橘@akiharu国様からのご依頼品


『宇宙速度と人体構造について』

作:11-00230-01 玄霧弦耶


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皆さんは宇宙速度というものをご存知だろうか。
簡単に言ってしまえば、宇宙へ出るための速さだと思ってくれて構わない。
といっても、実際は加速し続けることが出来れば問題は無いわけだが。

さて、その宇宙速度だが、地球の重力より逃れる場合の速度は、秒速約11kmとなる。
実際のところ、その速度を受けるわけでは無い。
が、それに近い速度を生身で受けるとどうなるだろうか。

その答えを、図らずとも体験することになった人物がいる。
事の顛末は些細な説明不足であったが、この場合、顛末よりも結果が重要となる。

では、どうなったか。
ぺしゃんこである。人間は、脆かった。


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その日、ISSはそこそこに平和であった。
出撃コールはあるものの、そんなに数はおおくなく、てんやわんやの医師たちをどうにか休憩させるくらいには、平和であった。

「・・・・・・」

ISSの一室。そこで英吏は一人、新聞を読んでいた。
その新聞にはテラ領域に帝國の皇帝が訪れることが書かれていた。

「・・・・・・」

ため息をつく。
空爆があった後の共和国である。この報道で、ISSが(具体的に言えばそこに属する医師たちが)さらに忙しくなるのは分かりきっていた。
共和国の治安悪化は著しく、それを考えると医師たちが休める今日は平和な部類に入る。

そして、やはり。コールが掛かった。
受話器をとり、内容を確認する。
星間リンクゲートより、akiharu国の国民がつぶれたので医師を派遣してほしい。とのことだった。

「・・・また、第七世界人か・・・」

それだけ呟いた後、トラオとサーラのどちらを派遣するかを2秒だけ考え、宇宙なのでサーラに行ってもらうことにした。
これでもまだ、ISSは平和な方ではあった。


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そして、星間リンクゲート。
その中のオペレーター室の一角に、人間の形をした機械と、人間の形をしていない人間と、人間の形をした人間が居た。
言わずもがな、かれんちゃん、橘氏、サーラ先生の順番である。

「あらー。これはまたぺしゃんこねー。アニメみたいー」

人間の形をとどめていない人間に向かって言うにはやや正しくないセリフである。
そもそも、ペシャンコというよりはロケットに貼り付けられて大気圏から出るだけでボキボキの・・・
いや、想像は止めておこう。つぶれた姿がn(ザーーーーー

(ぽーん)ただいま映像が乱れたことを深く お 詫 び  い  た  し   ま    す

閑話休題。

「えっとー、これがここでー。こっちがあっちでー」
「・・・・・・」

そして、そんな事はまったく気にせずに人間の形に戻していくサーラ先生とそれを眺めるかれんちゃん13番。
なんというか、非常に形容しがたい状態であった。
どちらかというと、かれんちゃんは何故つぶれたのかよく分かってないような感じもするが。

「ミスタ橘は復旧可能でしょうか?」
「だいじょうぶよー。あとはここをこうしてー、はい、できたー」

と、何時の間にやら元の形に戻っている橘氏。
ところどころ何かが違う気がするが、きっと気のせいである。
顔の一部が不自然に黒かったりなんて絶対に無い。多分。

「大丈夫ー?」(ぺしぺし

「・・・・・はっ!?ココが天国ですか!」

どうやら、本当に無事だったらしい。
超薬戦獣でもいくらなんでも無茶な。という気はするが、復活するものは仕方ない。
…もしかしたら、この辺で第七世界人とか見分けられてるんだろうか?
とか思うのは筆者だけであろうか。

「ここは宰相府の星間リンクゲートですよ」
「天上ですが、天国ではありません」

と、珍しく苦笑しつつ答える。サーラ先生。と、其れに続くかれんちゃん。
この時、橘氏は「なんだか凄い夢を見た」といってるが、多分それは実体験だろう。
とても人には想像の出来ない域なのだろう。多分、体験したら死ぬし。

その後、かれんちゃんはリンクゲートの管理。橘氏はリンクゲートの見学というか、リンクゲートの制御をするかれんちゃんを見学することとなる。
サーラ先生といえば、治療が終了すると早々に帰還していた。
まだまだ患者は大量にいるのである。サーラ先生の一日はまだ始まったばかりであった。


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そして、深夜。
かれんちゃんズがその日の仕事を終え充電を開始した頃、サーラ先生がISSに帰還した。

「つかれたー」

帰るや否やソファーに倒れこむサーラ先生。
行儀が悪いが、実際に一日働きづめである。それをとがめるものはISSには居なかった。
隣では同じようにトラオも横になっていた。

「おつかれさまです」

英吏がその二人を労う。その言葉に、トラオが手を上げて答えた。
もちろん、英吏も出動しており、疲れていないわけではない。
医師たちの疲れのほうが桁外れなだけである。

「んー、たまにはー、甘いものとか食べたいわー」

ソファーにねっころがりながら言うサーラ先生。
その言葉に、英吏もトラオも苦笑するしかなかった。
もちろん、サーラ自身も期待はしていない。ISSは貧乏なのであった。
この時、英吏はふと広島で戦っていた頃を思い出した。
貧乏さで言えばよい勝負で、甘いものについては皆いつも欲していた。

「まぁ、そうですな。こんなもので宜しければ」

と、英吏がポケットからサプリメントドロップを取り出す。
だいぶ前に手に入れてから、少しずつ食べていた英吏の好物であった。

「あら、いいのー?これ、大事に食べてたんじゃない?」
「いえ、いいんです。さぁ、どうぞ」

サーラとトラオにドロップを一つずつ渡す。
それで丁度なくなったらしい。だが、彼なりの気遣いなのか、まだ残っているように大事に袋をしまった。
二人はそれを気づきながらも、大事に舐めた。甘みは少ないが、疲れた体に染み渡るようだった。

そしてまた、コールがかかる。

「はい、こちらISS・・・はい、はい。わかりました。直ぐに向かいます」

英吏が受話器を取る。今度は事故らしい。
それを聞いて立ち上がろうとしたサーラを手で制し、トラオが立ち上がった。

「ボクがいくよ。場所は?」
「すまんな、場所は……」

そうしてISSの一日はまだ続く。
この後に彼らと彼らの周りに起こる出来事を知るものは、この時点では、まだ居ない・・・


作品への一言コメント

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  • ぶはー!ここか、ここなのかw2次元になれるなんてドリームでした・・・ISSの方々にはホント頭があがらないのです・・・どうもありがとうございましたー -- 橘@akiharu国 (2008-06-16 23:21:33)
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最終更新:2008年06月18日 00:03