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    <title>ゼロの奇妙な使い魔　まとめ</title>
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    <description>ゼロの奇妙な使い魔　まとめ</description>

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    <title>仮面のルイズ</title>
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[[仮面のルイズ-69後半&gt;仮面のルイズ-69-2]] 
[[仮面のルイズ-70前半&gt;仮面のルイズ-70-1]] ※1ページに収まらないため2分割で登録
[[仮面のルイズ-70後半&gt;仮面のルイズ-70-2]]
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[[仮面のルイズ-72]]
[[仮面のルイズ-73]]
[[仮面のルイズ-74]]
[[仮面のルイズ-75]]

[[仮面の番外編]]
[[仮面ルイズの違和感&gt;小ネタ-20]]

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//第1部、石仮面    </description>
    <dc:date>2012-01-25T21:01:38+09:00</dc:date>
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    <title>仮面のルイズ-75</title>
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    <description>
      ラ・ロシェールの街は、アルビオンとトリステインを繋ぐ港町として栄えているが、元々は戦争のために作られた砦であった。
現在は宿として使われているが、この街一番の宿『女神の杵』亭は砦を改装した店だと言われ有名である。

ふだんは旅行客と船乗りを相手にするラ・ロシェールの酒場も、神聖アルビオン帝国との戦いを目前に控えた現在、客層は兵士・傭兵・人夫・商隊がほとんどであった。

娼婦達も稼ぎ時だとばかりに馴染みの酒場へ出かけ、客をとっては宿へ行き、金のない者は倉庫で済ませ、あげく人気のなさそうな路地へと引き込むものもいる。
そんな娼婦達にも、近寄るべきではない場所というものがある。
たちの悪い盗賊や人攫いが、寂れていそうな酒場に集まると、すぐに女達の噂となり、ごく自然にその一角から姿を消していく。
彼女たちはお互いが商売敵ではあるが、互いの境遇から来る同情心と、身を守るための仲間意識を捨てた訳ではないのである。

だからこそ、女たちの近寄らない酒場の裏手から、華奢な女が出てくるというのは、同業者にしてみれば異常な光景なのであった。



（嫌な視線ね…）
ルイズは自分に向けられた視線を気にして、フードの端をつまみ深く被り直した。
とぼとぼと夜の街を歩きながら、自分がここに来た理由を思い出していた。

（表面上は平和でも、裏通りは油断のならない街だわ）
ラ・ロシェールを警備する衛兵達は、衛兵と自警団だけのは治安の維持に限界があると考え、市内の管理を任されているメルクス男爵に改善の措置を訴えていた。
しかし、提出された嘆願書はもみ消された。
アルビオン人（戦争前にアルビオンから疎開した者、戦時にアルビオンから逃げ出した者）と旧来のラ・ロシェール住民の間に、意図して対立を深めようとする第三者の行動があると分かっていながら、それを無視するのがどうにも不可解であった。

また、着の身着のままアルビオンを脱出した者は、行き場もなく飢えに苦しんでいる。
ウェールズの纏める亡命政権が、旧来のアルビオン民と連絡を取り合い救済に奔走しているが、食料も場所も用意できてはいない。
奴隷商人や人さらいの餌食になっているのが現状であった。

傭兵もまた、雇われたからといって、命令通りに戦うとは限らない。
商人と結託し、トリステイン軍の内情をアルビオン帝国に売ろうとする者も出てくるだろう。
最悪、補給線の崩壊もありうるのだ。


ラ・ロシェールの街は補給を行う上で重要な拠点だが、王宮の目が行き届かない場所でもある。
アンリエッタは戦争を機に、ラ・ロシェールに信頼できる銃士隊を送り込んで監督をさせようかと思ったこともあるが、ウェールズが反対した。
船乗りの集まる街の気風は、ウェールズのほうがよく知っている。
少しでも疑問があるなら念入りに調査するべきだが、監督という名目では現地の人間と軋轢を生むのは得策ではないと忠告した。
マザリーニもそれには同意見だが、どの貴族も戦争の準備で忙しい上、銃士隊も魔法学院の警備・訓練で手一杯。
魔法衛士隊やトリステイン軍を使って内偵を進めるにも、顔が広い貴族がいてはやりにくい。

なので、ルイズがこの件に興味を持ったのは渡りに船であった。

（それにしても、やっぱり、話し相手が居ないと寂しいわね）

ルイズは無意識のうちに、今は背中にない鞘の感触を確かめようと背後に手を回していた。

（お父様が時々呟いた言葉、今ならよくわかる）
ルイズの記憶には、父であるヴァリエール公爵の言葉がこびり付いていた。
『兵を食わせなければならない』単純だが、自分が生き血を必要とするように、普通の人間には食事が必要だと再認識すれば、その言葉はとても重くなる。
貴族・国家が集めた傭兵の数は膨大であり、食料の確保だけでも一つの事業と言える。
『まず食糧、次に人数』
そう言ったのは父だろうか、父と話している誰かだろうか、はっきりとは思い出せないが、とても重要な言葉だと思えた。
ずっと昔に父や、近しい人から聞いた話が今頃になって重要な話しだと解る。
おそらく自分が魔法学院に残っていたら、この記憶が引き出されることも無かっただろう。
皮肉にも父親から離れて初めて、父母や家庭教師の何気ない言葉が、大切な知識だと思えてくる。

でも、ウェールズやアンリエッタよりずっと自分は幸福な気がする。
たとえ会えなくても、家族は元気でやっているのだから。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



ラ・ロシェールの朝は早い。
北側の岸壁は朝焼けで赤く染まり、反射光が街中を優しく照らしだすと、夜を生きる人々は眠りにつき、昼を生きる人達は仕事の準備をする。
日が昇るにつれて人通りが多くなり、店の軒先には果物や野菜が並び始めた。
街道沿いの店で、今日最初の客がリンゴを買う、客はラ・ロシェールは初めてなのか、桟橋の場所を店主に聞いて店を離れていく。
店主は、今の客は旅慣れているようだが傭兵には見えない、貴族でないメイジかもしれない等とくだらない想像をめぐらして見送る。

そんな朝のひとときに、本日一軒目の事件が起きた。

「おう！こいつ、俺にぶつかって財布を盗もうとしやがったぞ！」
「なに、ふざけるな！」

店主が声の方を見ると、大柄で色黒の男が、身なりの良い男の腕をひねりあげている姿があった。
多くの人はこんな光景に慣れており、またスリが出たか、最近は特に多いな、と思う程度だった。
「それにしても身なりのよさそうな奴がスリなんてなあ、その服を売れば多少の金になるのに」
「おい、また泥棒が出たのか」
「またアルビオンの奴らか」
「いや、どうもそうじゃあないんだ、同じ奴が何度もやられたって叫んでるらしい」
「なんだそりゃあ」

どこからともなく聞こえてきたその噂は、静かにラ・ロシェールの街で広まっていった。


衛兵の詰所は世界樹に近い高台にあり、街道沿いの壁を繰り抜いて作られている。
奥には倉庫、牢屋、そして見張り台に通じる階段があり、そこからラ・ロシェールのほとんどを見下ろすことができた。

朝から見張りを続けている衛兵は、岸壁に映る影の角度から昼飯が近いのを知る。
そろそろ交代の時間だ、ようやく休憩だ、昼飯だ。と考えながら後ろの階段を見た。
丁度良く交代の衛兵が上がってくる、今日も時間ぴったりだなと言って、弓矢を壁際のテーブルに置いた。

「おいアルヴィン。交代だぞ」
「やっとか。今日は騒がしいみたいだな」
「さんざん騒がれたスリが、ついさっき捕まった。仲間割れを起こして何人か殺してるらしいぞ。休憩してる暇はなさそうだな」
「げえ、何て日だ。戦争も近いってのによう」
「早くいけよ、隊長にどやされるぞ」
「へいへい」

アルヴィンと呼ばれた衛兵が階段を降りると、詰所の正面に人だかりができているのが見えた。
入口前の歩哨が「見世物じゃないぞ」「さあ散った散った、通行の邪魔だ」と言って人だかりを散らしている。アルビンは興味なさそうに詰め所の奥へと入っていき、とっとと硬いパンを食べることにした。


詰め所の一番奥には牢屋があり、今しがた逮捕された男は手枷をはめられて牢屋に放り込まれている。
その目前には見張り用のテーブルと椅子があり、衛兵隊の隊長は銃士隊の女に椅子を譲って、事情を聞いていた。
隊長は白髪混じりの髪を後ろで纏めた初老の男性で、顔にはナイフで切られたような傷もあり、傭兵団の隊長と言われても違和感のない厳しい顔をしている。
銃士隊の女性は、戦えるとは思えない華奢な体付きをしているが、男を軽くひねり上げる実力はたった今証明されたばかりである。

「ご協力に感謝いたします。まさか銃士隊の方に来ていただけるとは思ってもいませんでした」
「成り行きとはいえ、これも仕事のうちよ」

この男を逮捕したのは銃士隊のロイズ（ルイズ）である、衛兵隊の隊長は逮捕の一部始終を聞いて呆れ返った。
銃士隊であるロイズをスリ呼ばわりしたので、股間を二三度蹴り上げて昏倒させ、衛兵の詰め所に連行してきたらしい。
うつろな目で宙を見ている犯人は、よほど強く蹴り上げられたのか、文句ひとつ言わず牢屋へと連行されていた。

「銃士隊の方が逮捕してくださるのは有難いですが、我が衛兵隊の不甲斐なさが露呈したようで大変申し訳無いことです。この男が根城にしていた酒場で死体が見つかりましたが、あなたが逮捕してくれなければ逃げられていたかもしれません」
「こいつがドジなだけよ、さっさと逃げずに欲をかいたのね」
「まったくです」
ところで隊長さん…ラ・ロシェールは衛兵が足りていないと聞いているわ。その点、どうなの？」
「おっしゃるとおり、自警団と協力しておりますが、平民ばかりでは限界があります」
「伯爵には訴えなかったの？」
「ラ・ロシェールは、メルクス男爵が実質的に統括しておられます。何度か窮状を訴えましたが、考え過ぎだとか、桟橋の警備で手一杯だと言われまして」
「それは…」
「人も金も足りないのは分かっているのです。しかし、現実にこういった争いが積み重なって、暴動に発展する恐れがあります、それだけは避けたいのです」

隊長の表情からは、苦労がにじみ出ていた。
「隊長さん、あなたにとっては大変つらい知らせだと思うけど…」



ロイズ（ルイズ）は、銃士隊である自分がここに来た理由を説明した。

衛兵たちが達が提出した嘆願書に応じてこの街に来たのではなく、嘆願書が破棄されていると報告があったので内偵に来た。
王宮へ届く報告書は『貴族の手で安全を維持され、万全である』という内容だが、この矛盾は何であるのかを調べるという。
場合によっては街の治安に関わるメルクス男爵の内偵も進めると聞き、衛兵隊長は両拳を握りしめて、悔しさに耐えていた。

「直属の上司たる男爵に疑いがあっても、我々には直接どうすることもできません。どうか、この街のためにも、真実を明らかにしてください」
「…あなたは、ずっと衛兵を？　失礼かもしれないけど、あなた言葉に品があるわ。執事の経験があるみたい」
「私の父はメイジの傭兵団で身辺の世話をしていました。私も父の手伝いをしていたので、よく可愛がられたものです。言葉遣いはその頃に習いました」
「だから嘆願書を書くなんて知識があったのね」
「ええ。傭兵団が解散した時、故郷であるこの街に戻って来ました。父は報告書を書くのに役に立つと言われ衛兵になり、私も同じ仕事しようと思っていました。この街は、私と父の思い出で溢れているのです」
「……そうなの」
ロイズ（ルイズ）は何か心に感じるものがあったが、それが何なのか言い表せなかったので、余計なことを考えないようにと表情を固くした。
「ええと、それじゃ、そろそろロバートって子を預かっていくわ」
「はい、あの子にも悪いことをしました」
「ねえ隊長さん。　…ロバートが財布をすったって話、信じたの？」
「言わないでください。私も、悩んだのです」




パンをかじっていたアルヴィンは、奥の部屋から隊長が出てきたのを見て、どっこいしょと椅子から立ち上がり敬礼をした。
「隊長。アルヴィンです。見張りをコーラスに引き継ぎました」
「ご苦労、しばらく休んだらリック達と『金の酒樽亭』に”掃除に”行ってこい」
「掃除…つーと、あのボロ酒場でまた？」
「喧嘩じゃないぞ。奥の倉庫で五人死んでる、盗賊の仲間割れだ。ひどい有様だよ」
「うへえ。了解しやした」
飯を食ったあとに死体を片付けるのは嫌だが、仕方がない。

「そういや、誰か捕まえたって話で？」
「ああ…それはな」
と、隊長が言いかけた所で、奥の扉が開き、フードを被った女が少年を連れて牢屋から出てきた。

「ほら、ロバート。胸をはりなさい。あんたの疑いは晴れたんだから」
「……」
女が少年の背中を軽く叩くと、少年は歯を食いしばりながらも、目の前に立つ隊長を見上げるようにして胸を張った。
「君の疑いは晴れた、もう行ってよろしい」
隊長がぶっきらぼうに告げると、女は不満気に腕を交差させた。
「あら、隊長さん、それだけ？」
「それだけ…とは？　あ、いや、そうだったな。ロバートの名誉を回復することをここに宣言する。後ほど君が厄介になっている酒場へ行き、改めて説明させてもらおう」
「隊長さんはそう言ってるけど、あなたはそれでいい？」
女が少年の顔を覗き込むと、ロバートは汚れた袖で涙を拭う。
「いい、早く帰りたい」
ロバートはそう呟くと、ぐっと両手を握りしめた。

「…じゃ、後のことは任せるわ」
「はっ」
敬礼で二人を見送ると、隊長はふぅと息を漏らした。どうやらかなり緊張していたらしい。
「隊長？今の女はいったい？」
ためらいつつも、好奇心に負けたアルヴィンが聞く。
「ああ、あんまり本人に聞こえるようなところで言うなよ、ありゃ女王陛下直属の銃士隊だ。俺たちがちゃんと働いているか見に来たんだとさ」
「そりゃまた、厳しいことで」
アルヴィンが軽口を叩くと、隊長はふと思い出したように呟いた。

「そうだな、アルヴィン、これから話すことを休憩中にでも仲間に伝えてくれ。巡回中にもこの件について質問されればなるべく答えるように」
「へい」
「、アルビオン難民ならびに疎開民と、ラ・ロシェール市民の対立を目論んでいたらしい。ラ・ロシェールを荒らすよう雇われていると自白した」
「今のやつがですか」
「何者かに金貨で雇われたらしいが、その取り分で仲間割れを起こして『金の酒樽亭』に死体が転がってる。さっきの女は銃士隊の一員で、この件には偶然関わったんだと」
「なるほどねえ、この街にもアルビオン帝国の間諜が入り込んでるってことですかい」
「そうなるな。手口は、いわゆる狂言スリだが、なにせ被害者の数が多い、銃士隊からは『被害者の名誉回復に努めよ』ときつく命令されたよ」
「わかりやした」

アルヴィンは、道理で隊長のしかめっ面がいつもより厳しいはずだ、と納得して詰め所の仲間のもとに向かった。


隊長はそれを見届けると、緊張が解けたのか自然と深呼吸をしていた。
「つれぇなあ」
隊長は、誰に言うでもなく呟いた。無性にエールを飲みたい気がした。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「ロバート！よく帰ってきたねえ、ほんとうに大変な思いをさせたね。お腹が空いているかい？すぐ何か作ってやるよ」
酒場の女将がうれしそうに目元をほころばせて、ロバートを抱きしめた。
ロバートは少し苦しそうだが、決して嫌そうではない。
「おばさん、苦しいよ。このお姉さんが屋台で買ってくれたから、食べ物はいいよ」
「ああ、ごめんよ。つい嬉しくてねえ。あんたもよくやってくれた。銃士隊のロイズさまさまだ、今日はいくらでも飲んでおくれ」

ルイズは自分がロイズと名乗っているのを思い出しつつ、女将の豪快な言葉に苦笑した。
「これも仕事のうちよ。まだやることがあるから夕食は遠慮するわ」
「食べて行かないのかい？そんなんじゃ筋肉はつかないよ」
「ややこしい用事があるから、また時間のあるときに来るわ。ロバートもその時また会いましょう、元気でね」
女将から解放されたロバートがルイズを見上げる。
「おねえちゃん、ありがとう。でも、俺だけじゃなくて、もっと嫌な思いをしてる奴が居るんだ。俺はコーラのおばちゃんを知ってたからいいけど、友達は、どこに行ったかわかんない。わかんないんだ」

ルイズは、思わずロバートの前に跪いて目線を合わせた。
「私はそれを調べに来たの。もし、あなたが知っていることがあれば、教えてくれない？」

「……人買い」
「人買い？」
「この街の、東の山間にある貴族の家、あそこに出入りしてる奴、人買いなんだ。絶対そうだ、あいつら、アルビオンから逃げてきた俺達を捕まえてるんだ」
「その話、もっとよく聞かせて」
ルイズの目付きが鋭くなったのを、女将は見逃さなかった。

「ロバート、その前にあんたは体を拭いて、着替えてきな。鼻声で何言ってるか分かりゃしないよ」
「う゛ん」
「ノミが付いてたら困るから、ちゃんと洗うんだよ」
ロバートはぐしっ、と鼻を袖で拭うと、酒場の奥へと駆け込んでいった。

「悪いね。この話は、あたしから先に伝えておこうと思ってね」
女将はいつの間にかワインを開けて、ルイズと自分の分を準備していた。
客の居ない酒場で、丸いテーブルの上に置かれたワインがふわりと香った。こんな酒場にあるのが不思議な上物のワインだとも分かる。
「一杯ぐらい飲みなよ」と言って女将が勧めるので、ルイズは酒の価値に気づかないふりをしつつワインを口に含んだ。確かに上物だった。女将なりの御礼なのだろう。

