

(そう書いた後、スキピオは、杏の家にきた時に最初に杏が用意してくれた、居心地のいいベッドに丸まるとすぐに寝息を立て始めた。)

 /※/

ガチャ、とドアが開く音が静かに響いた。
「スキピオー?」
そっと声をかける杏。
スキピオが寝息を立てているのに気付いた。
「えへ、今日はありがとね。りんくちゃんもソーニャちゃんも、早く大切な人に再会出来るといいよね」
そっと夏掛けのタオルをかけてやる杏。
スキピオが起きないよう、優しく頭を撫でた。
「今日はお疲れ様。おやすみなさい。」
ちゅ、とスキピオの額にキスをすると、杏も傍にある自分のベッドへ潜り込んだ。

程なくして、一人と一匹の寝息を夜が優しく包んだ。


-Good Night-



作品への一言コメント

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  • Σ せ、赤面ものでしたっ!!ありがとうございますww -- 結城杏@世界忍者国 (2008-01-21 21:42:54)
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最終更新:2008年01月21日 21:42