対外諜報に関する連邦法

対外諜報に関する連邦法(Федеральный закон "О внешней разведке")


本連邦法は、ロシア連邦の対外諜報の地位、組織及び機能の基盤、その活動に対する監督秩序を規定する。

第1編 総則


第1条 ロシア連邦の対外諜報


国家が特別に創設する機関たるロシア連邦対外諜報機関の総体としてのロシア連邦対外諜報は、ロシア連邦安全保障戦力の構成部分であり、 本連邦法により規定された方法及び手段を使用して、外部脅威から個人、社会及び国家の安全を擁護することが要求される。

第2条 諜報活動


諜報活動は、以下の手段により、ロシア連邦対外諜報機関が実施する。

  1. ロシア連邦の死活的に重要な利益を損なう外国国家、組織及び人物の現実的及び潜在的な能力、行動、計画及び意図に関する情報(以下「諜報情報」という。)の入手及び処理
  2. ロシア連邦の安全保障の利益において国家が実施する措置の実現への協力。諜報活動の実施の必要性は、他の方法によってはロシア連邦の安全保障が不可能であるか又は目的にそぐわないことに立脚して、ロシア連邦大統領及び連邦議会がその権限内において決定する。

第3条 諜報活動の法的基盤


諜報活動の法的基盤は、ロシア連邦憲法、本連邦法、ロシア連邦の対外諜報に係わるその他の連邦法及び連邦国家権力機関のその他の規範法令が構成する。ロシア連邦対外諜報機関は、その権限内において、ロシア連邦の法令に従い、その活動を規制する規範法令を公布する。

第4条 諜報活動の原則


諜報活動は、以下の原則に基づき実施される。

  1. ロシア連邦の安全保障戦力の構成に入る連邦執行権力機関の権限の分立
  2. 適法性
  3. 人間及び市民の権利と自由の尊重
  4. ロシア連邦大統領及び連邦議会への監督下
  5. 公然及び非公然の方法及び手段の組合せ

第5条 諜報活動の目的


諜報活動の目的は、以下のことである。

  1. 政治、経済、国防、科学技術及び生態学的領域における決定の採択に必要な諜報情報によるロシア連邦大統領、連邦議会及びロシア連邦政府の保障
  2. 安全分野におけるロシア連邦の政策の上首尾な実現を可能とする条件の保障
  3. 国の経済発展、科学技術進歩及びロシア連邦の軍事技術安全保障への協力

諜報活動は、非人道的目的、並びに本連邦法により規定されていない目的の達成のために実施されることはない。

第6条 ロシア連邦対外諜報機関の権限


諜報活動の目的達成のために、ロシア連邦対外諜報機関には、以下の権限が賦与される。

  1. 自発的に同意した者との秘密に基づく協力関係の確立
  2. 常備要員の偽装及びこれら目的において他の官庁所属を使用したその活動の組織に関する措置の実施
  3. 常備要員職員の身分、ロシア連邦対外諜報機関の部署、組織、部屋及び輸送手段の官庁所属を偽装する文書の秘密保持の目的における使用
  4. 防諜活動を実施する連邦執行権力機関、及びロシア連邦連邦国家警護機関との協同
  5. 連邦執行権力機関、ロシア連邦の企業、施設及び組織との諜報活動の実施に必要な協定の締結
  6. ロシア連邦領外に存在するロシア連邦の施設の物理的及び工兵技術的防護、国家秘密を構成する情報の技術回線上の漏洩の防衛に関する措置の実施秩序の規定を含む当該施設における国家秘密の保護のその管轄内における組織及び保障
  7. ロシア連邦領外に存在するロシア連邦の施設の職員、及び滞在国家におけるその家族の一員の安全の保障
  8. ロシア連邦領外に派遣されたその活動種に関して国家秘密を構成する情報へのアクセスを有するロシア連邦市民、及びその同居する家族の一員の安全の保障
  9. 本連邦法により定められた秩序における外国国家の諜報及び防諜機関との協同
  10. 特殊教育施設、特技向上に関する施設、科学研究組織及び公文書庫の創設、特殊出版物の刊行
  11. 内部の安全の保障、言い換えれば、不法行為及び脅威からの自己の戦力、手段及び情報の防護
  12. ロシア連邦対外諜報機関の機能に必要な組織機構(部署及び組織)の創設