「本当はね。銃士隊だからといって信じられなかったんだ、あたしたちのためにロバートを取り返してくれるのか、どんな手で取り返すのか、それが疑問だった。悪いね疑い深くて」
「本当ならアニエスに来て欲しかったんでしょう？　銃士隊としてではなく、友人として聞いて欲しい話があった。違う？」
「その通りさ。そのへんを理解してくれると助かるよ。」
「…で、そこまで用心深くなる理由は？」

ルイズがそう聞くと、女将は神妙な顔つきになって、小声で話しだした。
「まず聞くけど…ロバートは狙われたのかい？それとも偶然に疑いをかけられたのかい？」
「偶然、よ。狙われる理由でもあるの？」
「ロバートと同じ時期に疎開してきたアルビオン人には子供もいたが、身寄りがなくてね、この街の実験を握ってるメルクス男爵の屋敷に連れていかれたのさ」
「男爵の屋敷に…どうして」
「仕事ができる場所や孤児院を紹介するって名目で連れていかれたのさ。だけどロバートは見ちまった。男爵の屋敷から、アルビオンで見た奴隷商人が出てくるのをね」
「それって、男爵と奴隷商人が結託してるって事？」
「ああ、その通りさ。ロバートはその子らに会って、ここから逃げようと説得したんだが、衛兵に追い出されてねえ。それから数日して、逮捕されたわけだから、あたしゃ肝を冷やしたよ」
「そういう事情があったのね…」
「あたしは、傭兵上がりってだけじゃ信用できなくてね。お偉い貴族に雇われていい気になる奴を見てきた、だから」
「アニエスに紹介された銃士隊といえど、すぐには信用しなかったって訳ね」
「悪いね」
「それぐらいの用心、アニエスなら『当然だ』で済ませるわよ」
ルイズは笑って答えると、ワインを飲み干した。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

夕方。

世界樹に停泊しているトリステイン軍の軍艦内では、トリステイン軍の軍議が開かれていた。
大型戦艦の中に設置された会議室では、教導士官、技術士官、軍参謀など、二十名ほどが集まり、物資搬入が予定通り行われているか、人員は、将軍はいつ乗艦するのかと報告を受け、最終的な打ち合わせをしている。

その中には、レキシントン号の艦長を務めた、サー・ヘンリ・ボーウッドの姿もあった。
彼は上官の命令に従い、反乱軍として王党派と戦ったが、トリステインとの戦いに負けて捕虜になった男である。
教導士官には相応しく無いという声もあったが、トリステインはアルビオン空軍の戦略、戦術を知る必要があった。
ウェールズ皇太子とはじめとするアルビオン亡命政権と、アンリエッタ女王陛下の助言、そして本人の強い希望により、ボーウッドは教導士官に任命されたのである。

もちろん皆が納得するわけではなかった、「敗軍の将は何をお考えですかな」と皮肉を込めてボーウッドに質問する将校もいた。
しかし打てば響くように、ボーウッドは軍務関係の質問であれば難なく答えてしまう、豊富な経験に裏打ちされた知識は、士官達の関心を引き、尊敬の念すら抱かせたのだ。

護衛として壁際に立つワルドも、ボーウッドの言葉には学ぶものがあった。
彼の上官が無能でなければ、トリステインは前回の戦で負けていただろう……素直に、そう思えた。



その日、月が高くなる時間になって、ようやく軍議が終わった。
士官達は、ラ・ロシェールの駐屯地に戻って行ったが、ボーウッドだけはラ・ロシェール領主から晩餐会に招かれ、領主の屋敷で宿泊することになっている。
晩餐会に出席させてやるから軟禁は我慢しろ、という意図があるのだが承知のうえである。
ボーウッドはワルドと共に馬車に乗り、屋敷へと向かっていった。

コツコツと蹄の音が、ガラガラと車輪の音が聞こえる馬車の中で、ボーウッドはふとワルドの顔を見た。
静かに馬車の外を見つめ、自分のことなど気にしているとは思えなかった。

「気になりますかな」ワルドが呟く。
「気にならぬといえば嘘になる。…正直に言えば、貴公とこのような形で同席するとは思わなかった」
「同意見です。見る者が見れば、おかしな組み合わせだと思うことでしょう」
ワルドは無表情で答えているが、どこか自嘲気味に見える。

「…祖国を裏切った者同士という事かね」とボーウッドが聞く、ワルドは今度こそ自嘲気味に笑った。
「はは、慣れませんか」
「慣れないな」

少しの間、がらがら、がらがらと馬車の音だけが響いた。

「私も、正直に言えば慣れません。しかし…」
「しかし？」
「裏切るよりも、辛い生き方を知りました。裏切り者として祖国の貴族から非難されても、大した事ではないと思えたのです」
「なるほど」

すこし間があって、膝に肘をつくようにしてワルドに顔を近づけたボーウッドが、重々しく声を出した。
「これは…私の個人的な興味として、聞いてみたいのだが。君は最初から二重スパイだったのか。それとも途中で？」
「後者です」
ワルドは躊躇わずに答えた。
それが予想外だったのか、ボーウッドの目に一瞬動揺が浮かんだが、すぐに気を落ち着けて背もたれに体を預けた。

貴族は名誉を重んじるが、名誉のためならば多少の不都合は目をつぶるという一面もある。
彼と、トリステインと、レコン・キスタの間にどんな関わりがあったのか、どんな理由があって彼が今の立場にいるのか、そんな事を聞いても正直に答えてくれるはずはないのだ。

「…余計なことを聞いたな」
「いえ」

それから間もなく、ボーウッドとワルドを乗せた馬車が、ラ・ロシェール伯の別邸へ到着した。
ラ・ロシェールは港という性質上、王宮が直接統治している土地であり、ラ・ロシェール伯爵はある種の名誉職として扱われている。
何百年も前に、トリステイン大公の別荘として立てられた宮殿を現在でも用いて、ラ・ロシェール伯の別邸として利用されているのである。

馬車が門をくぐり抜け、庭園を超えて正面玄関に到着すると、魔法衛士隊のマントを着たワルドが馬車から降り先導を務めた。
表情には出さないものの、晩餐会に招かれた貴族の中にはワルドを嫌うものもいる。
トリステインを裏切り、仲間を殺した男である以上、蔑むような視線は当然だろう。


晩餐会は立食の形式で行われた、ラ・ロシェール伯の挨拶が終わると、ボーウッドは空軍関係者に親しげに声をかけられて、歓談に興じた。
船上では、上官の命令に過不足なく答えることが唯一絶対であると聞いたが、そういった気風はトリステインもアルビオンも変わらぬらしい。
歴戦の勇士であるボーウッドは、間違いなく尊敬を集めているようだ。


「お客様、本日はガリア産のリキュールと、タルブ産のワインに良いものがございます」ワルドはふと、その言葉が自分に向けられたものだと気づいた。
銀製のトレイを持ったメイドに酒を勧められるなど久しぶりだが、ボーウッドの護衛と監視があるので酒は飲む気がしない。
「酒はいい。果実を絞ったものはあるか」
「赤いオレンジが冷えております、他にも…」
「それでいい」
「かしこまりました」

不思議と、飲み物をもらうだけの会話で、少し気が晴れる気がした。
「…僕に話しかけてくれるのは、メイドだけか」
カタカタとデルフリンガーが揺れ、ワルドだけに聞こえるような声でつぶやく。
『遍在じゃなく、自分が嬢ちゃんのところに行けば良かったんじゃねーか？』
「僕も今それを考えてた所だ」
デルフリンガーが人間なら、やれやれと言って首や手を振っていただろう。
『やれやれ、嬢ちゃんもおめーも、難儀な性格だ』


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


時を同じくして、ラ・ロシェールの酒場では、釈放されたロバートを一目見に自警団が集まっていた。
「ロバートの疑いが晴れた！ラ・ロシェール万歳！トリステイン万歳！アルビオン万歳！」
「「「「「おおーーー！」」」」」
女将のコーラは「自警団全員が酔いつぶれちゃ困るよ！」と怒鳴るものの、うれしさは隠しきれていない。
自警団の団長は服飾の卸をしている初老の男性で、仕事でも見回りでも革製のエプロンを愛用している。ぷはぁエールを飲み干し、自警団の仲間たちを一括した。
「おい！酔っ払うのは後だ、見回りに出るぞ！」
「へい！」「おう！」「もう一杯！」「さあ行くか！」
自警団の面々は気合を入れると巡回に出発し、酒場は急に静かになってしまった。
「コーラ、ロバートの疑いが晴れたのは嬉しいがよ。この街でアルビオン人とトリステイン人を喧嘩させようって企ては終わっちゃいねえ、これから酷くなるかもしれねえ」
「わかってるよ、この酒場が狙われるかもしれないってんだろ？いざとなればこの子だけでも逃がすよ」
「安心しな！そんな事はさせねえ、何かあったらすぐ俺達にも連絡がくるように、今夜から酒場への巡回を増やす。なにか怪しいことがあったらすぐ伝えてくれ」
「頼りにしてるよ」
この街で、お互い古くからの付き合いがあるのだろう。団長と女将の間には信頼関係が見えた。
ロバートが「おっちゃん、ありがとう」と言うと、団長はロバートの頭に優しくてを乗せた。
「おっちゃん達がおめえ達を守ってやるから、安心しな。おめえの友達も、見つけたらちゃんと教えてやるからよ、な」
「うん」

ロバートの返事に気を良くしたのか、団長ははははと笑って、巡回に出た仲間たちの後を追って出ていった。




自警団と女将のやりとりを聞いて、酒場の奥を借りているルイズが感心のため息を漏らした。
「ずいぶん仲がいいのねえ、酒場って、厄介な人も来るけど、こういう人も集まるのね」
「旅行者も盗賊も、アルビオンに向かうのならこの街を通るからな。強い結束でよそ者を排除する必要があるのさ」
相槌を打ったのはワルド、もっとも彼は今晩餐会に出席しているので、ここにいるのは風の遍在である。
二人は木箱の上に座り、一日の出来事を報告しあった。
「私が捕まえたのは金で雇われた盗賊よ、誰に依頼されたかは探れそうにないわ。その代わりロバートって子から、目当てに近い話を聞けた。…メルクス男爵の屋敷に人買いが出入りしてるそうよ」
「本当か？だとすれば、早くそのことを知りたかったな。今僕は晩餐会に出席しているから、聞き耳を立てるには調度良かったのだが」
「晩餐会？」
「レキシントンの艦長、サー・ヘンリ・ボーウッドが教導士官に任命されたのは知っているだろう。ラ・ロシェール伯が彼を招いたんだ」
「…ふうん。自領を攻撃した戦艦の艦長でしょう？晩餐会に招いて暗殺なんて、よくある話よ」
「可能性は無いと言い切れないが…ボーウッドは他の士官にも一目置かれ、この戦いの鍵を握るといっても過言ではない。伯爵も暗殺されては困ると理解しているさ」
「実際、あなたの見立てでは、どう？」
ルイズの質問に、ワルドはあごひげを撫でながらううんと唸った。
「…勉強になる。これが素直な感想だよ」
「いいなあ。私も勉強したいかな」

勉強したい、というルイズの言葉から、寂しげな雰囲気を感じたが、余計なことを言って気にさせるのも悪かろうと思い、聞かなかったふりをした。
二人が黙ってしまうと、酒場から聞こえてくる喧騒がやけに響く気がした。

「…ねえワルド、ちょっと考えたのだけど、私って子どもっぽいでしょう？」
「子供ではないよ。君は十分に大人だ。ミ・レイディ」
「いじわる。それじゃ子供扱いじゃない。でも今回はそれが役に立つと思うの。孤児として屋敷に入り込むなんて、いいと思わない？」
「しかし、病気の有無ぐらいは調べるだろう。男爵は水系統のメイジだと聞いているし、君の体のことが…」
「たぶん大丈夫よ。考えはあるから」
「ならいいんだが」
「心配、してくれるのね。ありがと」
「ああ」

「そうだ…せっかくだから、乾杯しましょ」
「次は本体で飲みたいね」
二人は話を終えると、安物のグラスで乾杯した。
ルイズは念のため、ワルドに酒場の警備を頼むと、自身は酒場の二階から抜け出してある場所へと向かっていった。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



町外れにある通路は、獣道と見紛うような細い道となり、雑木林の奥へと続いていた。
ここまでくるとラ・ロシェールは巨大な岩山にしか見えない。街の灯は隠れ、見上げても世界樹はちょうど岩陰になっている。
この場所が隠されている理由はすぐに分かるだろう。
林立する石碑や、乱雑に置かれた石、そこら中に立てられた杭、そして鼻を突く腐臭…。

そう、ここは行き倒れや、身元の分からぬ者が埋められた共同墓地である。
「おうぅうう、おおお…」
幽鬼のような唸り声を上げて、墓場を徘徊する女がいた。
「どこ、どこにいるの」と弱々しく呻いては、石をひっくり返そうとしたり、手で地面を掘り返そうとしている。
エプロンは泥で汚れ、指先はぼろぼろに荒れていた。

「あううあああ、ああああああ」

四十前の彼女は、飢えと涙とで顔をくしゃくしゃにして、まるで老婆のような顔をしている。
この地に埋められた子供を掘り返そうとするが、手に力が入らない。
諦めてまた泣くが、すぐにまた地面に指を伸ばす。
それが延々と続けられていた。

「お父さんはどこに行ったの、エリーはどこにいるの、エリー、えりぃいいい…」

正気ではない女の背後に、ゆっくりと近づいていく。
小声でルーンを詠唱し、消すべき記憶を定めて、杖を向ける。
「…忘却」

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「ああ、エリー、ここにいたんだね！ここにいたんだねえ、ああ、エリー、おおお…」
女は、娘を抱きしめて泣き出した。
女はひとしきり泣くと、娘の顔を月あかりに照らして、泥だらけになった顔を拭おうとした。
「…お母さま」
「ああ、エリー、よく顔を見せておくれ、泥だらけになっているよ」
そう言って子供の顔を拭おうとするが、女の手についた泥がつくばかりで、かえって顔を汚している。
「お母様こそ泥だらけよ、ねえ、もっと暖かい所へ。もっと明るいところへいきましょう」
「そうだねえ、明るいところへ行こうねえ、お前の文だけでもパンを貰ってくるから、もう少し我慢しておくれ」
「ありがとう、お母様。でも、お母様こそ食べて欲しいの」
「優しいんだねえエリーは、いいんだよ、私はお腹いっぱいだから…」
「お母さま…」
親子は手をとりあって、街へと歩いていった。




あとに残るのは、カラスの鳴き声と、掘り返されたエリーの遺体。顔のない遺体。髪の毛と顔が剥がされた娘の遺体。



「お母様、この街の男爵様が私たちを助けてくれるそうよ。きっと二人分のパンをくださるわ、行きましょう」

月明かりの中。仮面を被ったルイズのほほえみ、まさしく娘の微笑みだった。




＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝
今回はここまでです。    </description>
    <dc:date>2012-01-25T21:00:21+09:00</dc:date>
  </item>
    <item rdf:about="http://www22.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1.html">
    <title>トップページ</title>
    <link>http://www22.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1.html</link>
    <description>
      2ちゃんねるにある「ゼロの奇妙な使い魔」スレのまとめサイトです。
&amp;blanklink(現行スレ　【ジョジョ】ゼロの奇妙な使い魔【召喚91人目】){http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1289489249/}
&amp;blanklink(前スレ　【ジョジョ】ゼロの奇妙な使い魔【召喚90人目】){http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1262539577/l50}
// 現行スレの更新時に過去スレの方も直してもらえたらありがたいです。
[[過去スレ]]
&amp;blanklink(過去ログ（html）はこちら){http://www2.atchs.jp/familiarspirit/kako.html}
※新規ページの作成は＠wikiモードでしてください！

&amp;blanklink(避難所){http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9292/}

----
召喚された人の数
|合計|今日|昨日|
|&amp;counter()|&amp;counter(today)|&amp;counter(yesterday)|
----    </description>
    <dc:date>2012-01-10T02:18:16+09:00</dc:date>
  </item>
    <item rdf:about="http://www22.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2552.html">
    <title>反省する使い魔！</title>
    <link>http://www22.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2552.html</link>
    <description>
      [[反省する使い魔！-1]]
[[反省する使い魔！-2]]
[[反省する使い魔！-3]]
[[反省する使い魔！-4]]
[[反省する使い魔！-5]]
[[反省する使い魔！-6]]
[[反省する使い魔！-7]]
[[反省する使い魔！-8]]
[[反省する使い魔！-9]]
[[反省する使い魔！-10]]
[[反省する使い魔！-11]]
[[反省する使い魔！-12]]
[[反省する使い魔！-13 前編]]
[[反省する使い魔！-13 後編]]
[[反省する使い魔！-14]]


----    </description>
    <dc:date>2011-11-03T12:55:38+09:00</dc:date>
  </item>
    <item rdf:about="http://www22.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2590.html">
    <title>反省する使い魔！-14</title>
    <link>http://www22.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2590.html</link>
    <description>
      反省する使い魔！　　第十四話「追跡計画中計画実行中」


音石明はこの世界でルイズの使い魔を続けている内に
何度も同じ疑問を自分の頭のなかで浮かべていたことがある。

別によ～～、このオレがわざわざルイズみてぇな
やかましい小娘に仕える必要なんて本当はどこにもねぇんぜぇ～～？
仮にだ、ルイズに義理みてぇなモンがあったとしよう。
オレがそんなモンわざわざ守ると思うかぁ？
オレは御伽噺や漫画に出てくるような
義理堅い勇者野郎でもなんでもねぇんだよぉ～～～～……………。
しかしだ！よく考えてみてくれよ。俺は刑務所で三年の月日を費やした。
三年だ！たったの三年！！
あの杜王町で俺がやったことがたった三年で許されるだとぉ～～～ッ！？
わざわざ殺人まで覚悟してやった俺のあの行いが
たった三年で許されるような安っぽいモノだとでも思ってんのかッ！！
はやく出所できたんだから得だとかそういう問題じゃねぇ！
俺は納得したいんだよ！
三年前俺は間違いなく罪を犯した。
そして刑務所を出たと思ったら、今度はワケのわからねぇ世界で
小娘のお守りときたもんだ。まったくお笑いだぜ………。

