スキーボードに解放式ビンディングを取り付け

2012年2月6日(月)スキーボードに解放式ビンディングを取り付けてみた。

僕はスキーに関しては「私をスキーに連れてって」世代。スキーバブルか、バブルスキーかともかく待ち時間の無いリフトなんて無かった。板は硬くて長いロシニョール、靴は履きにくいラング、アマチュア無線、セリカ、松任谷由実…。三上博史カッコ良すぎてみんな板の脱ぎ方まで真似した。チロリアのビンディングか半分はずしといてポンと飛んでさっと脱いでぱっと板を立てる。スキー文句無く上手かったけどあれ本人?本人だとしたらたいしたもんだ。パトロール級の上手さだ。それに比べ「ゲレンデがとけるほど恋したい。」の大沢たかおは下手だった。

それはさておき、当時からのスキー。持ってますけど、もう乗れまへん。体力の衰えだ。当時は長くて硬いのがステータスだった。カービングなんて無い。ちんたら滑ることはオシャレじゃないとされた。しかし、滑降の選手じゃあるまいし50歳を過ぎた今、190cmの硬い板に乗ってもボーゲンするのが関の山。ミッドスキーと言われる130cmぐらいのカービングのも楽そうだが、どうせチンタラ滑るならもっと短いやつの方が持ち運びもしやすいと思って、数年前にスキーボードというのを買った。1万円以上したかな。短い割りに高いな。99cmか99.9cmか知らないが、ともかく1mをわずかに切る。1m未満のスキーにはDIN規格上解放式のビンディングをつけなくてもいいことになっているらしい。こけても足を上に向けりゃ大丈夫ということで。だいたいこれは息子が乗っていたが僕もたまに乗って、結構楽しめると思った。後ろ向きになったり回転したりできる。ファンスキーなんて言い方もあるのかな。ショートスキーは昔からあったがもっと短かかったのでうもれて止まりそうになるので良くない。

ところでこのスキー、はずれない。短いから大丈夫だろと思うが、
http://www.est.hi-ho.ne.jp/snowman-yukio/on-your-risk/funski1.htm
みたいに怪我することもあるらしい。そりゃそうだろ。スピードださんように気をつければいいのだが、ちょっとバランスを失ってトップを柵に引っ掛けるとか、ぴょんと飛んだら穴やブッシュで足先曲げられるとかで、スピード出てなくても怪我する時はしそうなのでだんだん怖くなってきた。ビッグフットとか60cmほどのショートスキーならはずれなくてもいいけど、1mとなるとちょっとね。

それで、もう何十年も昔のスキーのビンディングをつけてやろうと思った。
しかし、これについてネットで調べるといろいろ否定的な話があった。

●ビンディングの前後の長さが長いので、ネジの部分の板厚が足りない。
●同様の理由で、トップとテールのフレックス(しなり。昔ベンドとか言わなかった?)が悪くなる。
●板の幅が広いので流止めが動作しない。
●自分でやる場合、前の穴の防水処理などをよほどしっかりやらないとウッドコアだったりすると板が腐る。
●重くなるし、フィット感がなくなり、取り回しにくい。

中には、ビンディングで滑るようなもので解放しすぎてマトモなビンディングの動作しないからかえって危ないという意見もあった。

???
まあ、やってみよう。
だめなら仕方ない。元に戻す。
しかし、こういう意見を言っている人たち、本当に自分でやってみたことあんのかよ?
何もせずにあーだこーだ言ってんじゃないだろな。ちゃんとやって経験してんのか?
そんなわけで、実際やってどうなのかが知りたいからやってみるぜ。

これは、15年ほど前かな。新しい方だ。アトミックの185cmデモケブラー。ビンディングはサロモン777。昔は下手なくせに高いスキー買ったな。靴は息子のノルディカのまあ、これは安もん。

