奥羽りんく@悪童同盟様からのご依頼品



「・・・ふぅ、こんな所だな」
綺麗に掃除された部屋を見回し、無精髭の男が呟いた

ここは世界忍者国にある一軒家・・・奥羽恭兵の住まいである。
キノウツン国に続きこの国でも一人暮らしがいいとこの家を買ったのだが、この度また引越しをする事になったのである。

理由は、奥羽りんく、彼女が悪童同盟へと転藩すると聞いたからである。
間柄を問われると恥ずかしいので否定はするが、それでも恭兵にとってりんくが最愛の人である事は事実であり、その彼女が住まいを変えるのなら彼も一緒に行くのは当然であった。

そういう訳で、彼は自分の荷物を纏め、短い間とはいえ世話になった家の掃除をしていた。
傭兵という職業柄、恭兵は普段からあまり荷物になるような物は置いていなかったので荷造りは比較的早く終わったのだが、掃除はそうでもなかった。
彼の性格なのか、それともキノウツンの時よりも少し広めの家を買ってしまったからなのかは定かではないが、掃除をし始めると思ったよりも時間がかかってしまい、終わったのは日も落ちてしばらくしてからの事だった。


翌日、恭兵はトラックを運転し、りんくの家へと向かっていた。
トラックの荷台にはかなりのスペースが空いていたが、彼女の荷物を載せる事を考えれば少し心もとない位だと恭兵は思っていた。



……のだが



りんく「といっても、そんなに多くはないと思いますけど…服も私物も整理したし…」

軍手をつけたまま暫し固まる恭兵。
確かに、荷物が少ない方が引っ越しの手間も減るし楽なのだが・・・
彼も一人の漢であり、まぁありていに言うと、頼りになる所をアピールしようという下心も少なからずあったのだろう。

やる気が空回りして照れて視線をさまよわせる恭兵だったが、りんくが抱きついてくると慌てて軍手を外し彼女を抱きしめる。
「役に立たなくてすまん」
尻尾しおしおの様子の恭兵。
そんな様子を、可愛いと思いつつも慰めようとするりんく
「役に立たないなんてそんなこと!」
荷物は少ないとはいえ、やはり彼女一人で全ての荷物を運ぶのは大変であるし、なによりも恭兵が来てくれた事がりんくには嬉しかった。
「でも、そうですね・・・」
そういって、りんくは微笑んだ。

「この荷物、私ごと悪童同盟まで運んでくれますか? 運転手さん」




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最終更新:2007年12月20日 00:24