最初にルイズの使い魔になれという要求を承諾したのも
はっきり言っちまえば召喚の時にクラスメイトから
バカにされてたルイズに対してのくだらんねぇ同情からだった。
だがルイズを見ていくうちにわかったことがある。
ルイズは魔法が使えない魔法使いだ、
どんな魔法を使ってもお決まりに爆発する。
クラスメイトの連中はそんなルイズを見下していたがよぉ
あの爆発は使い方によっちゃあ間違いなく兇器になる。
このままじゃルイズはいずれ、
自分の中で押さえ込んでいる劣等感をクラスメイトを
傷つける武器にしちまう………。

だからよぉ、そんなルイズだからこそ
オレを召喚したんじゃねぇかって時々思うんだよ
道を踏み外して過ちを犯すということを知っていて
今なおそんな自分の罪滅ぼしに納得していない俺だからこそな………
そして今、ルイズはやべぇ状況にいる。
なんでも今度の相手は結構名の知れた盗賊らしいじゃねぇか、
そういう奴をやっつけてルイズを守ってやればよ～～～
少しでも俺の中にあるこのモヤモヤが晴れるかもしれねぇ！
だから今はこの目の前のデカブツをぶっ壊すことに集中するぜ！！



「しっかしでけぇーなー、
ギーシュの『ワルキューレ』は２メートルくらいあったが
こいつぁ１０メートルは超えてんじゃねぇのか？」

ゴーレムから３０メートル程の距離をあけて
音石は土くれのフーケの操る巨大ゴーレムを見上げていた。

「まあ、それくらいのほうがやりごたえがあるってもんか？」
「オトイシッ！！」

自分の使い魔の登場にルイズはゴーレムの足元で
歓喜と驚きの声を上げた。

「おいルイズゥ、そこ危ねぇからはやくこっち来い！」

音石はルイズの身を案じ、
自分の元に来るように手招きのジェスチャーを送る。
ルイズもソレに応じ、音石の元に駆け寄ろうとしたが
ソレを許すフーケではない！

「おっと、逃がしゃあしないよ！」

先程破壊された腕が回復され、すぐさま元通りになる。
そしてその腕は瞬く間にルイズ目掛けて襲い掛かってきた！
しかしその行為を安々許す音石でもない！


「ふっふっふっ生憎とな、そう易々攻撃を当てさせないところが
俺と『レッド・ホット・チリ・ペッパー』のいいトコなんだぜぇ？」

ゴーレムの上空を飛び回っていたスピットファイヤーが
ルイズ目指して滑空を始める。
そのスピードはゴーレムの攻撃速度を圧倒的に上回っていた。
ルイズの近くまで接近すると、スピットファイヤーから
レッド・ホット・チリ・ペッパーの腕だけを出現させ、
ルイズのマントを掴み取った。

「いいいいぃぃぃやああああぁぁぁぁっ！！？」

時速１５０キロという高スピードのなか、
ルイズは悲鳴をあげてマントからぶら下がった形で音石の元まで移動し
ゴーレムの攻撃を回避した。
音石の近くまでやってくるとスピットファイヤーのスピードを緩め
ルイズを自分の隣に落とすようにレッド・ホット・チリ・ペッパーは手を離した。

【ドスンッ】「キャアッ！」

「ウ～～シッ！ルイズを回収すりゃこっちのもんだぜ
あのゴーレムを操ってるフーケってやつはあそこの壁の向こうにある
宝物庫を狙ってんだろ？だったらゴーレムをあそこから動かすって真似は
しねぇはずだ、奴自身無駄に時間を喰ってる暇なんてないはずだからな
空中にはキュルケとタバサ、こっちだってスピットファイヤーがあるんだ
本体の俺が攻撃されないように距離も十分にとってある、
今のあの野郎は将棋で言う『詰み』に入ってるっつーわけだぁっ！」
「こ……こ……この馬鹿ギタリストォーーーーッ！！！」

ルイズが音石目掛けて飛び蹴りを放った！！

【ガスッ】「オガァッ！！？」

蹴りはものの見事に音石の横腹に命中した。

「いっててぇぇぇっ！！？いきなりなにすんだコラァッ！！」
「ソレはこっちの台詞よぉ！ご主人様に対してなんて事すんのよっ！！
助けてくれたことには感謝してるけど、もっとマシな方法なかったの！？
あの持ち方！！もう少しで首が絞まるトコだったじゃない！！」
「おいバカ！杖をこっち向けんなって！あーするしかなかったんだよ！
仮にマントじゃなく腕や脇から持ち上げたりしたらその長い髪が
あのスピットファイヤーのプロペラに巻き込まれかねねぇだろうがっ！」
「ハッ！そうよオトイシッ、説明しなさい！
あれは一体何なの！？もしかして竜の子供！？」

オトイシとの会話中にルイズは自分の中にある一番の疑問に気付き、
その疑問にむかって怒鳴るように指差した。

「竜の子供だぁ？そんなんじゃねぇーよぉー、
『スピットファイヤー』
イギリスのスーパーマリン製単発レシプロ単座戦闘機
大戦時にはイギリス空軍をはじめとする連合軍が使用していた戦闘機で
ロールス・ロイス製の強力なエンジンを搭載、空気抵抗も少なく
その性能はその手のレースで三度も優勝してるほどの優秀さを誇る。
主任設計技師であるR.J.ミッチェルとジョセフ・スミスを
始めとする後継者たちによって設計され、パイロットたちの支持も厚く
１９５０年代まで２３，０００機あまりが生産され
さまざまな戦場で活躍した…………そのラジコンバージョンだ」
「……………ごめん、あんたが何を言ってるのか理解できないわ」
「………………………………まあいい、話は後だ
今重要なのはあの盗賊フーケなんだからな～～～」

巨大なゴーレムを眺めながら音石は勝利の確信の笑みを浮かべるが
ルイズは対照的にどこか腑に落ちない顔をしていた。
しかし音石の予想通り、フーケにとってこの状況は
非常に不味いものだった。

「まずい、非常にやばいわね
アレが何かは検討も付かないけど、あの使い魔は厄介だわ
しかも制空権を完璧に向こうに取られてる………
あの使い魔が操ってる思わしき鉄の子竜、そしてもう一人、
さっきから距離をとってこっちの様子を伺ってるあの風竜……」

フーケは首を上に傾け、タバサとキュルケを乗せたシルフィードを睨んだ。

「多少の邪魔は想定内だったけど、竜が二体なんて反則だよ！
『フライ』を使って飛んで逃げることもできやしない！」

苛立ちを隠せないフーケだったが、自分の中で無理やり心を落ち着かせ
状況整理と作戦を冷静に練り始める。

（これ以上グズグズしていられない！
いずれ学院長や教師連中がやってくる、
その前にこの状況を打破しなければ………ッ！
しかしどうする！？連中はこっちの時間が少ない焦りを利用して
距離をとってやがるし、ゴーレムを操る魔力もそろそろ限界に来てる
考えろ！なにか策があるはず………………ッ！？）

思考を張り巡らしているうちにフーケはあることに気付いた。
自分と対峙している竜たちが一向に自分に攻撃してくる様子を
見せていないのだ。まさか！と思い、フーケは咄嗟に音石を見た……。
かなり距離が離れているはずなのに、フーケにはそれがはっきりと見えた。
笑っていた。音石のその表情がすべてを悟っていた！

（降参を誘っているつもりかいッ！！？
こっちの不利な状況を理解して……ッ！舐めやがってッ！！
この『土くれ』のフーケをここまでコケにしやがるなんてっ………！！）



ギュゥィィイイイイイイアァァァァンッ！

音石は愛用のギターを絶好調に響かせた。
「ハッハァーッ！よかったなぁルイズ！
コレでお前は明日から英雄だぜ、より胸はって学生生活も送れるってわけだぁっ！
実家で病弱だっていうお前の姉貴も喜ぶぜぇっ！ギャハハハハッ！！
よっしゃあせっかくだぁ、なにか弾いてやるからリクエストしてみろよ！
おっとしまった、この世界の住人のお前じゃリクエストなんて無理だな
仕方ねぇな、だったら俺が選曲して聞かせてやるぜっ！
そうだな……………よしっ！
『エアロスミス』の『WALK THIS WAY』あたりでも…………」

（たしかにオトイシの言う通り、この状況は圧倒的にこっちが有利……
でもなんなの！？さっきからわたしのなかで渦巻いている
このモヤモヤ感は！？いやな予感がしてならない………ってこと？）

未だルイズが不安を隠せないことも気付かずに、
いつの間にか音石はルイズの隣で………
ズッタンッズッズッタン！と勝利の確信に酔い踊っていた。

「なっ！？この『土くれ』のフーケを前にして踊ってやがるッ！？
なんてムカつく奴なんだい！思えばあいつの登場で
なにもかもぶち壊しだよっ！
当初の目的だった宝物庫の宝も結局取れまず仕舞い………え！？」

一瞬宝物庫の壁に目を向けたとき、フーケは目を疑った。
なんと壁に『ヒビ』が入っていたのだ！
ばかなっ！さっきまでいくらゴーレムで攻撃しても駄目だった
壁にどうして今になってヒビが！？とフーケは疑問に思ったが
その原因であるべき正体を思い出した。

「まさか………、あのゼロのルイズがさっき放った爆発でッ！？」

ますます理解不能だった、なぜあのゼロの失敗の爆発でこの壁が？
しかし、これは二度とないチャンスであるという事実が
そんな疑問を掻き消した。
そして閃いてしまった、この状況を打破する策を………！

「アンタにはもう少し働いてもらうよ！！」

フーケは杖を振り、ゴーレムを再び動かし始めた。
ソレを見た音石が踊りと演奏を止め、行動に移った。

「ゴーレムを動かしやがったか、
その行動………、殺されちまっても文句はねぇモンだと判断するぜっ！」

音石はシルフィードを操っているタバサを見てアイコンタクトを送る。
それを合図にスピットファイヤーとシルフィードは
ゴーレムに向かって飛来していった。
ただ一人、自分がなにもしていないことに気付いた
ルイズは精一杯の手助けをと思い、音石アドバイスを送った。

「オトイシ！ゴーレムの肩に乗っているフーケ本体を狙うのよ！
そうすればあのゴーレムは動かないわ！！」
「それぐらいは言われなくたってわかってるぜぇルイズ！
そこらへんの原理はスタンド使いと一緒だからなぁ～！！」

（お願い！わたしのなかのこの予感が、どうかわたしの勘違いであって……！）

ルイズは自分の胸に手を当てて、祈った。
生命の予感や察知とはなんとも不思議なものだ。
自分の身にナニかが迫ると無意識のうちに自分の中でそれを感じ取る、
犬や猫などが、飼い主が帰ってくること時にソワソワするのと同じだ。
ルイズは正確にその嫌な予感を的中させてしまった。
なぜなら、その嫌な予感の元凶を作ったのがルイズ本人であるのだから………。

フーケのゴーレムがスピットファイヤーたちを無視して、
宝物庫の壁に拳を飛ばし、なんと壁を粉砕してしまったのだ！

「ナニィッ！？」「そんなっ！？」

音石とキュルケの驚きの声が重なった。
壁がえぐれた部分にゴーレムの肩に乗っていたフーケが飛び移った、

「まずいわ！宝を盗まれてしまうわ！」

キュルケがバッと音石にアイコンタクトを送った、
えぐれた壁の隙間に入っていったフーケを攻撃できるのは
音石が操るスピットファイヤーしかないと判断したからこその合図だ。
音石もそのキュルケの合図には気付いていたが、
一方でゴーレムのある変化にも気付いた。そして驚愕した！

「タバサァッ！！ゴーレムに近づくんじゃねぇっ！！
こっちに向かって倒れて来てるぞぉ！！」

それを合図に、シルフィードとスピットファイヤーはすぐさま真上に上昇したが、
３０メートル近くあるゴーレムの転倒の衝撃は並なものではない。
凄まじい砂煙が広範囲に広がり始めていった。
地上にいる音石とルイズがそれに巻き込まれはじめたのも当然のことだった。

「伏せろルイズッ！絶対に目をあけるんじゃねぇぞ！！」
「きゃあぁぁぁぁっ！！」

咄嗟の行動だった、目の前まで迫ってきている砂塵に襲われる前に
音石はルイズのマントを引っぺがし、彼女を片手で抱き寄せると
体の体勢を低くし、引っぺがしたマントを二人の体を覆うように被り
迫り来る砂塵を受け流した。

【ビュオオオオォォォォォォ……………】




「オトイシくん、大丈夫かい！？」

マントを覆い被って数分、遠くから聞こえるコルベールの声が聞こえ
音石は覆い被っていたマントから顔を覗くと、
コルベールとオールド・オスマンがこっちに向かってきていた。
そのほかにも大勢の教師や生徒、衛兵がぞろぞろとやってきていた。

「………ふう、おらよルイズ。マント返すぜ
砂埃だらけだが、洗えば取れるよ」

ルイズは「ありがとオトイシ」と礼を言ってマントを受け取ると、
すぐさまオールド・オスマンたちのもとへと駆け寄った。

「ほっほ、ミス・ヴァリエール。
随分と無茶したようじゃが、怪我はないかの？」
「お気遣い感謝いたしますオールド・オスマン
ですが大丈夫です、私の使い魔が守ってくれましたから……」

その時一瞬、ルイズは軽く頬を染め誇らしそうな顔をすると
すぐにまたスイッチを繰り返した。

「それよりも学院長！たった今緊急事態がッ！」
「ふむ、コルベール君に事情は聞いておる
『土くれ』のフーケ、まさかこのトリスティン魔法学院を狙うとはの……
その上、固定化をかけておいた壁をも打ち破るとはたいした奴じゃわい」

それに対してはルイズも共感した。
固定化の魔法とは、その名の通り。
対象の物質などを時を止めたかのように固定し、
固定された物質は腐ることもなく、壊れることもない。
並みのメイジがかけた固定化ならばそれなりの実力者のメイジでも
破壊することはむずかしくはないが
あそこの宝物庫の壁は学院長直々に固定化の魔法をかけているほどのものだ
それを破るなんて、フーケとはそれほどの実力者だったとは………と
ルイズは少し身震いした。しかしルイズは永遠に知ることはない、
その固定化を打ち破った本当の原因は紛れもなく自分だということを………。

「学院長！」

宝物庫を調べていた教師の一人がフライの魔法で上から降りてきた。

「ほとんどの宝は無事だったのですが、ただひとつ
『破壊の杖』だけがどこにもありません」
「ふぅーむ、フーケめ
よりにもよって『破壊の杖』を………、ほかに手掛かりは？」
「はい、この置手紙がひとつ」
「なになに～、『破壊の杖、確かに頂戴しました　　土くれのフーケ』か
フォフォフォッ、なんとも律儀なもんじゃわい」


口では笑ってはいるオールド・オスマンだが
その目は真剣そのものだ、今この老人のなかでは
これからどうするかの方針が練りこまれているのだろう。

「ねえオトイシ、あんたのあの竜の子でフーケを探せないの？」
「だから竜じゃなくて………、はぁ……上見てみろ」

そう言われてルイズが顔を上に上げると、スピットファイヤーと
シルフィードが学院の上空をグルグルと飛び回っていた。
何人かの教師がスピットファイヤーの姿に「オオッ！？」と驚きの声をあげた。

「さっきからタバサのシルフィードと一緒に探しちゃいるんだが、
なにしろあの砂煙だし、フーケは名の知れた盗賊だからな
見つからないように身を潜めることに関しちゃあ、
向こうのほうが圧倒的上手だ。どうしようもねぇよ……」

スピットファイヤーを地上まで下ろすと、音石は片手でそれを持ち上げると
その姿にコルベールは感動と歓喜の声をあげ始めた。

「おお！なんとも素晴らしい！！
見ましたか学院長！？あれほどの文化が彼の故郷には
当たり前のように発達しているのですぞ！」
「コルベール君、君が喜ぶのも理解できるは
今もっとも重要なのは『破壊の杖』を持ち去ったフーケのほうじゃぞ？」
「あっ……こ、これは失礼しました」

どこか残念そうだが興奮を落ち着かせたコルベールだったが、
タイミングを見計らったように、タバサとキュルケを乗せたシルフィードが
降下しはじめ、地上へと舞い降り、そんな二人に音石は声をかけた。

「そっちはどうだったよ？」
「やっぱりだめだったわ、フーケがどっちの方角逃げたかもわからないし
第一こんなに暗いんじゃねぇ………」
「もっともだな、………なあタバサ、お前なら奴をどう探す？」
「………夜明けを待つ、それに情報も…………」

――夜が明け始め、現在学院長室――
タバサの意見がもっともだと賛成した一同が学院長室に集まっていた。
今ここにいるのは、音石たちとオールド・オスマン、コルベール
そして何人かの教師陣たちだった。

「さて………こうして夜が明け始めたのはよいが
周囲を捜索させた衛兵たちの報告はどうなんじゃ、コルベール君？」
「残念ながら……、現在のところそう言った報告はまだ………」
「はっ、衛兵と言えど所詮平民、
平民のような役立たずなどあてにしても仕方ありませんぞ！」
「じゃあテメェはどうにかできんのかよ？」
「なにぃっ！！？」

