こんこ@たけきの藩国様からのご依頼品



 きらきらひかる


 雷蔵は上機嫌だった。
 お呼ばれされたのである。バーベキューに。
 ばうばう2の頭を雷蔵は撫でた。
「この間会ったこんこが、バーベキュー行かないかって!! 楽しみだね」
 ばうばう2は尻尾を振りきれんばかりに振った。
「あはははは、ばうばう2も嬉しい?」
 ばうばう2は「ワンッッ」と言った。
Yesと言う事だろう。
「それじゃ、行くよ?」
 雷蔵はドアを開けた。
 小笠原は今日も晴天。雲一つない快晴だった。


/*/


 こんこが雷蔵を呼ぼうと思ったのはお礼であった。
 先の戦いで命を助けられた。本人はもしかすると覚えてないかもしれないけど、それで自分は救われた。だからお礼がしたいと思うのは人の心だ。雷蔵は食べるのが好きらしいから今日はうんと食べ物を持って来た。それで雷蔵が喜んでくれたらいいなあ。そう思ったのだ。
 約束していた海岸で、どっさり持って来た食べ物を並べ始めた所で、雷蔵の姿が見えた。
「こんちわー。前のお祭りの時以来かな。」
 こんこが声をかけると、雷蔵は目をキラキラ輝かせて駆けてきた。
「食べさせてくれるってほんと!?」
 雷蔵がキラキラした笑顔を見ていると、こっちまで嬉しくなってきたな。
 こんこは嬉しそうな雷蔵に「おう」と頷いた。
「今日はバーベキューするからね」
「おー!!」
 それを聞いた途端雷蔵は万歳した。
 雷蔵の隣でばうばう2も嬉しそうに尻尾を振っていた。
「ヘヘヘ」と舌を出してこんこを見上げていた。
 嬉しそうな二人(一人と一匹)をにこにこして見ながら、こんこは準備を始めた。
「好きなだけ食べていいよ~」
 こんこが準備を始める横に雷蔵はタタタと寄ってきた。
「手伝おうか?」
「うんじゃあお願いします」
「うん。コウ見えて得意なんだ」
 雷蔵は楽しそうにこんこの用意した鉄板に焼きソバを炒め始めた。
 ソースの匂いに、隣でばうばう2が「ヘヘヘ」と舌を出して尻尾を振りながらお座りしてこっちを見ている。
 網の上で肉や野菜がジュージュー焼ける。
 こんことばうばう2が見ていると雷蔵は嬉しそうに手際よくそれらをひっくり返していく。
 うーん、せっかくの主賓を働かせてばかりもなあ。
 こんこは「俺も手伝うよ。今日は雷蔵くんが主賓なんだしね」と言うと、雷蔵はにっこりと笑って言った。
「ううん。僕、こういうの好きだし。食材代おごりだし」
 いい子だなあ。
 こんこは雷蔵の申し出に素直に感動したが、まあそれはそれ。これはこれ。
「やってもらってばっかりは俺の気がすまないんだけどなぁ……」
「じゃあ、いっしょに焼こう!」
「おう!」
 二人は並んでジュージューと肉や野菜を焼き始めた。
 ばうばう2の皿に冷ました肉を盛ってやると「ヘヘヘ」と嬉しそうに舌を出しながらモグモグと食べ始めた。
 三人(二人と一匹)は仲良く並んでバーベキューを食べ始めた。


/*/


「いただきますっと、そうそう 実はお礼を言っとかないとあかんことがあったんだった」
 こんこは皿に野菜を盛りながら言った。
「なんの?」
 雷蔵はにこにこ笑いながら肉を頬張っている。
「前にレムーリアで緑オーマと戦ってたときに、助けてもらったからね。あの時助けてもらえなかったら、死んでたかもしれないから」
「ああ。あれ? ううん。丁度あの山にようがあったんだ」
「ありがとうございました」
 こんこが深く頭を下げると雷蔵が首をぶんぶん振る。
 おさげが揺れた。
「やめよう。友達だろ?」
「そうか、そうだね。」
 こんこは頷くと空いた網に肉をどんどん乗せ始めた。
「まぁでも、自分の中でのけじめみたいなものもあるし。今日はじゃんじゃん食べちゃってな」
「律儀だなあ。でも、僕、そう言うところすきだよ」
「そう?ありがと」
 ひょいぱくひょいぱくひょいぱく。
 雷蔵は話を聞きながらもモグモグと網の上の物を食べていく。速度は速い。しかも幸せそうな顔で食べる。
 こんこは苦笑しながら雷蔵のコップにお茶を淹れてあげた。
「あんま急いで食べるとのどつまらせるぞー。ちゃんと飲み物も飲んでね」
「こんこはたべないの?」
「ん? あぁ食べる食べる。俺も食べるのは好きだもん」
 と言った所で、雷蔵の口の周りが汚れている事に気が付いた。
「うをっ。口の周り汚れてるぞ。」
 口の周りを拭ってあげると、雷蔵はにこっと笑った。
 何か弟ができた気分だ。
 こんこは自然と笑みが浮かんだ。


/*/


 雷蔵はこんこと沢山話せて幸せだった。
 たくさん肉や野菜がある事はもちろんの事、こんこは話を聞いてくれるいい奴だ。
 今度学校に行く事を話したら一緒に喜んでくれた。
 一緒に洞窟も探検したら、何故かペンギンに出会ってびっくりした。
 後少しだけ喧嘩もした。と言うか一方的に怒った。そこは反省しようと思った。
 次は何しよう。どうしよう。
 雷蔵はばうばう2を撫でた。
「ワンワンッ」
 ばうばう2は「ヘヘヘ」と舌を出して尻尾を振っていた。
 今度会う時はもっと上手く行くようにしよう。
 雷蔵はのんびりと思った。
 雷蔵は過去の事は引き摺らない。さっき怒った子事はもう忘れていた。
 雷蔵はのんびりと、次の冒険の事について考え始めた。


作品への一言コメント

感想などをお寄せ下さい。(名前の入力は無しでも可能です)

名前:
コメント:






引渡し日:2008/07/06


counter: -
yesterday: -

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2008年06月16日 18:04