ビンディングはずしてタップネジの溝のところで径を計ると4.1mm。4mmの穴でいいでしょ。
板に入ってたネジの長さは7~8mmぐらいかな。穴は7mmぐらいの深さにしよう。

ドリルにビニールテープを巻いて印をつける。これ以上掘るな!貫通だけは避けたい。

ビンディングはずして、この穴の寸法を写し取れば手っ取り早い。

A3の紙当てて、濃い鉛筆でサササッと穴のあたりをこするようにすればその辺の凹凸が映し出される。

そのようにして作った型紙だ。靴のセンターラインと左右のセンターラインも引いておく。

スキーボードの非解放式ビンディングをはずした。こちらにも靴のセンターラインと左右のセンターラインを引いておく。気になる板厚だけど、確かに一番後ろのネジが危ない。後ろのビンディングはレールのできるだけ後部にある状態で取り付けるべし。つまり、ビンディング全体の長さをできるだけ短くして取り付けるべし。まあ、でもいけるよ。問題なし。

前の穴、シールで塞いだ。ヘルメットや車に貼ったりする反射テープがあったので、そいつを丸く切ってネジ穴に貼る。エポキシか、コーキング剤で充填しようかとも思ったが、駄目だったらすぐに戻したいのでテープにした。はがれなければ防水性はある。

流止め、無理やり広げる。実際これは取り付けた後で力まかせに広げれば何とかなるで。

ほれ!ちゃんと付いたで。確かに板の厚みが厚いところのぎりぎりの範囲になっているけどね。特に後ろ。ビンディングの最後部はちょっと薄くなっているからベンドもあって、少し浮いた感じになっているかな。まあ、問題なし。ネジはがっちり付いた。流止めも広げれば下に出る。

まあ、こんな感じだ。この靴よりソールの長いやつは苦しいな。もし、やってみようという人が居たらその辺はよく確認すべし。大人の男の場合、やはりクリアできない場合もあるかもしれない。

全体を眺めるとこんな感じ。前の板のしなりは問題なかろう。後ろは微妙だけど、これは滑ってみないとわからん。流止めは問題なし。そりゃ、広げなきゃ駄目だけどハナからだめときめつけるのはどうかと思うね。たぶんこれは実際使えると思う。

これは上手くいくと調子に乗って、オークションでスキーボードを手に入れた。送料入れても3千円ソコソコ。これに付けたれ。

手前のやつはオガサカのユニティーもともと190cm。白馬村の八方尾根なんかでは身長の1.5倍以上もありそうなユニティーを履いた地元の高校生が、こぶこぶの急斜面をすっごいスピードで、しっかり両足に体重を載せ、大きな半径でノビノビした完璧なパラレルターンを披露していたな。遠くから見ればまるで野うさぎがギャップの上から上をピョンピョン跳ねるように猛スピードで走っているようだった。しかも、男女混合4人ぐらいで連なって、同じコース取り。完璧にスキーをコントロールしている。スキー客の憧れの的だったな。まさに雪ん子たち。ちまちました連続ブレーキみたいなウェーデルンなんて絶対やらない。ギャップの一つや二つは飛び越しながらパンパンパーンと、絶対に横滑りなくむしろ谷足で漕ぎながら山足に載るようにターンしながら加速して、あっと言う間に遠くに消えていった。彼らのパラレルこそがあるべき滑りの典型であると、我々は思った。だからユニティーを買った。でも、もちろんあんなふうには滑れなかった。僕が真似したら、2個目のギャップで空中分解だ。結局使いこなせないまま年をとり、15年ほど前、アトミックを買う前、あまりにも曲がれないから後ろを60cmほど切り取って130cmぐらいの言わば最近流行のミドルスキーにしてやった。結果、曲がれるけど、例のブレーキングターン。そりゃそうだ。エッジのRは同じだから曲がろうと思えば横滑りしかない。ターンはエッジのRとスキーのしなりでやるべき。切り取ったところで固さもRも変わらないから、取り回しはしやすくても横滑りターンしかできない。もう、ユニティーは無理。この3千円のスキーボードで、クリクリちまちま回ろう。

