ネタバレ考察 > 登場人物 > 暁美ほむら > ワルプルギスの夜の正体に関する考察

要旨
 TVアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』において、ラスボスとして登場した最強の魔女、ワルプルギスの夜。
 圧倒的な力で世界を蹂躙し、暁美ほむらが時間をループするきっかけとなった存在であるが、彼女(?)は結局何者だったのだろうか。
 今回、私がワルプルギスの夜の正体に関して行った考察を、ここに纏めておく。

目次

第一章 序論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
1.1 ワルプルギスの夜とは何か
1.2 ワルプルギスの夜に関する疑問と仮説

第二章 検証・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
2.1 仮説の根拠
2.2 魔女化の過程
2.3 考察

第三章 まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
3.1 彼女の、最悪の結末

参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7


第一章 序論
1.1 ワルプルギスの夜とは何か

 ワルプルギスの夜は、『魔法少女まどか☆マギカ』に登場する最強の魔女である。
普通の人間には災害として認識されるほどの強大な力を持ち、他の魔女と違って、結界の中に隠れて身を守る必要がない。
ただ一度具現化しただけでも、何千人という人が犠牲になるとまで言われており、魔法少女が二人がかりで挑んでも勝てるかどうかという圧倒的な戦闘力を持つ。
語源はヨーロッパで広く行われる迎春祭であり、様式や目的は地域によって様々だが、4月30日の夜から5月1日の朝にかけて行われ、春の訪れを祝って迎え火を焚くという点が共通している。

1.2 ワルプルギスの夜に関する疑問と仮説
 『魔法少女まどか☆マギカ』の世界において魔法少女とは、キュゥべぇと契約して願いを叶えてもらう代わりに、魔女と戦う事を運命づけられた少女たちのことである。
 事の真相は、魔女とは魔法少女が変化したものであり、キュウべぇは魔法少女が魔女に変化する時に起こる感情の相転移からエネルギーを回収することが目的だった。
 故に、魔女であるワルプルギスの夜も、かつては魔法少女だった筈である。
 しかし、ワルプルギスの夜と、劇中に登場したほかの魔女とでは、あまりにも違いが大きすぎる。
 圧倒的な戦闘力に加え、結界を形成しないという点や、おそらく複数回出現しているという点など、魔女というカテゴリに納めてしまっていい物なのかも疑わしくなってくる。
 魔法少女と魔女の戦力差や、魔女化した時の能力の変化などには不明な点が多いが、全くの無関係だとは思えない。
他の魔女とは一線を画する力を持つワルプルギスの夜は、一体どんな魔法少女だったのだろうか。何故あれほどの力を持っており、どんな理由で魔女になってしまったのだろうか。
私はそれに対して、一つの仮説を立てた。
まどろっこしいのは好きではないだろうから率直に言わせてもらうが、ワルプルギスの夜の正体は、暁美ほむらなのではないだろうか。

第二章 検証
2.1 仮説の根拠
 まず、私がそう考えるに至ったきっかけと根拠を述べておこう。
 きっかけは、本編第10話において、ほむらのループ4周目の世界における、魔女化したまどかを見たことだった。
 キュウべぇと契約したまどかは最強の魔法少女となり、最強の魔女であるワルプルギスの夜を一撃で葬り去る。しかしその反動によって、彼女のソウルジェムは一気に黒くなり、まどかはワルプルギスの夜を遥かに越える魔女へと変化してしまう。
 この時私は、『強力な魔法少女からは強力な魔女が生まれる』という法則が存在するのであれば、ワルプルギスの夜もまた、かつては強力な魔法少女だったのではないか、と考えたのである。
 そして、まどかに次ぐ強力な魔法少女としてほむらが思い浮かび、試しに検証してみた結果、驚くほどにワルプルギスの夜と暁美ほむらには共通点が多かったのである。
以下に、私が発見した両者の共通点を記載する。

