注.やろうと思えばこのアンテナは無線LAN機器の外部アンテナとして使えると思いますが、技適機器の改造となり電波法違反ですので、僕はそうすることを推奨しません。

ヘンテナは、変なアンテナだからヘンテナと言いますが、日本のアマチュアが生み育てて、世界に広まったアンテナです。僕も50MHzや430MHzでいろんなヘンテナを作って楽しみました。とにかくいろんな面で優れたアンテナだと思います。実際作って、使ってみればそれがわかります。そして何より楽しいです。ヘンテナの理論的な隙を突いたようなことが書かれているのを見たことがありますが、意味がわかりません。ヘンテナは独創的なアイデアとそれを形にする実行力とあくなき実験の繰り返しをおこなう探究心によって様々に進化し広がってきました。ヘンテナの理論的な追求も半端なくなされています。それらは金銭上の利益のためでなく専ら無線技術の興味によつてなされた技術的研究の産物だと思います。

アンテナの理論はいまだに確立されているわけでもないのに、それをもってして多くのアイデアや数々の歴然とした実験結果の集積を評価すること自体おかしな話で意味がないです。理論に合わないから結果が間違っているのではありません。結果を説明できないのは理論が不完全だからです。

とにかくヘンテナにハマると昼も夜も頭の中は楽しいヘンテナで埋め尽くされてしまいます。

クワトロというのはイタリアかスペインかその辺の言葉で4の意味です。アウディ・クワトロはドイツ車ですがフルタイム4駆の4がクワトロ。
それはさておき、クワトロヘンテナは、4つのループがあるからクワトロ。
1つのループの大きさは横1/3λ、縦1/6ラムダです。だから1つのループのループ長は1ラムダです。このループを単純に横に4つ並べて中央から給電するというもの。マッチングセクションはありません。だから調整が大変そうですが、2.4GHz帯では波長が12cmほどです。次の式で計算できます。
λ(cm)=30/f(GHz)
波長が12cmでエレメントの太さが2mm。波長に対してエレメントがかなり太い場合、広帯域になる傾向があります。さらにヘンテナのようなループアンテナはもともと広帯域です。だから、調整なしでもある程度OKなのです。2.4GHzなら0.1mm単位まできっちりやらないとダメかと思われがちですがそれほど神経質になることもないような?
まあ、とにかく僕の場合、全体のループが横4/3λ≒16cm強、縦1/6λ≒2cm強なのでそれを先ず作って4分割しました。
調整なしの作りっぱなしです。
問題は、その計算値をループエレメントの外寸とするか、内寸とするか、中心寸法とするかです。太さが2mmあるとかなりそれで変わってきます。いろいろな製作記事をWEBで拝見していると、中心寸法で作られている場合が多いですが、その結果、意図していた周波数より低いほうにマッチングが取れる傾向にあるようです。まあ、中心寸法だと大きすぎると。それで、僕は外寸としました。

適当な銅線もないので電灯線用のFケーブルの中身を取り出して使いました。太さは2mm。

カッターで裂いて、中身を取り出す。

ぐにゃぐにゃをできるだけ平らにしていちばん外側のループをつくり、半田付けするところをクリップでおさえて、半田付け。

外側のループを4分割。半田付けの練習にもってこいです。しかし、なんか、歪んでるな。

給電部は、少し曲げたほうがマッチングが取れるという噂があるのでそのようにしました。

同軸は細い1.5DQEV。熱に強いのでないと半田付けが難しい。

簡易フロートバランのつもりでその辺に転がっていたフェライトビーズを
給電部近くの同軸に通しました。気休めかな。


これで完成。調整しなけりゃ、こんな簡単なものはない。すぐできる。
結果、大雑把な言い方ですが、ダイポールに対してSが2つほど上がる感じです。

プリント基板で作る、クワトロヘンプリンテナ。プリント基板の特長を生かし、エレメントはさらに幅広の5mmにした。

昔、東名電子だったかで乱尺プリント基板10kgとか買ったやつがある。

エレメントの形にカッターで切れ込みを入れ、半田ごてを当てて熱しながらラジオペンチでめくるともう完成。簡単すぎる。

同様にフロートバランを付けて完成。ゲインは同じようなもんかな。帯域は広いはずです。
まあ、とにかく作りっぱなしならこれほど簡単で安上がりなものはない。
SWRなどは測定してないのでマッチングに関しては何とも言えませんが、とりあえずゲインはすごい。

ヘンテナについては、今後、受信用として地デジやFM放送用のものを作ってみたいと思っています。

最終更新:2010年12月21日 13:46