ユニティーのビンディングは例のチロリア。動かし方が少し変わっているのでメモ。このマイナスねじが横方向でロックした状態。

マイナスねじを縦方向にすると可動状態になる。この状態で、後ろのレールから金具も流れ止めも前方向に抜き取ることができる。

黒い化粧版の手前をかなり持ち上げて引き抜けば、前の金具の隠しネジが見える。

同じようにして、こちらのスキーボードにも解放式のビンディングを付け替えた。流れ止めも広げれば当たらない。こちらのスキーはウッドコア(中が木)だった。エッジのRはかなり大きくて寸胴。何でもいいさ。ともかく問題なく装着できた。

近々スキーに行くのでどんな感じか、滑った結果をについてレポートする。
多分使えると思うが、滑ってみないとわからない問題があるかも知れない。(つづく)

はい!
続きです。

スキーボードに解放式ビンディングを付けて滑ってみた。
このスキーはヤフーオークションで3000円そこそこで仕入れたウッドコアのもの。
ビンディングは20年ほど前のチロリア。
飛騨流葉スキー場 2012年2月21日 撮影。
天気良く、ガラ空き貸切状態。昔では考えられない絶好のスキー環境。


息子がアイフォンで撮ってくれた。横向きの方が良かった?まあ、文句は言わない。

滑った感想。

ビンディングは年(52歳)のせいもあってすぐにはずれるよう設定。最高10のところ2.5に合わせた。
今さら骨折ったらもう治らん気がする。
ちょっとでも引っかかったらすぐはずれる。
スピードも出さないし、こんなもんでチンタラ滑るのがいい。
天気も景色も雪質も最高で、おまけに人が少なくてほとんどゲレンデは貸切状態。
景色を満喫しながらチンタラ滑りました。

ご覧の通り、エッジングも甘く、連続横滑りのへたくそだが、この程度のレベルのスキーヤーは、数としては大多数じゃないの?
だとすれば、大多数のスキーヤーにとってスキーボードに解放式ビンディングをつけることは安全面から正解と思う。
あくまで個人的見解だから、責任を持つつもりは無いけど、非解放式で骨折した人の多くはこのような解放式を付けていたら骨折していないのではないかと思う。
チンタラ滑るぶんにはどう考えても非解放式より安全だ。予期せず何かに引っかかってもすぐはずれるから骨折のリスクは低い。
トロいスピードで滑るぶんには滑りの感覚も特に何の問題も無い。非解放式に比べれば重いし大きいが、それが滑りにどう影響するのか僕のレベル(=大多数のスキーヤーの平均的レベル)ではわからない。悪い影響は無いという事だ。
ただ、アクロバティックな滑りやある程度以上スピードに乗るような滑りやギャップなどを攻めるようなモーグル的な滑りをやるとなれば
板のしなりの少なさ(特にテール)やビンディングの重さが何がしかの問題を引き起こすのかも知れないが、そういう人は非解放式にすればいい。
はっきり言って、ほとんどの人にとって、解放式のビンディングを取り付けるのが良いと思う。
ただし、取り付けは結構面倒。
ショップでは、何やかやと理由をつけてやってくれなさそう。やってくれても高そう。
自分でやるしかないと思う。

自分でやる場合の最大の注意点は穴あけで「貫通」を避けること。
たしかにビンディングの長さがかなりあるので端っこのネジは板厚が薄くなっていくところに捻じ込むことになるので注意すべし。

もとの非解放式ビンディングのネジ穴はシールで塞いだが、これは駄目だった。いくつかのシールが破れた。水が入って、中の木に悪影響があると思う。シリコンシーラントなどでで埋めておく必要がある。

(完)




最終更新:2012年02月28日 23:20