ワルプルギスの夜
1.性質は無力。(公式ページ)
2.回り続ける愚者の象徴。(公式ページ)
3.歴史の中で語り継がれる謎の魔女。(公式ページ)
4.ひっくり返ると能力発動。(公式ページ)
5.強大な戦闘力。
6.歯車のモチーフ。
7.ほむらの資料の中にあったFeuer(火)の記述(第11話 ほむらの部屋)
8.語源は北欧の祭り。夜から明け方にかけて行われ、火を焚くことが多い。
9.頭部の髪?が二股に分かれている。
暁美ほむら
1.まどかを救う事に何度も失敗している。契約以前のほむらは文字通り無力だった。
2.まどかを救うまで、世界をループし続ける。
3.時間操作の能力。詳しくは後述。
4.時間逆行発動時、盾に付いている砂時計を反転させる。
5.メイン5人の中では、まどかを除けばおそらく最強。
6.時間停止発動時、時計の内部機構が描写される。
7.ほむら→焔、炎
8.暁美→美しい夜明け ほむら→火
9.髪が三つ編みの時もばらしているときも二股に分かれている。

2.2 魔女化の過程
 ワルプルギスの夜の正体は暁美ほむらである、という仮説の根拠は以上である。
では、彼女はどのようにして魔女になったのか。なぜ、同一人物であるはずの二人が同じ時間に同じ場所に存在しているのかを考察したいと思う。
 何らかの願いを叶えてもらうためにキュウべぇと契約した少女が、魔法少女であり、魔法少女は絶望することで魔女へと変化する。
 キュウべぇ曰く「祈りから始まり、呪いで終わる」「どんな希望も、それが条理にそぐわないものである限り、必ず何らかの歪みを生み出すことになる」との事で、おそらく魔法少女が絶望する原因は、自身がキュウべぇに叶えてもらった願いにあるのだろう。
 例えば美樹さやかは、「友人の腕を治してもらうこと」を願ったが、彼女は電車の中で出会った二人の男性とのやり取りで、献身に見返りを求めないという理想を破綻させてしまい、心の拠り所を失ったことで魔女になってしまっている。
 同様に、ほむらの場合は「鹿目まどかを救うこと」が願いであり、3周目の世界と本編においては、まどかを救えなかったことから魔女化寸前にまで至っている。
 キュウべぇに願ったことが、そのまま魔女化の原因になるのは明らかだと言えるだろう。他の魔法少女同様に、彼女にも魔女化する条件は揃っていたわけである。
 しかし、仮に彼女が魔女化してワルプルギスの夜になったとしても、同一人物である以上、二人が同じ時間軸の上で出会う事は有り得ない。では、なぜワルプルギスの夜は出現したのだろうか。
その答えは、ほむらがまどかを救うために同じ時間をループしていたという点にある。
 彼女は、自身の行動を変化させることで、いくつもの並行世界を横断し、まどかを救う方法を探していた。(第11話、キュウべぇの台詞より)
 ほむらは、まどかを救う事に失敗すると、別の世界へと移動し、記憶を保った状態で目を覚ます。そして、その世界を新たなステージとして、まどかを救う方法を探し始めるのである。
 ここから先は私の仮説となるので、注意して読んでほしい。
 並行世界は無限に存在するわけなのだから、世界を渡り歩いてまどかを救おうとしていたほむらも、実は一人ではなかったのではないだろうか。
 本編のほむら(以下、ほむら0)によって記憶を上書きされる前にまどかと出会い、ほむら0と同様にまどかを救おうとして魔法少女になったほむらが、他にも居たのではないだろうか。
そしてそのほむらも、まどかを救うために世界のループを行い、最終的に絶望して魔女に―――ワルプルギスの夜になってしまったのではないだろうか。
 別の世界のほむらが魔女化してワルプルギスの夜となり、世界間を移動してほむら0の前に現れた。そう考えれば、つじつまが合うのである。