一人の教師が鼻で笑った言葉に、音石がポツリと嫌味を呟き
その教師が音石を睨むが、しかし音石は眼中にないかのように
その教師と目を合わせなかった。

「コレコレよさんか二人とも、今はフーケが問題じゃろう
しかし、オヌシの今の発言はいささか言葉が過ぎるぞ？」
「………ッ、申し訳…ありません…」

その教師が詫びると、オールド・オスマンはやれやれと息を吐いた。
こんな非常時に相変わらずな教師たちに呆れながら
見渡しているとあることに気付いた。

「おや？ミス・ロングビルの姿が見えんの」
【ガチャッ】「私ならここにいます学院長、ハァッ…、遅れて申し訳ありません」

噂をすればなんとやらだ、
突然扉が開かれ、ミス・ロングビルが息を切らしながら入ってきた。

「おお、心配したぞミス・ロングビル
ん？えらく息がきれているようじゃが……なにかあったのかの？」
「はぁ…はぁ…、土くれのフーケの件で…調査していました」
「ふむ、仕事がはやくて助かるのミス・ロングビル」
「お褒めにあずかり光栄です、それで調査の結果なのですが
土くれのフーケの居場所が掴めました」

その言葉に学院長室が一気にどよめきはじめるが
オールド・オスマンは落ち着いた物腰と口調で問う。

「ほう、フーケめの居場所をのぉ～～……
一体それはどうやって調べたのじゃ？」
「はい、実はフーケが破壊の杖を持ち出し
逃亡したところを私が目撃したのです」

周囲のどよめきが一層に増す、ルイズたちもその言葉には驚いた。
しかし音石はなにか引っかかるものを感じていたが、
今は黙ってロングビルの話を聞いておくことにした。

「まさかだと思うがミス・ロングビル………
君はそのまま…………フーケの後を尾行したのかね？」
「身勝手な行動をお許しくださいオールド・オスマン
学院の衛兵である、『サリー』と『エンリケス』を連れて………
そしてフーケがここから馬で２時間～３時間ほどの
とある森の廃屋を拠点にしていたことがわかりました」
「ふ～～～む、ミス・ロングビル……
叱ってやるのはこの騒ぎが終わってからとしよう………。
しかし『サリー』と『エンリケス』？聞かん名じゃのぉ」

コルベールが手元にあったファイルを開き始める。
どうやらそれは学院に所属する衛兵や使用人などのプロフィールのようだ。
ページをめくっていくと発見したのか、詳細をオールド・オスマンに伝える。

「つい最近この学院に所属したばかりの二人組の衛兵ですね」
「はい、現在フーケが潜んでいる廃屋を見張らしています」
「なんじゃとっ！？ミス・ロングビル！
君はそんな危険なところに衛兵を置いてきたのかッ！？
もしもその二人になにかあったらどうするつもりじゃッ！！」

オールド・オスマンが珍しく声を荒げて張り上げ、椅子から立ち上がった。
心優しいこの老人のことだ、危険で凶暴なメイジの近くに
平民でしかない衛兵を置いとくなどどれだけ酷なことか、
それに対して怒っているのだろう。
今まで見たことなかった学院長の怒りの光景に教師たちが動揺し始めた。
しかしコルベールがロングビルをサポートするかのように言葉を挟み
その場を落ち着かせようとした。

「お気持ちは理解できますが学院長！彼らのことを思っているのならっ！
今は一刻も早く王宮にこのことを報告して助けを呼ぶべきかとッ！！」

コルベールが間に入ったことによって、
心を落ち着かせたオールド・オスマンは椅子に座りなおした

「そんな悠長な時間もないじゃろう、コルベール君………、
王宮に連絡してからでは時間がかかりすぎる、
よってじゃ！この一件は我々魔法学院内で解決するとしよう
そうとなれば早速捜査隊を編成する！
我こそはと思うものは杖をかかげ志を示すがよいッ！！」

しかし残念なことに、この学院の教師たちは
口だけが達者なトーシロの集まりのようなものだ。
教師それぞれが顔を見合すだけで、誰も杖を上げようとはしなかった。
そんな教師たちにオールド・オスマンはますます呆れた溜め息を上げると
たった一人、そう……ルイズだけがそのなかで杖をかかげた！

「ミス・ヴァリエール！あなたは生徒ではありませんか！ここは教師に任せて」

シュヴルーズが止めようとしたが、ルイズは牙を剥くように怒鳴り返した。

「誰も杖をかかげようとはしません！
ならばわたしがフーケを追います！
元々フーケをみすみす取り逃がした責任はわたしにあります
あの場に私はいたのですから！」
「それだったら私たちにもその責任はあるわよヴァリエール？
あんたと同じように、私たちだってあそこにいたのだから………」

ルイズに続くように、キュルケとタバサが杖をかかげる。
その行為に次に驚いたのはコルベールだった。

「ミス・テェルプストー！気持ちはわかるがあまりにも危険だッ！！
君たちもあのゴーレムを見ただろう！？」
「お気遣い感謝しますがミスと・コルベール
ですがヴァリエールには負けたくありませんので………
ねぇ、タバサ？」
「………別に家名なんてどうでもいい……でも心配」
「ありがとうタバサ、やっぱりあなたは最高の親友だわ！」

キュルケとタバサが友情を深め合う中、教師達は猛反対を開始した。
だがオールド・オスマンが「では君が行くかね？」と問うと、
皆体調不良などを訴えて断る。
オールド・オスマンは勇気ある志願者三人を見て微笑んだ。

「彼女達は、我々より敵を知っている。実際に見ておるのじゃからな
その上、ミス・タバサは若くしてシュヴァリエの称号を持つ騎士だと聞いておる
実力は保証できるじゃろう」

教師達は驚いたようにタバサを見つめ、キュルケも驚いた。

「そんなの初耳よ！？それ本当なのタバサ？
なんで黙っていたのよ？教えてくれればよかったのに……」
「騒がしくなるから……」
「ウフッ、もうっ、タバサらしいんだから！」

キュルケが納得とばかりに微笑んだ。
音石が後から聞いた話だが、
『シュヴァリエ』というのは王室から与えられる爵位であり
階級で言えば最下級のものだが、
ルイズ達のような若さで与えられるような生易しいものではないらしい、

しかもシュヴァリエは他の爵位と違い純粋な業績に対して与えられる爵位。
いわば戦果と実力の称号である。
するとオールド・オスマンが話を続ける。

「ミス・ツェルプストーは、
ゲルマニアの優秀な軍人を数多く輩出した家系の出で、
彼女自身の炎の魔法も、かなり強力と聞いておるぞ」

キュルケは得意げに髪をかき上げた。
さて次はルイズの番と、オールド・オスマンは視線を向けて、
褒める場所を探し、コホンッと咳払い。

「その……ミス・ヴァリエールは数々の優秀なメイジを輩出した
ヴァリエール公爵家の息女で、うむ、それにじゃ……
将来有望なメイジと聞いておる。
しかもその使い魔は、平民でありながらも
あのグラモン元帥の息子である
ギーシュ・ド・グラモンと決闘して勝ったという戦績がある」

明らかにルイズよりを音石を褒めている発言に、
ルイズは少しムッとしたが事実だから仕方ない。
音石は思わず少し苦笑してしまった。

「………オトイシくん」
「あん？」

ルイズたちが並んで前に出ている後ろのほうで、
壁にもたれ掛っている音石にオスマンは突然声を掛けた。

「これはこの年寄りからの………いや、学院長であるワシからの頼みじゃ
君も彼女たちと共にフーケを追ってくれんか？
当然、君が望むのであればいくらでも礼は弾む」
「が、学院長ッ！？」

このオールド・オスマンの言葉に教師たちが驚きの声をあげた。
由緒正しき魔法学院の長が、一人の平民……しかも使い魔相手に
そのような頼みを言うなどこの世界の常識では考えられないことだった。
だが音石からしてみれば、そのようなことを頼まれてもどうしようもないことだ。
なぜなら、頼まれるまでもないのだ…………。

「オトイシ、あんたは私の使い魔よ」

ルイズという自分の主人がこう言われてしまった以上………。

「まあ、そういうことだジイさん
今のオレはルイズの使い魔、そしてそのルイズがフーケを追う以上
オレが行かねぇわけにもいかねぇだろ？
それに『勝算』だってこっちにはある、任せておけよ」

そう言いながら音石は、先程から脇に抱えている
スピットファイヤーをつよく握り締めた。

（さっきは油断したが次はそうはいかねぇ……
ルイズたちはああ言ったが、フーケを逃がした一番の理由は
オレの過信からきた油断だ……、反省しなくちゃなぁ～～～
次もヘマ踏まねぇようによ～～～～）




学院の門付近にて、音石とルイズ、キュルケとタバサ、
そしてオスマン、コルベール、ロングビルがそこに集まっていた。

「ミス・ロングビルはフーケの居場所を知っておる故
君らの道案内役として同行させよう、
なによりミス・ロングビル、君には衛兵の二人の件もある
……………わかっておるな？彼女たちを手伝ってやってくれ」
「はい、オールド・オスマン………
もとよりそのつもりです……」

ロングビルの言葉にオスマンは渋るような顔で頷く。

「ふむ、では馬車を用意せんとな………」
「学院長、その馬車なのですが……
屋根付きの馬車では見通しも限られますし、
なによりいざ何かあった時に動きにくいかと………」
「ふ～む、コルベールくんの意見がもっともじゃな……」
「でしたら屋根のない荷馬車を用意しましょう」
「うむ、任せたぞミス・ロングビル」

そう言って、ロングビルは厩舎小屋へと駆け出していった。
そんなロングビルを見送っていた音石だったが、
そんな彼の上着の裾を突然誰かが引っ張ってきた。
見てみると、引っ張っていたのはタバサだった。

「………質問がある」
「こいつ（スピットファイヤー）のことなら黙秘するが？」
「………………そう……」

表情こそ変えなかったタバサだったが、どこか残念そうな雰囲気で
裾から手を離し、本を読む作業に戻った。
その様子を見ていたキュルケは溜め息をはいた。

（やっぱり教えてくれないか………
オトイシって、ほんと何者なのかしら………
でも彼と一緒にフーケを追えば、少しでも真実に近づくような気がするわね）

「コルベールさん、今更なんだがあんたに頼みが………」
「言わなくてもわかっているよ、それは（スピットファイヤー）君に譲るよ」

コルベールはスピットファイヤーに目を向けそう言ったが
さすがにこの発言には音石も驚いた。
あくまで「借りたい」と言うつもりだったのだが
まさか譲るとまで言ってくれるとは予想してなかったのだ。

「いいのか！？あんたが大金払って手に入れたモンなんだろ？」
「確かに、しかしオトイシくん。私はとても満足している
君がそれを動かすのを見たとき感動で涙がでそうにもなった……
なにより誇りにすら思っているのだよ私は………
少しでも君やミス・ヴァリエールの助けになるなら
私は君に手を貸すのを惜しまないよ………」
「…………感謝します、コルベールさん」


音石は目の前の聖人のような男に軽く頭を下げるのだった………。
すると横から見ていたルイズがあるモノに気づき声を掛けてきた

「そういえばオトイシ、あんたそれもっていくつもり？」
「なんでぇ娘っ子、おれ様も一緒にいっちゃあ問題でもあんのかよ？」

ルイズが指差したのは、音石が部屋からもってきた
意思を持つ剣、デルフリンガーの事だった。

「だって別にねぇ～……、オトイシにはレッド・ホット・チリ・ペッパーが
あるんだから、わざわざあんたみたいな薄汚い剣持っていかなくても……」
「ひっでぇなっ！あんまりだぜ、そんな言い草ッ！！？」
「事実を言ってるだけでしょうっ！」

自分を挟んでのやかましいいい争いに、
音石はやれやれと呟き二人の間に助け舟を出した。

「まぁ、ルイズが言ってることがもっともなんだがな」
「おいおい相棒、そりゃあねぇよ～～ッ！？」

「だがまあルイズ、ないよりはマシだろ？
それにこいつの助けが必要になる状況もあるかもしれねぇしな、
例えば俺がスピット・ファイヤーでフーケのゴーレムを攻撃してる時に
フーケ本体がオレ本体を狙ってくるかもしれねぇ………。
手元に武器がありゃ幾分かマシだぜ？ナイフも何本か持ってきたしな」

そう言って音石は、上着の内ポケットに仕舞っているナイフを
ルイズにチラつかせた。
内側のナイフをチラつかせている音石の姿が
あまりにも様になっていたのにルイズは苦笑いを浮かべるのであった。

「まあ、薄汚いボロ剣ってのは事実だから仕方ねぇがな」
「なに勝手に『ボロ』付け足してんだよっ！？
使い魔、主人そろってひでぇぜお前らッ！！」

デルフの虚しい叫びも、音石とルイズが目を黒い影で塗りつぶし
無視されるのであった。





ミス・ロングビルはまず、荷台を引くための馬を用意するために
厩舎小屋で適度な馬を選んでいた。
本来、大盗賊土くれのフーケを追うような危険な調査では
誰もが不安を隠せない表情を浮かべるのが普通だろう。
しかしこの時彼女の顔は、邪悪な笑みで口元を歪めていた。

「ふっふっふっ、まずは第一段落終了だね………
できれば教師に出てきてほしかったけど、まぁ仕方ないわね
この学校の教師たちったら口だけで腑抜けばかりだもの……」
「どうやら計画は順調に進んでるようじゃねぇかフーケ」
「！？」

すると突然、厩舎小屋の奥から声が聞こえてきた。
暗闇で顔こそは見えなかったものの、
ミス・ロングビルもとい土くれのフーケはその声に聞き覚えがあった。

「ッ！？あんた、なんでこんなところにいるんだいっ！？
私が獲物を連れてくるまで持ち場で待機してろって………」

「ヒヒヒヒッ、そう硬いこと言わないでほしぃ～ね～
あんたを捕まえようなんて考えている馬鹿な命知らずがどんなヤツらか
ちょいと気になったからよ～～、見に来ただけじゃねぇか～
あんたまさか『土くれ』って ふたつ名のくせして
人のおちゃめも通じねえコチコチのクソ石頭の持ち主って
こたあないでしょうね～～～～～？」

暗闇のなかにいる相手の言葉にフーケは苛立ちを覚えるが
こいつの人を頭から馬鹿にしたようなしゃべり方は今に始まったことじゃないと
自分に言い聞かせ、怒りを堪えた。

「どうせそっちは馬車なんだからナメクジみてぇにノロノロ来るんだろう？
あんたの考えた計画をおれがわざわざめちゃくちゃにするとでも思ったかい？
そこらへんはちゃ～～～～～んと考えてるぜぇ～～～～～？」
「………ふんっ、そりゃよかったね。
だったらとっとと持ち場に戻って………」
「いんや～～、おれも最初はそうしようと思ったんだけどなぁ～～……
これだけはあんたに伝えといといたほうがいいかなぁ～～っと思って、
わざわざこんな馬糞くせぇところであんたを待ってやったってわけだぜ？」
「伝えたいこと？」
「ああ、あんたが言ってた妙な使い魔………
ありゃ～～～十中八九『スタンド使い』だぜ
以前あんたは伝説の使い魔ガンダーなんとかの能力とかなんとかって
バカづらさげて言ってたがよ～～～………」

その言葉にフーケは身目を見開かせ、驚きを隠せない顔をしていた。

「そうそう、丁度そんな感じのバカづらだぁ～、ヒヒヒヒヒ
あんた顔面の表情操作が意外とうまいねぇ～」
「つまりあの使い魔はあんたの世界から召喚されたっていうのかいっ！？」
「ケッ、そこはあえてスルーですか……
まぁ、そういうことになるんだろうなぁ～～～～
あいつの格好、ぶら下げてるギター。間違いなくおれの世界の文化だ
しかもギタリストとは………なかなかイカシてると思わねぇかい？」

フーケは爪を歯で噛みながら、なにかを考えふけっていた。

「あんた………あの使い魔を倒せるのかい？
あの使い魔、はっきり言ってかなり強力だよ…………」
「モノは考えてから言えやこのボゲ、このおれが負けるとでも思ってんのかよ？
もしそうだとしたら、アンタ今からこのガキのションベンくせぇ
学院の医務室に行って、ケツの穴に温度計ブッ刺されたほうが
いいって助言してやるぜ？」
「ふんっ、相変わらず減らず口が絶えないやつだよ
まあ、それを聞いて安心したよ。
今回の作戦はあんたの働きに掛かってるんだからね」


そういってフーケは相手が潜んでいる暗闇から視線を外し、
馬を二頭選び、厩舎小屋から引っ張り出した。
そして自分が気になっていたことを思い出し、
再度小屋の奥の暗闇に視線を戻した。

「そう言えば、あんたに言われたから攫ってきた衛兵の二人
一体なにに使うんだい？」

しかし、その時には暗闇には誰もおらず、
ただ小屋のなかにいる馬の鳴き声と窓から流れる風の音が
静寂に小さく唸るだけだった………………。    </description>
    <dc:date>2011-11-03T12:53:45+09:00</dc:date>
  </item>
    <item rdf:about="http://www22.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2589.html">
    <title>反省する使い魔！-13 後編</title>
    <link>http://www22.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2589.html</link>
    <description>
      時は流れ夜、眩しい夕日の光もとうの昔に沈んでいき
空に浮かぶ二つの月が神秘的な輝きを発している。
そんな月の光に浴びながら、音石は目を覚ました。
医務室を後にしたあと、特にやることもなかったので
部屋に戻り昼寝をしていたのだ。当然藁の上で。

「あーあ……、ヒデェ中途半端な時間に起きちまったな…」

確実に狂ってしまっている自分の睡眠の習慣に頭を抱える
外の静けさから考えて、学院の生徒たちもとっくに夕食を終え
部屋に戻って寝静まり始めているくらいの時間だろう。
少し遅くはあるがシエスタに頼んでメシを恵んでもらおうかなと考えていると
壁に掛けてあったデルフリンガーが突然話しかけてきた。
ついでにその隣では音石のギターが掛かっている。

「気分が最悪のお目覚めだな相棒、どうだ気分は？」
「てめぇ自身が最悪だって言っといて喧嘩売ってんのかコラ」
「冗談だよ冗談、そんなに睨まねぇでくれよ、
でもよぉ、剣の俺様が言うのなんだが
そんなんなるんだったら最初っから昼寝なんてしなきゃいいだろうよ」
「眠くもねぇのに無性に寝たいって気分があんだよ
たくっ、これ俺夜寝れんのかねぇ～？」