その活動の実施のために、ロシア連邦対外情報庁は、独自のライセンス制及び証明制の下、情報システム、通信システム及びデータ伝送システム、並びに技術回線上の漏洩からの情報の保護手段を調達、開発(暗号保護手段を除く。)、創設、運用することができる。

第7条 ロシア連邦対外諜報機関の会計及び物的・技術保障


第8条 ロシア連邦対外諜報機関に関する情報の保護


ロシア連邦対外諜報機関に関する情報を閲覧する者は、連邦法に別段の秩序が規定されていない限り、国家秘密を構成する情報の閲覧手続を受ける。当該手続は、同情報の不流布に関する書面による義務の受入を含む。当義務の違反は、連邦法により定められた責任を招来する。

歴史的及び科学的価値を提供し、連邦法に従い秘密解除されるロシア連邦対外諜報機関の公文書庫の文書は、ロシア国家公文書庫庁の常時保管に移管される。その常備要員、ロシア連邦対外諜報機関の秘密協力者、並びに同機関が使用する方法及び手段に関する情報を含むロシア連邦対外諜報機関の文書は、ロシア連邦対外諜報機関の公文書庫に保管される。

第9条 ロシア連邦社会とロシア連邦対外諜報機関の連絡


第2編 ロシア連邦対外諜報機関の活動の組織


第10条 ロシア連邦対外諜報機関の創設


諜報活動は、独立、並びに他の連邦執行権力機関の機構に入るロシア連邦対外諜報機関により実施される。

独立のロシア連邦対外諜報機関の創設、再編及び廃止は、連邦執行権力機関の設置を規制する連邦法により定められた秩序において実施される。

連邦執行権力機関の構成におけるロシア連邦対外諜報機関の創設、再編及び廃止に関する決定は、しかるべき連邦執行権力機関の指導者の提示により、ロシア連邦大統領が採択する。

ロシア連邦対外諜報機関に関する規程は、ロシア連邦大統領が承認する。

第11条 ロシア連邦対外諜報機関の活動分野


諜報活動は、その権限内において、以下のものが実施する。

  1. ロシア連邦対外情報庁:政治、経済、軍事戦略、科学技術及び生態学的分野、並びにロシア連邦領外に存在するロシア連邦の施設、及びロシア連邦領外に派遣されたその活動種に関して国家秘密を構成する情報へのアクセスを有するロシア連邦市民の安全の保障分野
  2. ロシア連邦国防省の対外諜報機関:軍事技術、軍事経済及び生態学的分野
  3. ロシア連邦大統領附属連邦政府通信・情報局の対外諜報機関:電波電子手段を利用した政治、経済、軍事及び科学技術分野
  4. ロシア連邦連邦国境庁の対外諜報機関:ロシア連邦国境、ロシア連邦排他的経済水域及びロシア連邦大陸棚の警備分野

連邦保安庁機関の諜報活動は、ロシア連邦対外諜報機関と協同で、「ロシア連邦における連邦保安庁機関に関する」連邦法に従い実施される。

第12条 ロシア連邦対外諜報機関の指導


ロシア連邦対外諜報機関の総合指導は、ロシア連邦大統領が実施する。

ロシア連邦大統領は、以下のことを行う。

  1. 諜報活動の任務を規定する。
  2. ロシア連邦対外諜報機関の活動を監督及び調整する。
  3. 連邦法により規定された権限内において、ロシア連邦対外諜報機関と外国国家の諜報及び防諜機関間の省庁間性条約の締結の合目的性問題を含めて、ロシア連邦対外諜報と関連した問題に関する決定を採択する。
  4. ロシア連邦対外諜報の指導者を任命する。