2.3 考察
 ワルプルギスの夜の正体は、別の世界の暁美ほむらである。この仮説が正しければ、本編中の疑問をいくつか解決することも出来る。
 例えば、ワルプルギスの夜がもつ強大な力の理由である。
 まどかが最強の魔法少女足り得たのは、ほむらがまどかを救おうと時間をループし続けた結果、まどかが、ループした時間で起こったあらゆる出来事の元凶となってしまった為である。
 そしてその力は、元凶となったまどかだけではなく、まどかのために行動したほむらにも宿っていたのではないだろうか。
 ほむら0は、既に契約を終えた後であるためにその影響を受けないが、まだ魔法少女になっておらず、ほむら0による上書きも受けていない他の世界のほむら達には、ほむら0がループを繰り返すたびに力が蓄積されていった筈である。
 そうして力を蓄えた他の世界のほむら達の内の一人、或いは何人かがワルプルギスの夜となり、別の世界に出現したのではないだろうか。
 こう考えれば、ワルプルギスの夜の強大な力の理由が説明できるし、また、ワルプルギスの夜が以前にも出現したらしい(第6話、ほむらと杏子の会話)事についてもつじつまが合うのである。
 また、ほむらがまどかを救うためには、ワルプルギスの夜の打倒は必要条件だと考えていいだろう。事実、ほむらはワルプルギスの夜を倒すために、行動パターンの解析や武装の調達など、周到に準備を行なっていた。
 しかし、ワルプルギスの夜が魔女である以上、魔女として覚醒する寸前までは魔法少女だった筈である。そして、強大な力を持つワルプルギスの夜に比べれば、前身となる魔法少女のほうが、まだ御し易いのではないだろうか。
 早い話が、ワルプルギスの夜を打倒するには、前身である魔法少女の魔女化を防ぐ事が一番の近道だと思えるのである。
 ループを繰り返すうちに前身となっている魔法少女を見つけ出し、その絶望を防ぐか、手っ取り早く殺してしまうかすれば、ワルプルギスの夜は現れなくなるはずなのである。
 しかし、ほむらはそうはしなかった。それは、前身となった魔法少女が、ほむらでは辿り着けない所に居たせいで、見つけ出すことが不可能だったからではないだろうか。
 先の仮説が正しければ、この疑問も解決することが出来る。ワルプルギスの夜が世界の壁を超えて現れるのであれば、いかにほむらでも見つけ出すことは出来ない筈だからである。
 尤も、見つけ出したところで、ワルプルギスの夜の正体が別の世界の自分だと知れば、それこそ絶望して魔女になってしまうだろうが……

第三章 まとめ
3.1 彼女の、最悪の結末
仮説:ワルプルギスの夜の正体は、別の世界の暁美ほむらである。
根拠:両者には非常に共通点が多く、つじつまもあっている。
考察:この仮説により、幾つかの疑問点を解消できる。

 最低限つじつまは合っているとは思うが、我ながら救いの無い説だと思う。まどかを救うために行動していた筈のほむらは、実はまどかを破滅させる最大の要因を作り出してしまっていた事になるのだ。
 キュウべぇ曰く「祈りから始まり、呪いで終わる」「どんな希望も、それが条理にそぐわないものである限り、必ず何かの歪みを生み出すことになる」らしいが、ほむらはまさにそれを体現してしまったのだろう。
 最終的には、最強の魔法少女となったまどかの願いにより、まどかを含む全ての魔法少女は魔女化の運命から救われることとなるが、改変された後の世界においても、ほむらはキュウべぇと共に戦い続けている。
 彼女の行く先に何があるのかは分からないが、せめて、彼女が息絶えるその瞬間まで、彼女が命をかけて救おうとした最高の友達の事を、忘れないで居られることを願う。
  • という点から、「暁美ほむらがワルプルギスの夜の元の魔法少女である」という説も存在していた。しかし、現在はゲーム版でほむらの魔女化した姿が登場したため、否定されている。


参考文献
魔法少女まどか☆マギカ公式ホームページ:http://www.madoka-magica.com/
魔法少女まどか☆マギカWiki:http://www22.atwiki.jp/madoka-magica/
アニヲタWiki:http://wiki.aniota.info/

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最終更新:2016年03月15日 18:42