【コンッコンッ】

音石とデルフリンガーの何気ない会話の最中、誰かが扉をノックした。

「あン？だれだよ？ルイズなら今いねぇぞ」

誰かわからないがわざわざ扉を開けるのも面倒なので
音石は扉越しに声をかけた。しかし帰ってきた言葉から、
訪問者が意外な人物だというのが判明した。

「私だオトイシ君、コルベールだ。
夜分遅くにすまない、君に用があるんだ」
「なにぃ～～？」

訪問者はなんとコルベールだった。
それがわかると音石は藁から立ち上がり、すぐさま扉を開けた。
それと同時に、部屋から差し出す月の光が扉を開けた先にある
『とあるモノ』によって反射し音石の目を刺激した。

「目…目がくらむッ！げ…限界なく明るくなるゥ！」
「……………なにか言ったかね？」
「あ、いや、なんでもないッス」

つい口が滑った発言にコルベールの嫌な視線を向けられたが
音石はすぐさまそっぽ向くことによってその視線を受け流した。
そして何事もなかったようにコルベールに質問する。

「召喚されと日の時といい、また俺になんか用ッスか？」
「いや、今回は学院長の頼みで君に会いに来たんだよ
詳しいことは私の研究室で話をしたいんだが…………
ミス・ヴァリエールはいないのかね？」
「あの爺さんからの頼みで？
…………いいッスよ、特に今やることもないんで。
ルイズもまだ帰ってきてねぇし、丁度いいでしょう？」
「ふむ、それはよかった
では案内しよう、私についてきてくれ」

（あの爺さんからの頼みってコトはおそらく
スタンド使いに関すること、あるいは地球の手掛かりがあるってことか？
だがそれにしたって早すぎねぇか？頼んだのは今日の昼だぞ？
それに学院長室じゃなくこの先生の研究室ってのも妙だ、
………なにか……あるのか？この学院に、こんなすぐ傍に、
スタンド使いか、地球に関する手掛かりかなにかが………）

自分のなかに渦巻く疑問を胸に、音石はコルベールの後にを追うため
留守番をデルフリンガーに任せ、ギターを手にルイズの部屋を出て行った。



コルベールの後についていく内に音石は塔と塔に挟まれたいっかくにある
小汚い掘っ立て小屋に辿り着いた。

「これが………研究室？」

音石の呆然とした声にコルベールは苦笑した。

「はははっ…、以前はちゃんとした部屋があったのだがね
薬品などの臭いが理由で場所を移されてしまったのさ」
「はっ、随分優遇されてるなアンタ」
「君は嫌味で言っているんだろうが、実際そうなのかもしれない」

コルベールが扉を開き中に入り、音石もその後に続いた。
まず目に入ったのは薬品のビンや試験管、さまざまな実験器具だった。
壁は書物の詰まった本棚に覆われ、
蛇や蜥蜴や得体の知れない生物が檻に入れられている。
そして次に音石が感じたのは強烈な刺激臭だった。

「うあァ、こりゃ追い出されても文句いえねーわ」
「なぁに、これぐらいの臭いすぐに慣れるさ
しかし、ご婦人方には慣れるということはないらしく
私はこの通りまだ独身だがね」

コルベールは慣れた表情で言うが、音石はそうはいかない。
ある程度の臭いは刑務所で多少慣れてはいるものの、
この研究室に漂う臭いはそれはまた別の臭みをもっていたため、
音石は自分の顔の前を手で振り払う仕草を示した。

「それでっ？どんな用件なんッスか？
人をわざわざこんなところまで連れてきて」
「こんなところとは酷いじゃないか、
しかしそう言われても文句は言えないね
とりあえず本題に入ろう、実はオールド・オスマンから
君にあるモノを見せて欲しいと頼まれたんだよ」
「……ここに連れてきたってことは、
ここにそのあるモノってのがあるってわけかい？」
「さすがに察しがいいね、そして学院長から聞いたよ
君がこのハルケギニアとは違う別の世界から来たということも」
「げっ！？あのジジィしゃべりやがったのかよ！！」
「ああ、だが勘違いしないでほしい。
私が聞いたのはあくまで君が異世界の住人だということだけだよ
それ以上のことは聞いていない。君の不思議なチカラのこともね
仮に聞いたとしても、私はそれを他人に話すつもりはないよ
当然、君が異世界の住人だということもね」

コルベールはそう言うが、それでも音石は苦い表情を浮かべた。
あの学院長が話す程の相手ならそれなりに信用性はあるのだろうが
やはりどちらかといえば複雑な気分があった。

「だと嬉しいんだがなァ～、
ていうかアンタ、俺が異世界の人間だってのにえらく冷静だな
それ以前に信じてんのかよ？こんな突拍子もない話」
「もちろん驚いたとも、しかしそれと同時に納得もした。
いままでの君の行動、その服装、見たことない楽器、
すべてハルケギニアの常識を覆しているからね。実に興味深いよ」
「あんた変わり者って言われたことないか？
あっ、図星だな？めちゃくちゃ顔に出てるぜ？
そんなんだからいい歳ぶっこいて独身なんだよ」

いつの間にか音石のコルベールに対しての言葉遣いが荒くなっていた。
ある意味これは秘密を知るもの同士の親近感を表しているのだろう。

「ゴホンッ！私のことはどうだっていい
話がそれてしまったが、君に見せたいあるモノというのが
…………これなんだよ」

コルベールが研究所の奥から、キャスター付きの机を持ってきた。
その机の上には何かが黒い布で覆いかぶされていた。
なんだこりゃ？と音石は疑問を感じた。
しかしコルベールがその布を引っ剥がした瞬間、
その疑問は…………驚愕へと変わった！

「………ばかなっ！？おいおいタチの悪い冗談だろ？
なんで………、なんだって『コレ』がここにあるんだ！！？」

時間は少しさかのぼり、
ルイズは今、食堂でキュルケ、タバサと一緒に夕食をとっていた。
そしてルイズはキュルケとタバサに医務室での出来事を話していた。

「へぇ～、前々から思ってたけど
オトイシって結構やること容赦ないのね、
傷もまだ完治していないギーシュに掴みかかるなんて」
「………でもある意味、彼らしいといえば彼らしい」
「ふふっ、確かにそうかも♪
………それでルイズ？結局ギーシュのことは許してあげたの？」

キュルケの質問にルイズは食事の手を止め、
難しそうな表情を浮かべた。

「正直………なんとも言えなかったわ、
ギーシュはああ言ってくれたけど………ギーシュが今まで
わたしのことを侮辱してきたのは紛れもない事実だもの……
ギーシュ自身が言ってたようにね、
…………だから…………なんとも言えなかった」

重い静寂な空気が流れた。とても気まずく、とてもぎこちない空気、
しかし間もなくしてその空気の中で
キュルケがグラスに入ったワインを
口に軽く流し込んだのに続いて言葉を発した。

「だったら……それでいいんじゃない？
ギーシュが本気であんたにしてきたことを『反省』してるのなら
これから先、あいつの行動がそれをあらわすはずよ」
「それこそ……あなたの使い魔のように……」

キュルケに続いてタバサまでが言葉を並べた。

「……………なんかさ……」
「「？」」
「あんたたちがなんで親友同士なのかちょっとわかったような気がしたわ
だって、息がピッタリなんだもの」

その言葉にキュルケは笑い出し、ルイズもそれにつられて笑った。
そしてタバサも……その小さな口が薄く笑みを浮かべてるように見えた。

夕食を終えると生徒たちは自分の部屋に戻り寝静まっていく、
しかしルイズたちは寮から少し離れた広場にいた。
ルイズの魔法の練習が目的だ。しかもそのために
キュルケとタバサに協力を求め、キュルケたちもそれに承諾した。
タバサならともかく、ルイズがあの犬猿の仲だったキュルケに
こんなことを頼むなど、少し前の彼女なら考えられないだろう。
もちろんキュルケだって同じことだ。
ある意味これも音石明という男に関わったことによる
二人の変化………いや、成長なのだろう。
だが実際は…………、

【ドゴォォォンッ！】

「だからちがうでしょうヴァリエール！
この魔法での詠唱はそうじゃなくてっ！」

とキュルケが説教をし、

「だからちゃんとその通りにしてるって言ってるでしょう！？」

ルイズが抗議し、

「…………………………」

タバサが黙って本を読む、……………の繰り返しである。
実はその口論の最中に音石とコルベールが研究室に向かって
ルイズたちと入れ違いになったというのは誰も知る由もない。

「でもなんで詠唱も杖の振り方も完璧なのに
爆発ばっか起こんのよっ！！ホントわっけわかんない！！」
「そんなの私に聞かれても知るわけないでしょヴァリエール
ほら！もう少し付き合ってあげるからがんばって………」

【ドオォンッ】

「「「！！？」」」

キュルケが喋っている最中に突然どこからか轟音が響いた。

「なんなの今の音！？
ルイズ、あなた杖を振った？」
「振ってないわよ！
『大きな音＝わたしの魔法』って認識しないでよね！！」
「あそこ」

タバサが冷静に、学院の中央塔の方角を指差した。
その指の沿ってルイズとキュルケも中央塔を見ると
１０ｍ以上はある巨大な何かが蠢いていた。
夜の暗闇でよく見えなかったが、目を凝らしてみると
徐々にその何かの正体が明らかとなった！

「あれは………ゴーレム！？なんて大きさなの！！
それにあんなところで一体なにを………」

キュルケが驚愕の声をあげるが、
頭の中では自然に状況の分析が行われていた。
そしてその分析の中で『ある人物』の名前が浮かび上がった。
しかしその名を口にしようとする前に
親友タバサに先にその名を出されてしまった。

「『土くれ』の……フーケ…」
「フーケッ！？最近このあたりを荒し回っている盗賊じゃない！！」

一人だけ分析に遅れていたルイズが
キュルケと同じような驚愕の声を上げた。
しかしそれでもキュルケに引きをとることもなく
すぐさま次なる状況分析結果に辿り着いた。

「まさか宝物庫の宝を狙ってるんじゃ！？」
「おそらくその通りでしょうね、
さっきの大きな音………きっと宝物庫の壁を攻撃した音だわ。
でもまぁ随分とナメられたものね、
あんな堂々と大胆に学院の宝を盗もうとするなんて………
タバサ、急いで先生たちに………」

タバサに視線を向け、指示を送ろうとしたとき
キュルケはあることに気付いた。
さっきまで自分の隣にいたルイズがいなかったのだ。
まさか！と思い、キュルケは視線を前方の塔の方角に移した。
予想した最悪の通り、ルイズがゴーレムに向かって走っているのだ！

「ルイズ！なにをするつもりよ！？危険よ！！」
「先生たちを呼んでいたら逃げられるでしょう！！
フーケはわたしが捕まえて見せる！！」
「そんなの無茶よ！！あなたもわかってるでしょうルイズ！？
あんな巨大なゴーレムを作り出せるなんて
フーケは相当腕の立つメイジの筈だわ！！」

キュルケがいくら叫び止めようと、ルイズにも意地があった。
キュルケの言葉に耳を傾けることなくゴーレムに向かっていった。

「このままじゃルイズが危険だわ！
急いで追うわよタバサッ！！
もうっ！ルイズッたらほんっと手間かけさせるんだか！！」

その言葉を合図にキュルケとタバサは走り出した！
そしてタバサは走りながら口笛を吹くと空から月をバックに
風竜シルフィードが姿を現し、キュルケとタバサの横に近寄り
低空ギリギリを飛行する。そして二人は空飛ぶ魔法『フライ』を唱え
シルフィードの背中に飛び乗り、塔の方角へと駆けていった。

そしてそのゴーレム自身は再度腕を振り上げ、全体重をかけて
宝物庫の壁に巨大な腕のパンチをぶつける。
しかしヒビも入らなければビクともしないその現実に
ゴーレムの肩に乗りマントで顔と体を隠しているフーケが一番苛立っていた。

「くそったれっ！硬いッたらないねぇホントにっ！！
あの禿げ、なにが外側の物理的衝撃には弱いよっ！！
外が『禿げてる』なら中も『剥げてる』ってことだねまったく！」

【ドゴォンッ】

「っ！？爆発！？一体どこの命知らずだいっ！！？」

突如自分のゴーレムの脇腹部分が爆発によって軽く削り取られた。
巨大なゴーレムに乗っていたせいで気付かなかったが、
よく見ると自分のゴーレムの足元に誰かがいた。

「『土くれ』のフーケ！
これ以上、神聖なる学院で好き勝手にはさせないわ！」

しかしとうのフーケは相手がルイズだと認識すると鼻で嘲笑った。

「はっ！だれかと思えば落ちこぼれの『ゼロ』のルイズじゃないか
驚かせんじゃないよ！
あんたごとき『障害』と呼ぶ以前に論外なのよ！！」

距離があるせいか、ルイズもフーケも互いに
相手の声が聞こえることはなった。
しかしフーケのゴーレムはルイズを攻撃しようとせず
再び宝物庫の壁に向けて腕を振り上げようとした。
その行動にルイズは自分が相手にされていないことに気付いた。

「わたしなんて相手に眼中にないってことっ！？舐めないで！
由緒正しきヴァリエールの血統のおそろしさ、
思い知らせてやるんだから！！」

ルイズが再び杖を振り上げようとしたとき、
自分の頭上にタバサのシルフィードが通ったのに気付いた。
よく見るとシルフィードの背中にはキュルケとタバサが乗っている。
しかし今はそれどころじゃない、
ルイズは再び目の前のゴーレムに視線を戻した。

「タバサ、はやくルイズをゴーレムから離れさせないと
あのままじゃ危険だわ！」

シルフィードに跨ったままキュルケは現状を把握していった。
もちろんタバサも同じことだ。
しかし状況はそう簡単なものではなかった。
それを理解していたタバサは冷静にキュルケに伝えた。

「彼女を無理やり引き離すなら、『フライ』を使わないといけない」
「じゃあはやくそうしましょうよ！」
「落ち着いて。そうしたいのは山々だけど
簡単にはいかない、飛行している私たちと彼女との距離は
『フライ』の範囲外、近づこうとすれば間違いなく
フーケのゴーレムが攻撃してくる」

迅速かつ簡潔な説明にキュルケは歯を強く噛んだ。

「じゃあ一体どうすれば……」
「幸い、フーケは彼女を敵と認識していない
でもいつ攻撃されても人質にされてもおかしくない
今は無闇に攻撃するのはかえって危険」

せっかくわざわざ危険を冒してゴーレムに向かったというのに
手も足も出ないなど屈辱意外何者でもなかった。

そしてフーケも竜に乗ったふたりが攻撃してこないことでそれに気付いた。

「はっ、どうやら『ゼロ』のルイズのおかげで
余計な邪魔が入らずに済んだみたいね…………でも……」

【ドォォンッ】

フーケが乗っているゴーレムの肩の反対側の肩が爆発した。

「もうっ！なんでそっちで爆発するのよ！
反対よ！逆よ、逆！！」

ゴーレムではなく本体のフーケを狙って魔法を発動したが
なんの嫌がらせか反対側で爆発した自分の魔法を起こした
手に持つ杖に向かって、ルイズは惜しむ声を上げた。
だがその行動が命取りとなってしまった！

危うく自分が爆発に巻き込まれそうになったことに
危機感を覚えたフーケが、標的をルイズに移したのだ。
壁を向いていたゴーレムがゆっくりとルイズのほうに体を傾けていく。
それにいち早く気付いたのはキュルケたちだった。

「まずいわ！ルイズを攻撃しようとしてる！
タバサ、こうなったら一か八かの賭けに……」
「待って……」

焦るキュルケにタバサは静止の声をかけた。

「なにか……聞こえる……」
「え？」

【………ブゥ……ゥウ……………ウ……】

「なに………この音？」

珍しくタバサが不思議そうな声をだした。
二人はシルフィードに乗りながら辺りを見渡した。
しかし暗闇で何も見えはしない。
微かに聞こえる音もなぜかそこらじゅうから聞こえるような気がした。
もちろんこの音にフーケもルイズも気付いた。

「い、一体なんだいこの音は？」
「…………………？」

ルイズが無言のままキュルケたちのように辺りを見渡す。
しかしすぐにその視線はゴーレムのほうに戻った。
目の前のゴーレムが自分に向かって拳を振り上げているからだ。

「ちっ！なにかは知らないけど、
耳元でハエがさえずっているようでイライラするったら
ありゃしないね、この苛立ちをアンタにぶつけてやるわ！！」
「ルイズッ！お願いにげてぇっ！！」

キュルケの願望も虚しく、
ルイズはゴーレムを前に勇気を振り絞って、誇りをかけて
ゴーレムに向かって杖を振りかざした。
ルイズにとってこれが最後のチャンス、
呪文を口で唱え、魔法の名をゴーレムに……
フーケに向かって吐き出した！

「ファイヤーボールッ！！」【ドゴォオンッ】

…………最後の足掻きは虚しく宝物庫の壁へとぶつかった。

【ドゴバァンッ！】

「な、なにぃっ！？」
「えっ！？」

だが次の瞬間、
なんと振り上げられていたゴーレムの腕が粉々に粉砕していった！

「なっ、あいつの爆発は間違いなく壁に当たったのに
なんであたしのゴーレムの腕が粉々に………ッ！？」

【ブゥウ……………ウウウゥ…………】

「はっ！またこの音！！
さっきから聞こえるこの音は一体なんだってんだい！？
一体どこから聞こえ…………」

一瞬、フーケは自分の横を何かが横切ったのを感じた。
咄嗟に視線を向けてもそこにはなにもありはしない。
だが自分の横に間違いなく何かが横切った………、
そして気付いた。この音…………はじめはどこか遠くからかに
聞こえてくる音だと思っていた。だが実際はそうじゃなかった。
自分の耳が……脳での認識が、その音に追いついていなかったのだ。
『ソレ』が……あまりにも高速でゴーレムの周りを飛び回っていたから……

