那限・ソーマ=キユウ・逢真@FEGさんからのご依頼品
やっと、あえた
一体、いつ会えるのかなぁ? 会いに行けるのかなぁ?
花の蜜をちゅうっと音を立ててすすりながら、妖精は大好きな人間を頭に思い描いた。
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その日の夜は星が空一面にきらきら散りばめられていた。
そんな空の下、真夏の島の祭囃子が聞こえる場所で。
小さな瓶に閉じ込められていたのを救い出してくれたのが、出会いだった。
妖精は幸福をもたらすから、て理由で私達の事を欲しがる人間は多かったけど。あの人は違っていた。
『なんでうちを助けるの?』
『ん? そりゃ、お前さんが可哀相だったからな』
色んな人間を見てきたけれど。
こんな事をあっけらかんと言ってしまう人間には初めて出会った。ううん、もしかしたら他にもいるのかもしれないけど。会ったのは彼が初めてだった。
そして、彼が私に投げかけてくれる言葉の1つ1つが温かくって。嬉しくって。
好きになって欲しいなぁ。ずっと好きでいたいなぁ。
素直にそう思った。
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それから、いっぱいいっぱい一緒だった。
彼と彼のお友達に、素敵な服をもらった。宰相府の迎賓館という広くて大きな場所にも行った。
そして、一緒に私の故郷に行って。
・・・・・・・・・会えなくなった。
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「本当に来るの? その人間」
「来るよ、Qの事ソーマは大好きだもん」
友達と笑って話しながら森をくるんと飛び回った。首に下げた黒曜石のペンダントが光を反射して、鈍く光るのがとっても綺麗。
でも、ちょっとだけ不安になってた。
貴方が呼んだらいつでも飛んで行くつもりなのに、声が届かなかったから。
どうしよ、うわき? 私がいないうちに誰か他に好きな人できちゃったとか?
それに、どうしよう。しばらく会ってないうちに彼の顔がどんなだったか消えかかってる。
やだ、やだ。折角会えても私が彼を忘れちゃったら意味がないよ。
会いたいなぁ、会いに行きたいなぁ。ソーマ・・・・・・・・・。
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花の蜜を飲んでいた時、声が聞こえた時は本当に嬉しくって。
声に導かれて飛んで行った先に貴方がいた時は。もう。
「Q!」
「あー。やっとこれた!」
「ごめん。色々と遠回りしていて、遅くなった。凄く待ったよね」
ごめんね。それは私も同じだよ。
貴方が泣きそうな顔をしていた時、すっごくすっごく嬉しいって思ったの。私の事をずっと探し続けてくれてたんだな、って分かって嬉しいって思った事。
「ううん」
「元気でよかった……心配したよ」
いっぱいいっぱい、色んな気持ちを込めて。
私はソーマに今一番伝えたい事を口にした。
「大好き」
飛びついた彼はとても温かかった。
私を撫でる手はとても優しくて。とても落ち着いた。
作品への一言コメント
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- おおう……。本当にこう思ってくれていたら嬉しいですねー。良いSSありがとうございます! -- 那限逢真 (2009-01-31 00:17:42)
引渡し日:
最終更新:2009年01月31日 00:17