第13条 諜報活動の方法と手段


諜報活動の過程において、ロシア連邦対外諜報機関は、その特性が同活動の条件により規定される公然及び非公然の方法及び手段を使用することができる。

諜報活動の方法と手段は、人々の生命及び健康を害し、環境に損害を与えてはならない。

ロシア連邦領土におけるロシア連邦市民に対する諜報活動の方法及び手段の使用は、許されない。

ロシア連邦対外諜報機関は、諜報活動の目的達成のために、情報システム、ビデオ及び録音、映写及び写真撮影、技術通信回線からの情報の入手、並びに本条第2項の要求に応えるその他の方法及び手段を使用する権利を有する。

諜報活動の非公然方法及び手段の使用秩序は、連邦法及びロシア連邦対外諜報機関の規範法令により規定される。

諜報活動の非公然方法及び手段の使用問題に関する規範法令の内容は、国家秘密を構成する。内部の安全の保障は、「捜査活動に関する」連邦法に従い、ロシア連邦対外諜報機関が実施する。

第14条 諜報情報の提供


諜報情報は、ロシア連邦大統領、連邦議会両院、ロシア連邦政府並びにロシア連邦大統領が規定する連邦執行及び司法権力機関、企業、施設及び組織に提供される。諜報情報はまた、ロシア連邦安全保障戦力の構成に入る連邦執行権力機関にも提供することができる。

ロシア連邦対外諜報機関の指導者は、諜報情報の信頼性、客観性及びその提供の適時性に対して、ロシア連邦大統領に対し個人的責任を負う。

諜報情報を提供される連邦立法、執行及び司法権力機関、企業、施設及び組織の指導者その他の責任者、連邦院議員及び国家院代議員は、国家秘密を構成するか又は当該情報源を暴露するこれに含まれる情報の流布に対して、連邦法により定められる責任を負う。

第15条 ロシア連邦対外諜報機関相互間、防諜活動を実施する連邦執行権力機関、及びロシア連邦連邦国家警護機関、並びに外国国家の諜報及び防諜機関とロシア連邦対外諜報機関の協同の原則と形態


ロシア連邦対外諜報機関相互間、並びに防諜活動を実施する連邦執行権力機関、及びロシア連邦連邦国家警護機関との協同の原則と形態は、ロシア連邦の法令及びそれに基づき締結される協定により規定される。

外国国家の諜報及び防諜機関とロシア連邦対外諜報機関の相互関係は、官庁間性条約を含むロシア連邦の国際条約に基づき定められる。

定められた相互関係の枠内において、ロシア連邦対外諜報機関の公式代表が、ロシア連邦大統領が規定する秩序において外国国家に派遣される。

第16条 連邦執行権力機関、ロシア連邦の企業、施設及び組織とロシア連邦対外諜報機関の相互関係


連邦執行権力機関は、当該連邦執行権力機関の活動の基本方針の変更と関連しない場合、その諜報活動の実施において、ロシア連邦対外諜報機関に協力する。当該協力の手協に関する支出の補償は、連邦予算の資金負担で行われる。

諜報活動の実施におけるロシア連邦対外諜報機関への協力に係わる問題における連邦執行権力機関とロシア連邦対外諜報機関の協同秩序は、ロシア連邦大統領が規定する。

連邦執行権力機関、ロシア連邦の企業、施設及び組織とロシア連邦対外諜報機関の相互関係の条件は、しかるべき契約により定められる。

第3編 ロシア連邦対外諜報機関職員及び同機関の協力者の法的地位及び社会的保護


第17条 ロシア連邦対外諜報機関職員


第18条 ロシア連邦対外諜報機関の常備要員


ロシア連邦対外諜報機関の常備要員には、その機能義務が諜報活動の実施と直接関連したしかるべき職務に任命されたロシア連邦対外諜報機関の軍人及び勤務員が属する。常備要員職の一覧は、しかるべきロシア連邦対外諜報機関に関する規程により規定される。

同機関の退職職員を含むロシア連邦対外諜報機関の常備要員への具体的な人物の所属に関する情報は、国家秘密を構成し、ロシア連邦対外諜報機関の指導者の許可によってのみ、職務上の必要性と無関係な場合は、同人物の書面による同意の義務的存在の際、公表することができる。