「タ、タバサッ………あ、あれって……？」

上から見ていたキュルケたちもようやく
『ソレ』を認識することができた。
だが認識したことによって二人の混乱は増すばかりだった。
そしてタバサの口からぽつりと言葉が零れた………。

「鉄の……竜の子供……？」


「な、なんなのよあれ！？
あんなの……今まで見たことがないわ……」

ゴーレムの足元でルイズが唖然として立ち尽くし、
視認した『ソレ』を目で追っていた。
すると空飛ぶ『ソレ』が再びゴーレムに急接近すると、
あるもの飛び出してきた。『光る腕』だった！

「あ、あの腕！あれってまさかっ！！」

その光る腕は強烈なラッシュをゴーレムの腹部に炸裂した！
ラッシュによって抉られた腹部の影響で
ゴーレムは大きくバランスを崩した。
不安定に全体がぐらぐらと揺れている。

「うっ……ッ！くそっ、なんだってんだいあれは！？」

フーケはすぐさま杖を振り、抉られたゴーレムの腹部を修復し、
体勢を立て直すと、すかさず空飛ぶ『ソレ』に向けて
ゴーレムで攻撃させたが…………

（は、速いッ！？）

『ソレ』の驚異的な速さにフーケは肝を冷やした。
ゴーレムの攻撃を回避した『ソレ』は一旦距離をとった。
するとルイズたちの耳につい最近聴き慣れた音が鳴り響いた！

ドギュウァーーーーーーーーーンッ！！！

音が鳴ったのはルイズの後方！
その場にいた全員がその方向に目を向けた。
そこに居たのは、ギターを構え、特徴的な長髪と
顔に大きな傷のある青年！ルイズの使い魔！！

「オトイシッ！！」
「Ｏｎ、ＹＥＡＨ！！」


数分前、コルベールの研究室にて。

「なんだって『コレ』がここにあるんだ！！？」
「……………やはりコレを知っているんだね
オトイシ君、私はめずらしい噂や情報を耳に入れると
よく休暇をとって研究しに行ったりしているのだが………
これはその中で一番興味深い代物だよ、
数ヶ月ほど前のことなのだが……ある田舎の村で
『奇妙な鉄の竜の子』が拝められているという情報を耳に挟んでね
非常に興味深かったので、実際に見に行ってみたら
私の中の研究意欲を最高に刺激してね、村人たちに頼んで
譲ってもらったんだよ、私の財産の四割程が消し飛んだがね。
それから色々と研究してみたのだが、いっこうに謎ばかりだよ。
だがこのハルケギニアで作れるような代物じゃないこと理解できる。
そして君は異世界の住人、私も………学院長も………
これは君の世界から来たモノなのではないかと予想しているんだよ」
「………ああ先生、あんたの言うとおりだよ。………こいつは…」

【ドオォンッ】

「！？」
「な、なんだ今の音はッ！？」

コルベールは素早い動きで研究室から飛び出すと
音石もそんな彼の後に続いて外に飛び出した。
そして二人の目に入ったのは本塔の前に蠢いている
巨大なゴーレムだった。

「な、なんだありゃ！？」
「ゴーレムだよ！それにあの大きさ、相当腕の立つメイジの仕業だ
おそらく『土くれ』のフーケだ！」
「誰だそりゃ？」
「貴族を相手に盗みを働く盗賊だよ、
最近トリスティンにも現れはじめたとは聞いていたが
まさかこの学院をねらってくるとは………ハッ！？」

するとコルベールはその巨大なゴーレムに走り向かっていく人影に気付いた。

「あれは………ミス・ヴァリエール！？
まずい、彼女はフーケを捕まえるつもりだ！！危険だッ！！
急いで止めないと取り返しが付かなくなる！！」

コルベールがルイズを止めるため、駆け出そうとしたが
肩をグッと音石につかまれ静止された。

「あんたは学院長のジジィにこのことを伝えなよ！
ルイズは俺がなんとかする、フーケもその間足止めしといてやるよ」
「だ、だが！いくら君でもあれだけ巨大なゴーレムが相手では………」

コルベールが音石の方へと向くと、音石の手には
先ほど見せた『ソレ』が脇に抱えられていた。

「きみ………それは………」
「まあ、確かに普通じゃ厳しいだろうーな…
だが『コイツ』があるんだったら……勝算はあるかもな！」

そう言って音石はルイズを助けるために駆け出した！
そしてルイズを助けるために己が分身の名を叫ぶ！

「レッド・ホット・チリ・ペッパー！！
そして飛べェッ！『ラジコン飛行機スピットファイヤー』！！」




そしてゴーレムに攻撃されそうになった
ルイズの危機を音石は見事に救った！！

「よ～うルイズぅ、随分と無茶やってんじゃねぇか？
まあ後は任せろよ、なんで三年前に俺がジョセフを殺すために
使おうとしてた『ラジコン飛行機スピットファイヤー』が
この世界に来てるのかは理解できねぇが…………
まあ、せっかくだぁ。三年前あんまり使ってやれなかった分……
思う存分暴れさせてやるぜぇっ！！」

ギュアァアーーーーーーーーーーンッ！！

【ブウゥゥゥゥゥゥゥゥンッ】

ギターの音を響かせ、ラジコン飛行機の機動音が鳴り響く！
スピットファイヤーinレッド・ホット・チリ・ペッパーは
フーケのゴーレム目掛けて飛来していった！！    </description>
    <dc:date>2011-11-03T12:51:49+09:00</dc:date>
  </item>
    <item rdf:about="http://www22.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2588.html">
    <title>反省する使い魔！-13 前編</title>
    <link>http://www22.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2588.html</link>
    <description>
      反省する使い魔！　　第十三話「土の略奪●雷鳴の起動」


「ねぇタバサ、あなたはどう思う？」
「………？」

食事を終え、ルイズに付き添って医務室にいるキュルケとタバサ。
メイジの女医師に音石からもらった金を支払い、
治療をしてもらっているルイズの後ろで
キュルケがタバサの耳元で、ルイズに聞こえないように呟いた。

「……何が？」
「オトイシの『アレ』の事よ」

『アレ』とは言うまでもなく
『レッド・ホット・チリ・ペッパー』のことである。

「彼の能力のこと？」
「そうよ、あたりまえでしょ？
あららァ～、それともなにィ？もしかして変の意味で考えちゃったァ～？」
「………あなたと一緒にしないでほしい」
「ふふっ、それもそうね。そう睨まないで頂戴
それで、どう思う？」
「………どう、とは？」
「なんでもいいのよ、いろいろと疑問はあるでしょ？
いくつか聞かせてくれるだけでいいの、
わたしも考えたんだけどさァ～、
いろいろと疑問が多すぎて逆にサッパリなのよ」

ある意味キュルケらしいとタバサは思った。
次にタバサの口から小さくやれやれと溜め息が出る、
なんでもかんでも自分に意見を求めるのはキュルケの悪い癖だ。
でもそれはそれでキュルケらしいと、妙に納得もいった。
そしてそんな親友キュルケの為に、頭の中で疑問点をまとめる。

「彼は……ただの平民じゃない」
「そりゃそうよ、あんな強い亜人を操れる彼が
『ただ』の平民だったら、私たちメイジの立場がないわ！
あ……でも、それならあの亜人は一体何なのかしら？
やっぱり、あのギターって楽器がマジックアイテムになってるのかしら？」
「………たぶん、ちがう」
「どうしてそう言い切れるの？」
「正直言うとこれは勘。でも少しだけ思い当たるところはある。
以前彼自身もマジックアイテムを使っていると言っていた
でもあれはたぶん嘘、態度があまりにも素っ気無かったし
それに彼が『能力の正体がマジックアイテムを使っている』と
すんなり答えたところがとてもひっかかる」
「…確かに、彼の性格から考えてそんなに自分の能力の秘密を
すんなり他人に教えるなんて奇妙で不気味ね……
でもじゃあそれって………」

キュルケが顎に手をあてて考える仕草をとる。
そしてそんなキュルケの考えを予想できたタバサは
彼女のために結論を口にした。

「あれは……マジックアイテムとも……魔法ともまるで違う
わたしたちの常識を遥かに超越したナニか」
「……もしかして、未知の先住魔法とか？」
「それも考えにくい、彼はエルフには見えないし
そもそもあの亜人には、魔力の流れを感じなかった」
「そう…よね…、ギーシュとの決闘のときは
距離があったからわからなかったけど、
昨日の戦いでは彼と彼の亜人のすぐ傍に私いたけど
そんな感じ全然しなかったわ………」

なにやら更なる疑問が増えてしまった気がして、
キュルケは両手でわしゃわしゃと頭を掻き回した。

「あァーーもうッ！わっかんないわねぇ！！
一体彼って何者なのよ！！」
「病室では静かに！！」

（まったく、仮にも貴族がなにやってんだか…）

後ろで突然叫んだことで、医務室の専属メイジに
元気よく怒鳴り怒られたキュルケにルイズは胸の中で溜め息をついた。


【ガチャリ】「失礼します」

するとキュルケたちのさらに後ろで、
医務室の扉が開く音と同じくしてモンモランシーが入ってきた。

「あら、モンモランシーじゃないの
一体どうしたのよ？熱でもあるの？」
「はァ？な、なんでそうなるのよ？」

キュルケの挨拶に続いた質問にモンモランシーは首を傾げた。
しかしキュルケは別に皮肉で言っているわけじゃない。
本当にモンモランシーを心配して質問したのだ。
なぜなら………、

「だって…あなた顔すっごい赤いわよ？」
「え、ええぇッ！！？」

モンモランシーはすぐさま両側の頬っぺたに手を当てた。
………熱い、とても熱い。熱と勘違いされて当然の熱さ。
原因はわかってる、わかってはいるけど……
まさかここまで自分は顔を紅くしているとは思わなかった。

そんな自分の顔をルイズたちがまっすぐ見ている。
実際は純粋にクラスメイトを心配している視線なのだが、
モンモランシーはそんな視線をとても直視できなかった。

「ちょ、ちょっと！ひ、ひ、人の顔をまじまじ見ないでよ！？」

くるり、っとモンモランシーは顔を隠すために体ごと後ろを向いた。
しかしそこに最高のタイミングで…………、

【ガチャリッ】「よー、ルイズいるかァ？」
「キャアアアアアアアアァァァァァッ！！！？？」
「おわァッ！！？」【ビックゥッ】

原因である男、音石明が入ってきた。
モンモランシーの壮大な絶叫が鳴り響く。
当然この後、医務室専属メイジに
「病室では静かにッ！！！」
とキュルケと同じように怒鳴られたのは言うまでもない。
まあこの医務室専属メイジ自身もけっこう大概のような気もするが………



「てめぇ一体どういうつもりだァ？
俺が日頃大音量に慣れてるギタリストじゃなかったら
今頃耳の鼓膜がブチ破れてるぜ！」
「あ、あなたがいきなり現れるからいけないんでしょう！？」
「てめぇの頭は間抜けかァ？
ついさっきまで一緒にここまで来たんだから当たり前だろーが！！」

また怒鳴られないために結構セーブした声で音石がモンモランシーに抗議する。
ついでに言うとこの医務室は貴族専門で、
給仕以外の平民は立ち入り禁止されている。
その証拠として、医務室専属メイジに怒鳴られた後
「ここは平民の立ち入りは禁止よ！」と睨まれたが
ルイズの計らいのおかげで、
今は問題なく医務室内でモンモランシーに講義できている。
そんなドアの前の二人のやり取りに、キュルケとルイズは意外そうな顔をした。
毎度のコトながら、そんなキュルケとルイズに対して
タバサはいつものように本を読んでおり、
モンモランシーの絶叫の際も一切動じなかった。

「あの二人、いつの間にあんなに仲良くなったのかしら？」

キュルケの口から当たり前の疑問がこぼれた。

まあ無理もない、はたから見れば実に奇妙な光景だ、
外見的にも十分奇妙。
顔に古傷を持ち、学院の女子生徒にも引きを取らない長髪の男。
ロールヘアーと大きなリボンとロール頭が特徴的な少女。
絵になってるようでなってないような組み合わせだ。

当然外見だけじゃない、その人間関係的にも実に奇妙。
方や不思議な能力を使い、この学院の生徒一人を半殺しにし、
生徒たちの間でお尋ね者扱いされているなぞが多い男。
方やその半殺しにされた生徒の恋人関係にあった香水の少女。

『奇妙』、実にシンプルにひと言である。
そんなひと言が、この二人にはとてもよく似合っていた。


「で？ふたりして一体何しに来たのよ？
しかもオトイシ！なんであんたがモンモランシーと一緒にいんのよ！？」
「治療してもらったばっかなんだろルイズ？
傷が治ってすぐにそうカッカすんなよ、気分がダルくなるぞ？」

（誰のせいだと思って………！！）

ルイズが心の中ではき捨てた。
彼女からしてみれば、自分の使い魔が
よその女の子（しかもクラスメイト）と仲良くしているのは
あまりいい気分ではない。
普段こういう感情の対象はキュルケだと相場が決まっているが、
とうの本人は奇妙な事に音石に対して
そういうアプローチは今のところ一切していない。
おそらく二日前、音石がキュルケの部屋から出てきたあのとき
自分の知らないなにかがあったのだろう……
少なからず、キュルケを人間的に変えるなにかが……。


「でもまあ勘違いすんなよルイズ
おれはお前らが医務室にいると思って様子見に来たんだよ
でも肝心の医務室の場所がわかんなかったんだが
そこをこいつが親切に案内してくれたっつ～なりゆきよ～」
「そういうことよ、変な勘違いしないでよね
まったく、これだから『ゼロ』のルイズは……」
「だれが『ゼロ』よ！！」
「たくっ、お前ら二人そろってカッカしてんじゃねぇ！
また怒鳴られちまうだろうがッ！！
まったく、ルイズの性格考えて、変な勘違いして怒らねぇように
わざわざわかりやすく簡潔に説明してやったってのによぉーー、
これじゃ無駄骨もいいとこだぜ………
モンモランシー！頼むからルイズをしょうもねぇことで
怒らせんのはやめてくれ、ルイズが怒りのまま爆発起こして
その後片付けっつー二次被害受けんのは俺なんだぞ！？
ルイズもルイズだぜぇ～？いちいち相手の挑発にのるようじゃ
周りが見えなくなって、おまえ自身が一番損する羽目になるぜぇ？」
「「…………………う～～…」」

ルイズとモンモランシーは小さな唸り声をあげる。

（普段の俺ならこういううっとおしい状況はとりあえずギター響かせて
押し黙らせるんだが……、まあ場所が場所だしな…
てゆーかよ～、他人に説教すること自体俺らしくもねぇな
他人に説教できるほど立派な人間ってわけでもねぇぞ俺）

いろいろと呆れた仕草を音石は髪を掻くことで表した。

「そうよ、よく考えてみればこんなことしてる場合じゃないわ！
え～～とっ【ガチャリッ】……………あれ？」

モンモランシーがルイズたちを通り過ぎると、
医務室に設置されてあるいくつかの扉のうち、
手前から二番目の扉を開いた。しかしその扉の先には、
窓から太陽の光に照らされた高級そうなベッドや
棚などの家具が置いてあるだけで
そのベッドにもその部屋にもだれもいなかった。


（さすが貴族の学校の医務室だぜ
この医務室だけでもこんなに豪華な個室が設置されているとは。
個室ひとつひとつがまるで高級ホテルの宿泊部屋だぜ、
なんだってたかが医務室にこんな無駄な作りするかねぇ～～～）

音石がその無駄に豪華な医療用個室にも呆れるが
モンモランシーはなぜか少し混乱していた。
しかし、モンモランシーのその混乱の正体を察した
医療室専属メイジがモンモランシーを助けた。

「ああ、ミスタ・グラモンなら一番奥の部屋ですよ」
「え？ですが前はここに………」
「なんでも『奥のほうが静かで落ち着く』だそうです
それで今日の朝、部屋を移したんです」
「あ…、そういうことですか。ありがとうございます」

トテトテとした足どりでモンモランシーは
医務室の一番奥の扉に向かっていった。
こう見ると扉まで意外に距離があった。
音石がそんなモンモランシーを眺めていると
モンモランシーはそのまま扉をノックし、個室の中へと入っていった。
するとルイズが急に音石の上着の袖を引っ張ってきた。

「なんだよ？」
「はいこれ、言われたとおり残りは返すわ」

手渡されたのは彼がルイズに託した金貨が入った袋だった。
音石が中身を確認すると、まだある程度の量は残っていた。

「はっ、意外だな」
「…なにがよ？」
「自分でもわかってるくせに聞くなよ、俺を試してんのかァ？」

使い魔の責任は主人の責任、主人の責任は使い魔の責任。
これがメイジと使い魔の間での鉄則だ。
音石が言う意外とは、
『使い魔のものは主人のもの』という理由で
ルイズが金を没収してこなかったことに対してだ。


「フフフッ、でもルイズの気持ちなんとなくわかるわ、
わたしだって仮にオトイシが使い魔だったら同じことしそうだもの」
「どういうこった？」
「あなたがそれだけ『特別』だってことよ
使い魔らしくないって言ったほうが正しいかしら？」
「あー…、なるほどな」

音石が袋を懐に仕舞う。

『特別』―――――――、たしかに音石は『特別』だろう。
使い魔らしくないというのもそのまま的を射ている。
サモン・サーヴァントで前例のない召喚された人間。
『忠実』とまで主人に従わない使い魔らしくない使い魔。
不思議で奇妙な『特別』な能力・スタンドを扱う人間。
その上、そんなスタンド使いのなかでも
あの『弓と矢』を手にしていた『特別』なスタンド使い。

ここまで特別だとかえって清々しいものだ。
その特別のおかげで、ルイズは本来の使い魔の扱い方を
特別な音石に同等に扱うのが滑稽に感じているから
すんなりと金を返してくれたのだ。

（ん？まてよ………）

袋を懐に仕舞い終え、上着から手を出したときに
音石はあることに気がついた。
医務室専属メイジが口にしたとある名前だ。

「ミスタ・グラモン？おいおいおい、
それって俺が決闘で半殺しにしてやった小僧のことか？
あの野郎、あれからだいぶ経ったのにまだ治ってねぇのかよ
どれどれぇ、おれも様子を見に行ってみるか」
「あ、ちょっとオトイシッ！？」

急に奥へと向かっていった音石に
ルイズは驚いて声をかけたが、
音石はそれを無視しモンモランシーの後を追った。

（ふっふっふっ、ベッドで安心して寝ているところに
寝かした理由の張本人が突然現れたら……………
ギヒヒッ、あいつ慌てふとめくぜ！）


早い話タチの悪い嫌がらせである。
２２にもなるいい歳した大人なのに
どうもこういう子供じみた嫌がらせをするのは
どちらかというと音石本来の性格の悪さにあるのだろう。

【ガチャリ】「おらァ、入るぜ」

ノックもせず、モンモランシーが入っていった個室のドアを開ける。
部屋の構造は最初の個室と大して変わらず、
中央の壁際にベッドが置いてあり、窓がひとつ、
ドアの近くに花瓶がのった小さな机と椅子。床にしかれた絨毯。
どれもこれもが気品溢れる豪華な代物だった。
そしてその豪華なベッドの上で横になっている
ギーシュが入ってきた音石を見た瞬間
顔を蒼白にし、全身がガタガタ震え始めた。
そしてその音石もギーシュが自分に完全に恐怖する様を見て
気分がいいのか、悪どい笑みを浮かべはじめる。

「ようクソガキ、思ったより元気そうじゃねぇか
さすが魔法だな。あれだけぐちゃぐちゃにしてやったってのに
たった数日でほとんど治ってるじゃねーかァ。ええおい？」
「き…き、き、き、君は！？
な、な、なぜ！？き、き、きみがここにィ！！？」

ギーシュの体は魔法の治癒のおかげで音石の予想以上に回復していた。
半殺しにされた当初こそは、バイクで事故って間もない墳上裕也を
余裕で上回る包帯やギブスなどでの施されようだっただろうが
数日経った今となっては片手と片足を包帯でぶら下げているだけの
この世界の治癒の魔法の凄さを思い知らされる傷の治りようである。

「ちょ、ちょっとオトイシさん！？
一体なんのつもり、きゃあっ！？」

モンモランシーが二人の間に割って出ようとしたが
音石がすかさずモンモランシーの腕につかみかかり
彼女を自分の傍に引き寄せ、彼女の耳元で話しかけた。

「べつになんもしやしねぇよモンモランシー
ちょっとばかしからかってやるだけさ」


普段のモンモランシーならそれでも止めに入るだろうが
今の彼女の状況が彼女をそうさせないでいた。
その状況というのが………、

（か、顔が！……あわわ、か、か、顔が近い……）

そう、モンモランシーの耳元で呟く必要があったため
二人の顔の距離が必要以上に接近しているのである。
それこそ、鼻息の生温かさまで感じ取れる程の
ウェザー・リポートといい勝負であった。
しかもモンモランシーは異性にここまで顔を近づかれた経験など
ギーシュのときですらなかったため、
モンモランシーの顔にどんどん赤みがかかっていく。

【ボォンッ！】

そしてとうとうその赤みが限界値に達したのか
モンモランシーの頭の上で小さな噴火が起こり、
次に湯気が立ち昇り、彼女はそのまま硬直してしまった。
立ったまま赤面で硬直してしまったモンモランシーを通り過ぎ
音石はさらにギーシュのベッドに接近した。

「ぼ、ぼ、僕をどうするつもりだッ！？」

ギーシュはこのとき、
自分をこんな目に合わせた元凶に対する恐怖のせいで
その元凶に対するモンモランシーの態度の異変に気付かないでいた。
まあその元凶本人もモンモランシーの態度に気付いちゃいないが……

「さてなァ…、どうすると思うよ？」

ギーシュの恐怖からくる冷や汗と心臓の鼓動が増す、
普通なら平民が貴族に対して手を出すことは絶対的なタブーだ。
今だってそうだ、互いの承諾の元で行われる決闘とはワケが違う。
だが目の前の男は…………『例外』すぎる！！
平民でありながら自分を凌駕したチカラを使い、
平民でありながら自分をここまでボコボコにした例外者である。

（ま、まさか……こんな大怪我で動けない僕を
さらにボコボコにする気かァーーッ！！？）

ギーシュはあわてて枕元においてある
自分の杖の薔薇に手を伸ばした。
しかし虚しいことに、その伸ばした手は薔薇を掴むことはなかった。
なぜなら薔薇を掴む寸前に、音石に横取りされてしまったからである。

「おいおい、物騒なことすんなよなァ～～
ここは医療室だぜ？静かにしねぇと駄目じゃねぇか
俺みたいに、ここ担当してるメイジの女に怒られちまうぜ？」


希望が奪われたことにギーシュは泣きそうになった。
いや、これから泣かされるのだろう。
できればその程度であることを願った。

「へ、平民の君が貴族である僕に手を出したらどうなるか
わかっているのか！？決闘のときは運良く問題にならなかったが
今回はそうはいかないぞ！？君がどれぐらい強くても
世界中のメイジが君を追い、間違いなく処刑するぞッ！？」

ギーシュの混乱した様を眺めながら
音石は内心でおおいに爆笑していた。
ギャハはァーーッ！なにもしねぇってのにバカが吠えてやがるぜ！！
音石からしてみればギーシュのその姿は滑稽でしかなかった。
包帯で手足を固定されているためベッドから動くことができず
頼みの綱であった杖も手元になく、ただ自分に威嚇するその姿、
動物園の檻の中で観客に威嚇する小動物、まさにそれである。
音石はそのまま、ギーシュの虚しい威嚇を眺めていると
ある人物が部屋に入ってきた――――――。

「ちょっとオトイシ！やめときなさいよ
さすがにギーシュに悪いわよ！」

治癒のおかげで完全に回復したルイズである。
音石は首だけ後ろに向け、それを確認する。
そのルイズに反応して硬直していたモンモランシーも
別の意味で帰ってきたようだ。
まあ、ルイズがそういうならここらあたりで勘弁してやるか
音石は満足そうに息を吐き、ギーシュから背を向けようとした
しかしまさにその時だった。ギーシュが言葉を発したのは……

「お、おいゼロのルイズ！！
はやくこの使い魔をなんとかしてくれ！！
主人なら使い魔の管理ぐらいちゃんと【グイッ！】ひ、ひィッ！！？」

言葉の途中に音石は瞬発的にギーシュの胸倉を掴みかかった！
そしてそのまま手足の包帯での固定もお構いなしに
ギーシュを無理やり力尽くで自分のほうへと引き寄せた。

「おいテメェ……、マジで入院期間先延ばししてやろうか……？」
「う、……うう、…うああ…あ………」

とうとうギーシュの目から涙が溢れる。
その音石の行動にすぐさまルイズとモンモランシーが止めに入った。

「なにやってるのよオトイシ！？いくらなんでもやりすぎよッ！？」
「そ、そうよオトイシさん！さっきなにもしないって言ってたでしょう！？」
「てめぇらは黙ってろッ！！！」

【ビクゥッ！！】

音石の怒鳴り声にその部屋にいた全員がびびった！
そこには先程までの年下の小僧に嫌がらせをする大人気ない姿ではなく、
なにか怒りに触れた悪鬼の如き、威圧ある姿があった。

「う、う………ゆ、許してくれ……」

涙で顔を濡らしたギーシュから謝罪の言葉が出る。
しかしその言葉は音石の怒りにさらに触れるだけだった。

「決闘の時もそんなこと言ってたなァ～～～～、ええおい？
お前は謝ることしかできねぇのか？よぉ、どうなんだ小僧？」
「う………うう…それ以外なにをすれば………
お、お金が……う、う……ほしいんなら幾らでも払う……だ、だから……」
「このボケがァッ！！
金で治まるよーな問題なら俺もここまでマジになりゃしねぇよッ！！
俺が頭にきてんのはな～、てめぇがやるべきことに気付いていねぇことだッ！！」

胸倉を掴んでいた手を離し、ギーシュをベットに叩きつけた。
ギーシュは喉を押さえて咳き込みながら、
音石を恐る恐る見上げ、そして呟いた。

「やるべき……こと………？」
「……………………………」

音石は何も言わず黙り込んでいる。
聞かずとも自分で考えろ。そう示しているのだろう。
そしてギーシュは考える…………。
一体自分のなにが悪かったのだろう？
二股をしていたこと事態はあくまで自分の個人的な問題に過ぎない。
ならばその罪を無関係な給仕になすりつけたことだろうか？
いや、近い気もするが一番の理由はそうではないような気もする。
考え方を客観的にしてみよう………、
一番重要なのは『目の前の男が何に対して反応した』かだ………。
　　　　　　　　　　　　　　・
　　　　　　　　　　　　　　・
　　　　　　　　　　　　　　・
　　　　　　　　　　　　　　・
　　　　　　　　　　　　　　・
　　　　　　　　　　　『ゼロのルイズ』！！

ギーシュは一気に理解した！
目の前の男はルイズを侮辱したことに怒りを表しているのだ！
だが何故だ？使い魔としての本能がそうさせているのか？
それとも彼の元からの性格がただのお人よしなのか？
いいや、そんなものはどうでもいい！問題はそこではない！！
一番の問題は、自分がルイズを今まで侮辱し続けたことにある！
自分の誇り高き家柄、グラモン家の教訓はなんだ？
薔薇である女性を守る棘であることだろう！？
それなのに自分は今まで彼女になにをしてきた！？
魔法が使えないから！？確かに彼女は魔法は使えない、
だがそれでも魔法が使えるようにと必死で努力している
事実彼女は筆記試験では常にトップだ。
……………だからこそ尚更なのかもしれない。
魔法が使えない故に実技では常にルイズはゼロ点だ。
それに対して筆記試験では常にルイズはマン点だ。
それがものすごく気に入らなかったんだ………、
ゼロに嫉妬している自分に苛立ちを覚えてしまっていたのだ。
自分だけじゃない、ほとんどのクラスメイトがきっとそうだ。
だからみんなルイズを罵倒したのだ、見下していたのだ、
侮辱していたのだ、『ゼロのルイズ』と……………。

刹那、個室の外の廊下から足音が聞こえてきた。
このタイミングでやってくるような人物は大体予想できる。
扉が開かれる、予想通り医務室専属のメイジの女性だ。

「一体なんの騒ぎですか！？」
「え……あッ！？い、いえ！これは………その…事情がッ……」

ルイズは焦った、自分の使い魔がまた同じ生徒相手に
しかも重症の状態で暴行を働こうとしたなどと
学院側に知られたら今度こそ退学になる恐れがあったからだ。
なんとか誤魔化そうとルイズが必死で思考を廻らせる。

「……いいえ、なんでもありませんよ」

ルイズは自分の耳に届いた声を疑った、
何を隠そう、その声は間違いなくギーシュの声だったのだ。

「お騒がせしてすみません
急に窓から虫が入ってきたので、つい慌ててしまって……」
「む、虫ですか？」
「ご心配なく、もう追い払いましたので……
本当に申し訳ない、ご迷惑をお掛けしてしまい……」

それならいいんですが……、と言い残し
そのメイジの女性は扉を閉め、部屋を後にしていった。
足音が遠退いていくにつれ静寂が部屋を支配する。
しかしその静寂のなか、ギーシュは深く息を吸い、目を閉じた。
そして静かに吸った息を吐き捨てると、開いた彼の目はルイズを見た。

「な、なによ……？」
「ルイズ……………すまなかった……」
「………え？」

足が動けないせいで
ベットの上で横になっている状態の体を精一杯前に傾け
ギーシュはルイズに向けて頭を下ろした。

「僕は、いままで君に酷い事をしてきた……
だが今更僕がなにを言ったところで、言い訳にしか感じないだろう
いままで君に対しての侮辱してきたのは事実なんだからね……
だが一言、これだけは言わせて欲しい………、本当にすまなかった」
「ギーシュ………」

モンモランシーから彼の名が零れた………。
ルイズ自身もどこか複雑な表情を浮かべながら、
何を言うべきか考えているといったところだろう。

（ここまでくりゃあ、後はこいつら自身の問題だな
せいぜい達者にやんな、時間はたっぷりあるんだからよ）

自慢の長髪をなびかせながら、音石は静かにその個室を後にした。
医務室を出る途中にキュルケたちに何があったのか質問されたが、
音石は「でけぇお邪魔虫が部屋を出て行ったんだよ」とだけ述べ
扉を開き、そして閉め、医務室を後にしていくのだった…………。    </description>
    <dc:date>2011-11-03T12:49:53+09:00</dc:date>
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    <item rdf:about="http://www22.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2540.html">
    <title>D0C</title>
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    <dc:date>2011-09-08T18:47:12+09:00</dc:date>
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    <item rdf:about="http://www22.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2587.html">
    <title>D0C-12</title>
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    <description>
      大統領の思考が再開したのは出発直前の早朝だった。
朝靄の中、眉間に手を当て、これからどうするかを考え始める

（まず…アルビオンに行く事はほぼ確定だろう、私一人ならともかくルイズがいる以上は止むを得ない
　そうなると行く為のルートはどうするかだが土地勘がない上に現場は戦地だ、どうなるかわからない、
　いずれにせよ情報が少なすぎる）

これ以上考えても仕方がないと大統領は軽くため息をつき、自分の身を任せることとなる馬の首を少しだけ撫で、
ルイズとギーシュ、二人の方へ向く。

「アンタねえ、これから行く所はアルビオンよ！ジャイアントモールを連れて行けるわけないでしょ！」
「そ、そんな！離れ離れなんて辛すぎるよ、ヴェルダンデ！」
（どうもギーシュが使い魔を連れて行けなくてぐずってるようだな。）

暫く見つめていたが、ギーシュの使い魔の巨大モグラがルイズに覆いかぶさるようにすりよってルイズを押し倒す、
「おい、アレは何をやってるんだ？」
「う～ん…多分ルイズが持ってる宝石じゃないかな？僕のヴェルダンデは希少な宝石に目がないから」
「そうか、主従そろって女癖が悪いかと思ったよ。」
ギーシュの心にグサリとくる一言を言い放つ、大統領は内心自分がイラついてる事を自覚しだす、
だが、運は大統領を見放したのかそんな大統領の神経を更に逆撫でする人物がやって来る事となる。


大統領がルイズから巨大モグラをどかそうとすると突風が吹き荒れ、モグラを弾き飛ばした。
敵か？と大統領は警戒し、レイピアを抜き放つ、ギーシュは自分の使い魔が傷ついたことに絶叫していた。



ゆっくりと…恐らくは風の魔法を放ったであろう人影が近づいてくる、朝靄で姿が見えない。
やがて立ち止まり、落ち着いた口調で人影は話し始めた。
「僕は味方だ、武器を下ろしてくれないか？」
朝靄が晴れていき、姿が鮮明になっていく…蓄えたヒゲと羽根飾りの帽子が目立つ男だった。
「いきなり攻撃してきて“味方”だと？」
てめー頭脳がマヌケか？と言いたそうな大統領の顔を一瞥すると、男はルイズの方に顔を向ける。
「すまない、婚約者がモグラに襲われていて、いてもたってもいられなくてね」
大統領が口を開こうとすると脇からルイズが大統領を押し退ける、
「ワルド様！」
駆け寄っていくルイズをワルドと呼ばれた男は抱きかかえる
「おお！僕のルイズ！相変わらず軽いな、君は！まるで羽根の様だ！」
甘ったるい空気というのはああいうのを言うんだろうな、と大統領は冷めた目で眺めてながら再び現在の状況を確認する

（アイツがルイズの婚約者か、なぜこの任務を知っているか…あの王女に聞いたか？身内なら心配ないとでも思ったのか？）

そこまで考えると、ワルドがこちらに振り向く
「自己紹介が遅れたね、女王陛下の魔法衛士隊、グリフォン隊隊長、ワルド子爵だ」
「…ルイズの使い魔、ファニー・ヴァレンタインだ。」
少し、困惑したような表情を“作る”

（爵位持ちでしかも近衛…実力は間違いなくスクエア、最低でもトライアングル以上は確実か）
大統領の頭はさらに回転する
（王女はなぜコイツを…このワルドだけを行かせなかったか？簡単だ、信頼できないからだ、あくまでコイツはルイズのオマケ
　…ルイズの護衛役でしかない、だがルイズにコイツを御せると思っていたのか？）
そこまでで大統領は考えを止める、ワルドに関しては今のところはどうもしないが“警戒することは絶対に止めない”という事で落ち着く。

というより、これから戦地に行くことを考えると内憂にこれ以上関わっていられないのだ。



ついに出発となるところでワルドが加わった為。
ルイズがワルドと共にグリフォンに乗り、大統領、ギーシュは馬に乗ってそれに追随する形となった、


大統領自身SBRの上位選手に匹敵できる程の名騎手だが
空を飛ぶグリフォンに地面を走る馬が平行できる筈もなく、距離はどんどん離されていく。
ギーシュは普段馬に乗っていないため、大統領についていくので精一杯である。
（状況が状況だから急ぐのはわかるが…あそこまで速めるか？）
グリフォンの速度があまりにも速すぎるため疑問に思ったが思考を即座に中断すると同時に手綱を引いて馬も止める。
先行した大統領が止まったのを見てギーシュも大統領に近づいた頃合で馬を止めると大統領に声をかける

「どうしたんだい？急に止まって」
「ギーシュ、魔法を放てる準備をしておけ、ゴーレムでいい」

切り立った崖…更に自分たちの方に遮蔽物がない為、襲撃に適した場所だと大統領は理解する。
その上で大統領の第六感が警報を鳴らす…。
ギーシュは困惑したが大統領の真剣な目を見て青銅のゴーレムを即座に作れる準備をする