ロシア連邦対外諜報機関常備要員職員は、その機能義務の履行のために、本連邦法の要求に従い、ロシア連邦対外諜報機関へのその所属を暴露することなく、連邦執行権力機関、企業、施設及び組織において職務に就任することができる。上記連邦執行権力機関、企業、施設及び組織の責任者は、同職員のロシア連邦対外諜報機関への所属に関する情報の流布に対して、連邦法により定められた責任を負う。

ロシア連邦対外諜報機関常備要員職員には、立法(代表)又は司法権力機関、並びにその活動の性格に影響を与える目的においてロシア連邦における社会団体及び宗教組織の活動に非公然参加することが禁じられる。

ロシア連邦対外諜報機関常備要員職員は、職務上の必要性により引き起こされない限り、しかるべきロシア連邦対外諜報機関の指導者の同意により実施される学術、科学その他の創作活動を除き、他の有償活動を兼業する権利を有さない。

第19条 ロシア連邦対外諜報機関の秘密協力者


第20条 ロシア連邦対外諜報機関職員の法的地位


ロシア連邦対外諜報機関職員は、連邦法により定められる制限を除き、ロシア連邦市民に対してロシア連邦の法令により規定された義務を負い、権利を有する。

ロシア連邦対外諜報機関の軍人、勤務員及び労働者は、国家の保護下にある。 何人も、連邦法により直接権限を与えられた機関及び責任者を除き、ロシア連邦対外諜報機関職員の職務活動に干渉する権利を有さない。

諜報活動の実施と関連した不法侵害及び脅迫からのロシア連邦対外諜報機関職員及びその家族の一員の生命及び健康、名誉と尊厳、並びに財産の擁護は、連邦法により定められる秩序において、ロシア連邦対外諜報機関が保障する。

ロシア連邦対外諜報機関職員の地位は、その機能義務と一致しない目的において利用されることはない。

第21条 法律違反に対するロシア連邦対外諜報機関職員の責任


ロシア連邦対外諜報機関職員は、法律違反の実行に対して、連邦法に従い責任を負う。

ロシア連邦対外諜報機関への所属及び諜報活動実施への関与は、連邦法に対する責任からロシア連邦対外諜報機関職員を解放しない。

第22条 ロシア連邦対外諜報機関職員とその家族の一員の社会的保護


第23条 ロシア連邦対外諜報機関の秘密協力者の社会的保護


ロシア連邦対外諜報機関に秘密協力し、ロシア連邦市民ではない者は、連邦法により定められた秩序において、その請願により、ロシア連邦市民権に受け入れることができる。

ロシア連邦市民権に受け入れられた者のロシア連邦対外諜報機関との協力期間は、その勤労歴に編入される。

当該者の社会的保護は、本連邦法第23条第3項~第7項に従い実施される。ロシア連邦対外諜報機関に秘密協力し、ロシア連邦市民ではない者の社会的保護は、ロシア連邦大統領が定める秩序において実施される。

第4編 ロシア連邦対外諜報機関の活動に対する監督


第24条 ロシア連邦対外諜報機関の活動に対する議会監督


第25条 検事監督


ロシア連邦対外諜報機関による連邦法の執行に対する監督は、ロシア連邦検事総長及びその権限が与えられた検事が実施する。

ロシア連邦対外諜報機関の秘密協力者、並びにロシア連邦対外諜報活動実施の組織、方法及び手段に関する情報は、検事監督の対象に入らない。

第5編 雑則


第26条 本連邦法の施行


本連邦法は、その公布日から施行する。本連邦法の施行の時点から、以下のロシア連邦の法令を失効したものとみなすこと。

  1. 「対外諜報に関する」ロシア連邦法(ロシア連邦人民代議員大会及びロシア連邦最高会議公報、1992年、第32号、1869ページ)
  2. 1992年7月8日付「「対外諜報に関する」ロシア連邦法の施行に関する」ロシア最高会議決定(ロシア連邦人民代議員大会及びロシア連邦最高会議公報、1992年、第32号、1870ページ)

その規範法令を本連邦法と一致させることをロシア連邦大統領に提案し、ロシア連邦政府に委任すること。
最終更新:2007年11月24日 08:28
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