「ギーシュ、ゆっくりと進め、ゆっくりとだ」

大統領の声に応じ、馬を歩かせる、大統領もギーシュより一歩出遅れた形で進む。
進むにつれ大統領の“布”を握る手が強くなる、ギーシュも大統領の雰囲気にただならぬ事と感じ、周囲を警戒する

すでに空にグリフォンの姿は見えなかった。


鋭い音を立てて馬の足元に矢が突き刺さると同時に崖の上に幾つもの松明の明かりが見え始めた。
いきなりの事で驚いた馬を大統領は落ち着かせる、

「ギーシュ！ゴーレムを出せ！盾にする！」
大統領の声に一喝されると同時に準備していたゴーレムを出現させる。
（数が多すぎるな…さてどうするか）
大統領は崖の上の松明と撃たれる矢の量からおおよその敵の数を把握するとその対応に悩む。
（D4Cはこういう一対多数は苦手なんだが…まあいい、“やりよう”はある）
「ギーシュ、ゴーレムで馬と自分の身を守っていろ、いいな？」
「君はどうするんだい！？」
「何、連中を片付けてくる」
言った後、大統領はゴーレムにその巨体を守られるよう“伏せさせた馬”と地面に挟まれた。
ギーシュが一瞬唖然としたが気を取り直し、どこにいるとも知れない大統領に告げる

「僕のゴーレムはあくまで青銅だ、そう長くは持たない！速くしてくれよ！」

ギーシュがそういい終わった時、すでにゴーレムの身に何本かの矢が刺さっていた。





[視点変換]～襲撃者side～

（運が良いねえ～俺たちは…）
ホクホク顔で状況を見ていたその盗賊は振って沸いた儲け話に喜んでいた、
（あの“白い仮面の男”から貰った金＋こいつ等を即片付けてアルビオンへ行き略奪で大儲け…ウプププ！）
本来、戦況が決まるまで両者に加担せずどちらか一方が圧倒的優位になるまでまつつもりだった、
そして現状、反乱軍が圧倒的有利という条件で“略奪専門”で加担する腹積もりなのである。

（もしヤバそうな相手だったら即トンズラ！あのヤローに義理立てするつもりもないしな。）
彼らにとってこの襲撃は“頼まれたもの”であって“前菜”なのだメインは王家の宝の略奪であり、
そもそもグリフォンがそのままいたらする気も起きなかった、そのまま金を頂きアルビオンへ直行すれば良い、
それでも彼らが襲撃を起こしたのは何か金目の“モノ”でもあるかもしれないという文字通り、骨の髄までを地で行った結果である。

（本当に運が良いぜ…低レベルのメイジなんてよ～）
当初相手がゴーレムを使ってきたのには驚いたが、遠目からみても数が少なく、盾代わりにしているため、
大きな魔法を使うための時間稼ぎかと思われたがその様子もない、つまり守るので精一杯だと言う事だ
（つまりこの数をどうこうできるほどの実力はない、それなら か～んたんに捕まえれるぜ、メイジなら高く売れるだろうしな）
そうして満面の笑みを浮かべ、今から奴隷屋との交渉を考える事にした
虎穴に入らずんば虎子を得ず、しかし虎子が虎穴からでてくるとは僥倖と言えただろう、
しかし…虎子が虎穴から出てくるのならば“親”も一緒に出てくるのも当然といえる。


不意に「なあ」と後ろから声をかけられる、
取らぬ狸の皮算用を中断され、不機嫌そうに振り返った瞬間、
声帯ごと頚動脈を切断され男は果てた。


[視点変換]～大統領side～

（とりあえず、声を出させずに始末したがこの数は骨が折れるな…）
D4Cによって平行世界に移動した大統領は襲撃者達の後ろ側に回りこみ、無防備な後ろから攻撃していく算段であった、
（ギーシュの方は…悩んでる時間もないらしいな、仕方ない、片っ端から仕留めていくとしよう。）

足跡がしないという特性を活かし、あるものは首を切断し、あるものは異世界へ飛ばす、やられたものは声を出す暇もない。
そんな形で十数人ほど減らした辺りで竜の嘶きを聞く。


大統領が空を見上げると自分の使い魔に乗ったタバサとキュルケの二人が居た、
襲撃者はいきなりの事態に戸惑い、混乱していた、大統領は手近な一人に当身をおこない気絶させて置く。
タバサの唱えた風の魔法だろう、突風が吹き荒れ襲撃者達を吹き飛ばしていった、
風竜から降りたタバサとキュルケに笑いながら話しかける、
「なぜここに？」
「…付き添い」
「ダーリンがルイズと一緒に朝早く出かけるのを見かけて大急ぎで追っかけてきたの」

逃がさないわよ？と言った目でこちらを見てくるキュルケにフッと大統領は息を吐く
（自分はつくづく…しつこい女性に“助けられる”らしいな…）

そうして見上げた空にはグリフォンが飛んでいた。



#navi(D0C)    </description>
    <dc:date>2011-09-08T18:45:54+09:00</dc:date>
  </item>
    <item rdf:about="http://www22.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2586.html">
    <title>ゼロの茨　５本目</title>
    <link>http://www22.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2586.html</link>
    <description>
      ある日の夜、キュルケはいつもの通りに髪の毛を整え、下着姿のようなラフな格好で隣の部屋へ向かった。
隣の部屋は内側から堅く施錠されているが、部屋の主は魔法による施錠が苦手なので魔法に対する抵抗力がない。
あっけなく、キュルケの『アンロック』で鍵は開かれてしまった。

「ヴァリエール…？　起・き・て・る・？」
「……」
部屋に入り込んだキュルケを無視しているのか、本当に寝ているのか、ルイズはベッドに寝たまま返事をしない。

ルイズに近づいたその時、ガタ、と別の音がして扉が開く。
「キュルケ！今日こそは僕と夜のアバンチュールを」
「フレイム」
キュルケは振り向かずに、使い魔のフレイムを呼んだ。フレイムはキュルケを追ってきた男子生徒の裾を引っ張って転ばせると、火を噴いた。
「あっづあ゛あああああああ～～～！！」
哀れ男子生徒は、丸見えになった尻を押さえながら慌てて逃げ出した。

「ンフフ♪」
フレイムは、舌なめずりをしてベッドに近づく主人を見ながら、器用に尻尾で扉を閉めていた。


■■■


「どーしろって言うのよ」
ルイズはベッドの角に座り込んで、満足そうな表情で眠るキュルケを見た。
いつの間にか部屋にキュルケが居て、いつの間にか自分に覆い被さり、妙に艶っぽい唇で『お願い…』とか言われて何が何だか解らなかった。
なんだコイツついに気が狂ったか、と思ったがそもそもの原因は自分の使い魔である『ハーミット・パープル』にあるのはわかりきっている。
とりあえず追い出そうとしたが、ルイズは両手を掴まれてベッドに押さえつけられてしまった。
これはやばい、と感じたルイズは思わず『ハーミット・パープル』を発動。
棘のついた茨と言うには、ちょっと太くて棘も柔らかい気がするそれは、人を傷つけない程度の刺激を与えるのか、とろけるような感覚（マッサージです）を感じるらしい。
優しいイソギンチャクに全身をくまなくマッサージされ、愉悦の声を上げたキュルケに、ルイズは冷や汗をかいた。

それだけならまだしも、ほんのちょっと、ほんの少し優越感を感じてしまった。
ルイズは「もしかしてこれが私の本心？」と考えて、ああ嫌だ嫌だと頭を振るばかり。
ハーミット・パープルは文字通りルイズと一心同体。使い魔が勝手にやったことだと言い逃れはできない。
ルイズは悩み疲れたのか、それとも考えることを止めたのか、寝ることにした。

満足そうに眠るキュルケの隣に倒れ込み、そのまま寝てしまった。

『…そんなんだから誤解されるんじゃねーの？』
デルフの呟きに返事はなかった。

■■■


「…………」
「…！」
翌朝、朝食を終えたところで廊下ですれ違ったミス・ロングビルに、熱っぽい視線を送られたルイズ。
冷や汗を流しつつ教室へと逃げ込んだが、さも当然とキュルケが隣に座り、更にその隣にタバサが座る。
タバサはルイズの近くに座ることで周囲の喧噪から離れようとしているのだが、事情を知らない第三者が見れば、キュルケを巡ってタバサとルイズが争っているようにも見えるし、タバサ→キュルケ→ルイズの三角関係にしか見えない。


ちらりと周囲を見ると、興味深そうに三人を見ていた他の生徒は目をそらしてしまう。
「はぁー…」
お手本のようなため息をついて、机に突っ伏した。


しばらくして、教室の扉がガラッと開き、ミスタ・ギトーが現れた。

生徒達が席に着くと、ギトーはわざとらしく咳払いをした。
「では授業を始める。知っての通り、私の二つ名は『疾風』。疾風のギトーだ」
教室を見て、ギトーはつまらなそうにしている一人の生徒を見つけた。
「最強の系統は知っているかね？　ミス・ツェルプストー」
「『虚無』じゃないんですか？」
「伝説の話をしているのではない。私は現実的な答えを聞いてるんだ」
キュルケはこの教室唯一の『火』のトライアングルであり、いろいろな意味で目立つ生徒だ、ギトーが挑発している野田すぐに解った。キュルケは不敵な笑みを浮かべて答える。
「「火』に決まっていますわ。すべてを燃やし尽くせるのは火と、じょ・う・ね・つ　ですもの」
ちらりとルイズに流し目を送る、ルイズは気まずそうに目をそらした。

「ふむ。残念ながらそうではない。試しに、この私にきみの得意な『火』の魔法をぶつけてきたまえ」
杖を引き抜きつつ、ギトーがとんでもないことを言い出した。
キュルケが火のトライアングルだと知る生徒も、キュルケ自身もこの言葉にはぎょっとした、いくら何でも危険すぎるのだ。
「どうしたね？　君は確か、『火』系統が得意なのではなかったかな？」
「…火傷だけでは済みませんわよ」
他人を小馬鹿にするような、キュルケの笑みが消えた。ゆっくりと胸の谷間から杖を抜き、キュルケが。
「かまわんよ。本気でやりたまえ。有名なツェルプストー家の赤毛が飾りではないのならね」

キュルケの髪の毛がふわりと浮いた、怒髪天を突くということわざがハルキゲニアにあるか解らないが、キュルケが起こっているのは誰の目にも明らかだった。
杖を掲げて呪文を詠唱すると、小さな火の玉が現れ、更に詠唱を続けると直系メイルほどの火の玉となった。
生徒達が驚き、慌てて机の下に隠れたその時、火の玉がギトーに向かって放たれる。
ぼおおおっ、とうなりを上げて襲い来る火の玉を、風系統の魔法でいとも簡単に消し飛ばした。
その瞬間烈風が舞い上がり、火の玉の向こうにいたキュルケはたまらず吹き飛ばされた。
「あ」

尻餅をつくかと思われたその瞬間、キュルケの体がふわりと抱き留められた。
キュルケはきょとんとした顔で、タバサを見た。違う、とタバサが首を横に振る。
ルイズを見ると、やってしまった…と言わんばかりの表情でキュルケを見ている。

いくら何でも吹き飛ばされるのはなー、と思ったときにはもう遅い、ハーミット・パープルはクッションのようにキュルケを抱き留めていた。。

「……べ、べつにあんたなんかを助けようとしたわけじゃないんだからね！」

（ぽっ）

逆効果だった。

■■■


■■■


さて、その後ギトーに睨まれもしながら授業は進み、ギトーが風系統の真髄を見せようとしたその時、教室の扉がガラッと開かれた。

「あややや、ミスタ・ギトー。授業中ですが失礼しますぞ」
「ミスタ・コルベール？」
教室に入ってきたコルベールは、礼服と言うには飾りすぎた格好をしていた。
ロールした金髪のカツラや、レースや刺繍の飾りがついたローブは、儀式的なものであって礼服にしては飾りすぎている、普段使われる物ではない。

「おっほん。今日の授業はすべて中止であります！」
コルベールは重々しい調子で告げる、すると教室中から歓声があがった、その歓声を押さえるよう両手を振りつつ、コルベールが言葉を続ける。
「えー、皆さんにお知らせですぞ。恐れ多くも、先の陛下の忘れ形見。
我がトリステインがハルケギニアに誇る、可憐な一輪の花、アンリエッタ姫殿下が、本日ゲルマニアご訪問からのお帰りに、この魔法学院に行幸なされると、お使者からの通達がありました」

その言葉に、どよ…と教室に声が上がった。
「おほん！　えー、皆さん、本日はトリステイン魔法学院にとって、始祖ブリミルの降臨祭に並ぶ、めでたい日であります。
よろしいですかな、粗相があってはなりません、急なことですが今から全力を挙げて歓迎式典の準備を行うのです。
授業は中止となりますが、今日は皆さんの授業の成果、貴族としての姿をお見せする大事な日となります！生徒諸君は正装し門に整列、姫殿下をお出迎えする栄誉に預かります！」
生徒たちは、緊張した面持ちで一斉に頷く。コルベールは重々しげに頷き、目を見張って怒鳴った。
「諸君らが立派な貴族にしたことを、殿下にお見せするこの機会！　御覚えがよろしくなるように、しっかりと杖を磨いておきなさい。よろしいですかな！」

「「「「はい！」」」」
生徒達は一斉に返事をした。
満足したコルベールは、勢いよく向きを変えて教室を出ようとしたが、カツラのサイズが合ってないのかそのまま滑り落ちてしまう。

「…よく磨いてる」
タバサの呟きが、静まった教室にはよく通った。
ぷっ、と笑いをこらえる音が教室中から聞こえてくる。
「くくく…」
意外にも一番ウケたのはギトーらしく、口元をひくつかせながら目をそらしている。
「ミスタ・ギトー！」
「い、いや失礼、生徒諸君。小さなミスもないよう気をつけること！　ぷっ」


■■■


それから間もなく準備は整い、魔法学院の正門にアンリエッタ姫殿下の一行が現れた。
整列した生徒達が一斉に杖を掲げ、その間を馬車、グリフォンに乗った魔法衛士隊、従騎士達が通り抜けていく。


「…あれがトリステインのお姫様ねえ。私の方がずっといい女だと思わない？ルイズ…って、ルイズは？」
後ろの列にいたキュルケは、近くに並ぶはずのルイズを探したが、どこにもルイズの姿はなかった。



「うぐぐぐ…この馬鹿触手！駄目ったら駄目よ！不敬だから！恐れ多いんだから！」

部屋に戻って着替えていたルイズは、半裸のままハーミット・パープルを踏みつけ、縛り、なんとかお仕置きをしようとしていた。
ルイズはトリステインの王女、アンリエッタの遊び相手を務めたことがある。幼かった王女の姿を思い出し…次に自分より大きな胸に育った数年前の姿を思い出して、今はもっと大きくなっているのかと思い、ハァとため息をついた。
すると、ハーミット・パープルが突然動きだした。
その動きは、ド○ゴン○エストに登場するスライムを2匹、ぐるぐる巻きにして捕まえるような形で、これはヤバイ！と感じたルイズは「大変な腹痛で整列できません！」と言い訳をしてお出迎えをサボり、使い魔にお仕置きをしていた。

しかし踏みつけたり、投げたり、乗馬鞭で叩いたりと思いつく限りのことをしても、全く効果がない。


「このっ！この…こいつ！」
使い魔とは一心同体、ハーミット・パープルはルイズの動きを読みひょいひょいと躱していく。その上物質をすり抜ける能力があるので、ダメージはゼロであった。
それを見たデルフリンガーは、カタカタと鍔を鳴らして言った。
『やめとけって、無駄だからよー』
「あんたは黙ってなさいバカ剣！」
怒り心頭のルイズにはとりつく島もない。
『俺を握ればコントロールできるのになー』
「知らないわよ！　　って、え？」

本当かしら？と疑問に思ったルイズだが、デルフリンガーの言うとおりにしてみると、左手のルーンが輝き、ハーミット・パープルの動きがルイズのコントロール下に入った。
「なるほど…武器を使えるのがガンダールヴのルーンだけど、私とハーミット・パープルはルーンを共有しているだけじゃなくて、ハーミット・パープル自身が武器扱いになるのね」
『そーいうこった。その代わりそいつの利点も一つ殺してることになるぜ』
「どういう事よ」
『俺は人間みたいに目で物を見ちゃいねー。そいつも同じだ。嬢ちゃんがそいつの力を全部操ろうとすると、二人分の体を一人の頭でこなすって事になんだ。
例えば突然後ろから殴られるとすんだろ、そいつが自動的に反撃したり、襲撃をあらかじめ教えてくれる。だけど嬢ちゃんが操っているうちはその力が鈍くなんだ』
「…それは。確かに便利だけど、勝手な動きをされちゃ困るときがあるの！それに、ずーっとデルフを握ってるのは大変よ、それじゃ教室にも入れないわ」
『そういうのは…まあ、小さな隠し武器でも持ってるしかないなあ』
「それじゃ暗殺者だと思われるわよ！　あっ……それじゃ、もしかして私、一生貴族のパーティーにも出られないんじゃ…」
『あー、その、何だ。なんとかなるって。多分』


「…寝るわ」
ルイズは着替え途中のまま。拗ねたようにベッドに潜り込んだ。
「うう…姫様申し訳ありません…ルイズはもう姫様に近づけません。　お友達と呼んでくれた姫様だからこそ近づけません……」


「でも…私のことを覚えていて下さるなら、お話したかったわ…」


■■■■


その夜。

「お久しぶりね。ルイズ・フランソワーズ」

ルイズの部屋に現れたアンリエッタ王女は、感極まった表情を浮かべて、この世の終わりのような顔をしたルイズを抱きしめた。
「ああ、ルイズ、ルイズ、懐かしいルイズ！」
「姫殿下、いけません。こんな色魔のような触手の餌食にもといこんな下賤な場所へ、お越しになられるなんてホント……」


ルイズの苦労はまだまだ続くらしい。




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続かない。


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